知林ヶ島(ちりんがしま)とはなかなか可愛らしい響きの名だが、由来は諸説あってはっきりとはわからないらしい。指宿市の公式サイトによれば、昔は島に松の木が繁茂しており、「林を知る」から「知林ヶ島」という名前がついたとも、昔は松かさ(松ぼっくり)のことを「ちちり」「ちちりん」と呼んでいたことが由来の可能性もあると記されている。地名の由来というものには興味が尽きない。
この知林ヶ島が景勝地、観光地として広く知られているのは、前述したように干潮時に現れる陸繋砂州によって田良岬と陸続きになり、歩いて島に渡れるようになるからである。知林ヶ島は東シナ海から錦江湾に入ってくる黒潮と錦江湾から東シナ海に向かう流れの境目に位置し、海流がぶつかり合うことで境目に砂が積もり、こうした砂州を生じさせるのだという。干潮時に陸繋砂州が現れて島が陸続きになる現象は“トンボロ現象”とも呼ばれ、それほど珍しいものではなく全国各地で見ることができるが、自然の営みの不思議さも感じられるからか、観光名所として人気を集めているところが少なくない。知林ヶ島もその一つで、昔から指宿の観光名所のひとつとして名を連ねている。