その真鶴半島の突端の岬が真鶴岬である。ちなみに真鶴岬と三浦半島突端の城ヶ島とを繋ぐラインの北側が「相模湾」、南側が「相模灘」なのだそうだ。真鶴岬の突端部には展望所が設けられている。展望所は標高約50メートル、眼前には大海原が広がり、壮大な眺望を楽しむことができる。空気が澄んでいれば、水平線の上には大島や初島、式根島といった島々から三浦半島、房総半島のシルエットを見ることもできるという。岬の磯辺の沖に浮かぶ岩礁のような小島は三つの巨岩が海面に突き出た形状から「三ツ石」と呼ばれ(正式には「笠島」という)、真鶴岬の象徴的な景勝として知られる。「真鶴岬と三ツ石」は1979年(昭和54年)に選定された「かながわの景勝50選」のひとつにも名を連ねている。
展望広場の隅には幕末に築かれた台場跡の痕跡が残っている。1825年(文政8年)に幕府から出された異国船打払令(外国船打払令とも言う)を受けて小田原藩も5ヶ所の台場(砲台)を築いたが、そのうちのひとつが真鶴岬にもあった。台場は縦約36メートル、横約30メートルの規模だったそうだが、現在では台座の石材がわずかに残るのみという。岬の展望所から海原を眺めながら、当時の人々の思いを想像してみるのも一興かもしれない。