埼玉県吉見町のほぼ中央部、下細谷地区の耕地を利用してコスモスが植えられ、「よしみコスモスまつり」が開催される。コスモスが見頃を迎えた十月半ば、「よしみコスモスまつり」を訪ねた。
よしみコスモスまつり
埼玉県吉見町のほぼ中央部に下細谷という地区がある。吉見町役場も置かれる、吉見町の中心部と言っていいところだ。その下細谷地区の東部に広がる耕地を利用して秋にはコスモスが植えられ、花が見頃を迎える頃に「よしみコスモスまつり」が開催されて賑わう。2014年(平成26年)に開催された「第14回よしみコスモスまつり」の実績で“コスモス畑”は7ha、植えられたコスモスは約650万本だという。
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「よしみコスモスまつり」の会場となる下細谷耕地は県道27号(東松山鴻巣線)が大里比企広域農道と交差する「下細谷」交差点の北東側に位置している。交差点の南西側、すなわち会場の斜向かいに当たる場所には「道の駅いちごの里よしみ」があり、「道の駅いちごの里よしみ」を拠点にして「よしみコスモスまつり」に向かう人も多いようだ。会場側でもそうした人の流れを想定しているようで、会場東南側の交差点に近い辺りが会場の“入口”という様子が窺える。
よしみコスモスまつり
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「道の駅いちごの里よしみ」から交差点を渡り、人の流れに沿って「よしみコスモスまつり」の会場へ、模擬店などが並んで賑わう農道を辿ってゆくと、「よしみコスモスまつり実行委員会」のテントが設営されており、その向こうにコスモス畑が広がっていた。“見渡す限りのコスモス畑”という表現もあながち誇張ではない。広々した田園風景の中、視界の向こうまでコスモスの花が風に揺れている。吉見町の中央部から東部にかけて、北から東に荒川が、南には市野川が流れ、それらに囲まれるようにして広大な水田地帯が広がるところだ。西部の丘陵地は遠く、見回しても山々のシルエットは見えない。すぐ横を送電線が通っており、鉄塔の姿も視界に入るが、それもかえって風景の広大さを強調しているように感じる。
よしみコスモスまつり
畦道を利用した散策路を辿ってコスモス畑の中に入れば、周囲をコスモスが取り囲む。青く澄んだ秋空の下、視界いっぱいに広がるコスモスはたいへんに美しい。日差しを受けて輝く様子もよく、逆光を弾いて風に揺れるコスモスも興趣に富んでいる。のんびりと歩きながら景観を楽しむのもいい。少し屈んで低い視点で眺めてみるのも楽しい。コスモス畑の中をあちこち移動してみれば見える景観の表情が変わって飽きない。
よしみコスモスまつり
コスモス畑の中央部辺りには足場を組んで少し高みから眺められるようにした“展望所”も設けられている。2mほどの高さだが、コスモス畑の全容を俯瞰するような視点で楽しめる。その横のコスモス畑では「コスモス摘み取り」も行われており、有料だがなかなかの人気を集めているようだった。
よしみコスモスまつり
コスモスまつり会場の中央部辺りを巡るだけでも充分に楽しめるのだが、外縁部まで足を延ばしてみるのもお勧めだ。端の方へゆくと来場者の姿も少なく、長閑な風景の中に広がるコスモス畑の景観が楽しめる。コスモス畑の周囲には水田地帯が広がり、黄金に実った稲穂が秋の日差しを浴びて輝いている。すでに稲刈りが終わり、藁束が立てられている水田もあった。そうした田園風景も楽しんでおきたい。
よしみコスモスまつり
「よしみコスモスまつり」会場の東側、模擬店が並ぶ農道の「下細谷」交差点側、道脇には案山子が立ち並んで訪れる人を出迎え、帰って行く人を見送っている。なかなかユーモラスな顔の案山子が並んでいる。どの案山子も農道側を向いて立っているから、本来の目的のために立っているのではなく来場者向けの演出なのだろう。
よしみコスモスまつり
「よしみコスモスまつり」会場の一角、「下細谷」交差点に近いところには枝豆畑があった。有料で「枝豆狩り」ができるそうだ。「50センチひもで1束500円」だそうである。これがなかなか人気のようだ。これを目当てに訪れる人も少なくないのだろう。脇の畦に腰を降ろしているのは、収穫した枝豆の束を横に一休みしている人たちなのだろう。
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コスモス畑の広がる区域の北側では、休耕地を利用して熱気球体験が行われていた。もちろん熱気球はロープで地上と繋がれ、ある程度の高さまでしか上がらないが、それでもかなりの高さだ。熱気球に乗ってコスモス畑を見下ろすのも楽しいに違いない。これもなかなかの人気のようで、順番を待つ人の列が絶えなかった。
よしみコスモスまつり
コスモスまつり会場東側の端には、「トラクター馬車」というものがあった。馬に見立てたトラクターで、荷車を利用して造ったらしい“客車”を引き、コスモス畑の中に設けられた通路を巡るもののようだ。遊園地のアトラクション気分で楽しめるのだろう。子どものいる家族連れに人気のようだった。
よしみコスモスまつり
コスモスまつり会場の一角ではお囃子の実演も行われていた。「北下砂高砂連」の名がある。吉見町北下砂は下細谷の北東側に位置する地区だ。この北下砂地区のお囃子連の人たちのようだ。足を止めて実演を見学する人はあまり多くはないようだが、地域の伝統として受け継がれたお囃子の演奏は見事なものである。
よしみコスモスまつり
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広大な水田地帯の中、7haに及ぶコスモス畑が広がる景観は圧巻と言っていい。会場内を巡りながら、まずその景観の素晴らしさを堪能し、その後はコスモスの摘み取りをしてみたり、模擬店で何かを買い求めたり、熱気球に乗ってみたり、お祭り気分で楽しむのがお勧めだろう。

