曽於市は錦江湾最奥部の東側に位置している。この錦江湾最奥部、桜島以北の部分は「姶良(あいら)カルデラ」と呼ばれる巨大なカルデラだ。そのカルデラに海水が流れ込み、湾の一部となった。「海域カルデラ」と呼ばれる、世界的にも珍しいカルデラである。
この「姶良カルデラ」が、約2万5千年前に大噴火を起こした。噴火によって多量の火山灰や軽石が周辺に降り注ぎ、大規模な火砕流がカルデラの周囲を覆い尽くした。その範囲は現在の錦江湾岸のみならず、宮崎県南部の地域から高知県にまで及び、中には九州山地を越えたものもあるという(この火砕流は一般に「入戸火砕流」の名で呼ばれる)。この「入戸火砕流」による火砕流堆積物による地層と、降り積もった軽石(大隅地方に降った軽石を一般に「大隅降下軽石」と呼ぶ)が堆積した降下軽石層が、「姶良カルデラ」、すなわち錦江湾北部の周辺広がっている。