神奈川県藤沢市の新林公園は里山の風景を残した緑豊かな公園だ。園内には梅林があり、早春には美しい景観を見せてくれる。梅が見頃となった三月上旬、新林公園を訪ねた。
新林公園は16ヘクタールを超える面積を有する公園だが、その大半を山林が占め、尾根に挟まれた谷戸部が平地になっている。その平地部のほぼ中央に設けられた芝生広場は梅林を兼ねており、早春には美しい景観を見せてくれる。梅林は特筆するほど規模の大きなものではないが、充分に見応えがあり、観梅目的に来園しても、その期待に応えてくれるものだと言っていい。
新林公園は里山の風景を残した公園で、一角には古民家が移設され、谷戸奥には水田や湿地もある。そうした公園の性格に梅林がたいへんによく似合う。園内の古民家や湿地は梅林の中から梅の花の背景のように視界に収まり、素朴な山里の早春の景観を彷彿とさせて良い風情を漂わせる。
梅の向こうに古民家を見る景観は特に興趣に富んでフォトジェニックだ。広場に面して設けられた門や生垣の向こうに見える古民家の屋根などを背景に梅の花を見れば、浅い春を迎えた山里の農家の庭先に立っているかのようだ。
池と湿地を背景に梅を眺めるのもいい。池の辺に立つ落羽松もまだ冬枯れの表情のままだが、それもまたこの季節のひとつの興趣というものだろう。池と湿地に設けられた木道を辿り、谷戸奥から池越しに梅林を見るのも、また違った味わいで楽しめる。
新林公園の梅林は、そうした周囲の景観との組み合わせによって、よりいっそう魅力的なものになっていると言っていい。梅の花そのものももちろん美しいが、“梅の咲く景観”を楽しむのが早春の新林公園の醍醐味と言えるだろう。
梅林の広場にはシートを敷いてお弁当を広げる家族連れの姿もある。暖かな日差しに恵まれた早春の日、ピクニック気分で訪れるのもよいものだろう。来園者も少なくはないが、大勢の観梅客で賑わうことはないようで、喧噪感を感じることもなく、穏やかな空気感に包まれているのが素敵だ。規模の点では“梅の名所”とは言い難いが、“梅の咲く風景”を楽しみながらの早春の行楽にはお勧めの公園だと言っていい。
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長屋門や古民家などの文化財の保護の目的のため、公園敷地内の藤棚から奥部分は夜間(午後7時30分から午前4時)は立ち入れないとのことだった。また古民家「旧小池邸」は月曜と年末年始は休館、利用時間は午前9時から午後4時30分までとのこと。詳細は藤沢市サイト(頁末「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)などを参照されたい。
新林公園へはJR東海道線、小田急江ノ島線の藤沢駅が近い。駅の南口から東南方向へ向かい、境川を渡って徒歩で20分ほどだろうか。初めての人は駅からのルートがわかりにくいかもしれない。地図などを携行することをお勧めする。
公園には無料駐車場があり、車で訪れることも可能だ。駐車スペースは30台分ほどで、充分とは言えないが、公園北西側の境川対岸に位置する奥田公園の有料駐車場も利用できる。奥田公園の周辺には民間駐車場も点在しており、それを利用する方法もある。
新林公園は自然溢れる公園で、シートを広げてのアウトドラランチに最適だ。ピクニック気分で楽しめる。訪れるときはお弁当持参をお勧めする。駅から徒歩で訪れるときに駅周辺のお店でテイクアウトのものを買っていってもいい。
新林公園にはレストランや売店はない。公園近辺にもお店などは見あたらない。お弁当持参でないときは駅近くまで戻ればいい。駅周辺にはさまざまな飲食店が軒を並べている。
新林公園の西側には境川が流れている。散策の楽しい川辺とは言い難いが、少し足を延ばしてみるのも悪くない。町歩きの好きな人なら藤沢駅周辺の繁華街を歩いてみても楽しめるだろう。
新林公園の紹介(藤沢市)
新林公園みどりの会
新林公園