「よしみコスモスまつり」の開催に合わせて、「道の駅いちごの里よしみ」でもさまざまなイベントが行われている。「道の駅いちごの里よしみ」に車を駐めなかった人も、道の駅に足を延ばしてみるといい。

「よしみコスモスまつり」は、やはり天候に恵まれて秋の青空の広がる日に訪ねたい。秋の日差しの下、秋空とコスモスとが織り成す色彩のコントラストが美しく、周辺の田園風景も良い風情があって素晴らしい。青く澄み渡った秋空と風に揺れるコスモス、黄金に実った稲穂、稲刈りの終わった田圃、秋という季節の美しさを実感する風景である。
参考情報
「よしみコスモスまつり」は入場料などは必要ない。無料で自由に観賞できる。

交通
「よしみコスモスまつり」の会場は鉄道の駅から距離があり、バス路線も便利ではなく、来訪には車を利用するのが賢明だ。

遠方から訪れる場合は圏央道川島ICや関越自動車道東松山ICを利用するのが便利だ。川島ICからは県道76号を北上、7kmほど辿って県道27号を西方向へ左折、交差点から1kmほどで着く。東松山ICからは国道254号を東へ進み、「下野本」交差点で県道27号を北へ左折、ICから7kmほどだ。国道17号を利用する場合は鴻巣市の「天神2丁目」交差点から県道27号へ折れ、西進すればいい。国道407号を利用する場合は東松山市の「新宿小(南)」交差点から県道27号へ折れて東進すればいい。

駐車場は会場周辺に臨時駐車場が設けられている他、「道の駅いちごの里よしみ」の駐車場が利用できる。駐車スペースは多いが、それでも「よしみコスモスまつり」開催時にはたいへんに混雑する。余裕を持って出かけた方がいい。

飲食
「よしみコスモスまつり」会場にはさまざまな模擬店が並び、ラーメンややきそば、餃子、豚汁等を販売していた。そうしたもので簡単に昼食を済ましてもいいだろう。

「道の駅いちごの里よしみ」には飲食店があるが、「よしみコスモスまつり」開催時は大変に混雑する。お弁当持参の人は「道の駅いちごの里よしみ」内の広場を利用すればいい。

周辺
周辺は広大な田園地帯だ。足を延ばして散策するのも一興だろう。

西へ向かえば吉見百穴、北へ向かえば八丁湖公園や吉見総合運動公園などが近い。桜の季節には東方に位置するさくら堤公園もお勧めだ。いずれも「道の駅いちごの里よしみ」から5km以内、車で20分かからずに行ける。
秋散歩
埼玉散歩