静岡県浜松市、浜名湖北東部に大草山という山がある。山頂には「浜名湖オルゴールミュージアム」が建ち、浜名湖の観光スポットとして人気を集める。夏の暑さの残る九月半ば、浜名湖オルゴールミュージアムを訪ねた。
浜名湖オルゴールミュージアム
静岡県浜松市、浜名湖北東部の湖岸に大草山という山がある。その山頂に「浜名湖オルゴールミュージアム」が建っている。「浜名湖オルゴールミュージアム」は約70点のコレクションを展示するオルゴールの博物館だ。
浜名湖オルゴールミュージアム
「オルゴール」と言うと、手のひらに載るようなサイズのものを連想してしまうが、「浜名湖オルゴールミュージアム」ではもっと広義の自動演奏楽器全般を対象にしており、自動演奏ピアノや自動演奏オルガン、オートマタ(12〜19世紀に主にヨーロッパで作られた機械仕掛けの人形のこと、オートマトンとも言う)なども展示されている。
浜名湖オルゴールミュージアム
さまざまな種類の自動演奏楽器が展示された館内をゆっくりと巡るのは楽しく、“このような形のオルゴールもあるのか”と興味が尽きない。100年ほど前のアンティークオルゴールもあり、マニアならぜひとも訪れてみるべきミュージアムだろう。
浜名湖オルゴールミュージアム
館内2階のコンサートホールでは毎時2回の自動演奏楽器の実演が行われる。この実演をぜひ見ておきたい。フロア奥に据えられた巨大なフェアグラウンドオルガンの演奏をはじめ、各種の自動演奏楽器の実演が行われるのだが、なかなか見応えのあるものだ。実演はミュージアムのスタッフがさまざまな自動演奏楽器を紹介しながら進行するのだが、このスタッフの話が巧みで、ついつい引き込まれ、楽しいひとときを過ごすことができる。お勧めである。
浜名湖オルゴールミュージアム
館内には自分の好きな曲のオルゴールメカを選んでオルゴールを手作りできる工房や、数々の可愛らしいオルゴールの並んだミュージアムショップもある。家族連れなら親子で手作りオルゴールに挑戦してみるのもいい。ミュージアムショップで気に入ったオルゴールを記念に買い求めるのもお勧めだ。

「浜名湖オルゴールミュージアム」の建物は「かんざんじロープウェイ」の大草山駅に隣接しており、雨の日でも濡れずに行き来できるのも嬉しい。
大草山展望台
「浜名湖オルゴールミュージアム」の屋上には展望台が設けられており、周囲360度に広がる絶景を見渡すことができる。大草山の標高は113m、南側眼下には舘山寺の温泉街を見下ろし、天候に恵まれればその向こうに遠州灘を一望する。西には浜名湖が広がり、北を見れば東名高速道路が近く、浜名湖を橋で渡ってゆく東名高速道路の姿も見ることができる。
大草山展望台
東西南北、どの方向を見ても雄大な景色が広がるが、やはり南、眼下に舘山寺の温泉街を見下ろす景観が素晴らしい。大草山と舘山寺との間には内海と呼ばれる“湾”が横たわり、その上を渡ってゆくロープウェイの姿や、その下の湖面を滑って行く遊覧船の姿などが視界に収まる景観は、まさに絶景と言っていい。
大草山展望台
屋上展望台にはカリヨンが設置されており、毎正時に、その季節と時刻に合ったメロディを奏でる。雄大な景色を眺めながら美しい響きに耳を傾けるのも素敵なひとときだ。
大草山展望台
大草山展望台
この大草山展望台、「恋人の聖地」のひとつとして認定されており、桂由美氏直筆の銘板が設置されている。NPO法人地域活性化支援センターにより運営される「恋人の聖地プロジェクト」の活動の一環で、デザイナーの桂由美氏や華道家の假屋崎省吾氏らが選定委員となり、“全国の観光地域の中からプロポーズにふさわしいロマンティックなスポット”を「恋人の聖地」として選定するというものだ。例えば夕暮れの迫る時刻、街灯りが浮かび上がる景色を見下ろしながらのプロポーズ、いいかもしれない。
かんざんじロープウェイ
大草山展望台には麓から通じる道路もあるが、山頂には観光用駐車場は無く、観光で訪れたなら「かんざんじロープウェイ」を利用して舘山寺側から往復するのが必須だ。「かんざんじロープウェイ」は舘山寺温泉街の一角、「浜名湖パルパル」というレジャー施設に隣接して設けられた「舘山寺駅」と大草山山頂の「大草山駅」とを繋ぐ。10分間隔で運行しており、気軽に利用することができる。
かんざんじロープウェイ
「かんざんじロープウェイ」は“日本で唯一湖上を渡るロープウェイ”だそうである。浜名湖東岸部に“湾”のように入り込んだ内海を跨いでおり、運行中の車内からは眼下に内海や舘山寺の街並みを見下ろす。大草山駅に近づくにつれて視点は高くなり、より遠くまで見渡せるようになる。窓外に広がる景色に見とれてうちに大草山駅に着く。わずかな時間だが、美しい眺めを堪能しながらの楽しいひとときである。
かんざんじロープウェイ
「かんざんじロープウェイ」は舘山寺と大草山とを繋ぐ交通手段であるだけでなく、それ自体がひとつの観光施設だと言っていい。浜名湖の舘山寺周辺を訪ねたなら、ぜひとも乗車してみたい「かんざんじロープウェイ」である。
かんざんじロープウェイ
前述したように、「かんざんじロープウェイ」は舘山寺側から往復で利用するのが必須、乗車券は往復で購入しよう。ロープウェイの往復乗車券「浜名湖オルゴールミュージアム」の入館券をセットにした、「オルゴールセット」と名付けられたチケットを購入するのがお得で便利だ。
浜名湖パルパル
浜名湖パルパル
「浜名湖オルゴールミュージアム」も「かんざんじロープウェイ」も「浜名湖パルパル」も、すべて遠鉄観光開発株式会社が運営する施設だ。遠鉄観光開発株式会社は他に舘山寺温泉街の中の「ホテルウェルシーズン浜名湖・華咲の湯」や「ホテル九重」といったホテルも運営しており、これらの施設が一体化して、舘山寺と大草山周辺のレジャーエリアを成していると言っていい。この周辺だけで、充分に楽しい浜名湖観光のひとときが過ごせる。宿泊込みで訪れるのがお勧めだろう。
参考情報
交通
舘山寺周辺は鉄道の駅からは遠く、バスを利用しなくてはならない。JR東海道線浜松駅から「舘山寺温泉」行きを利用するといい。

車で来訪する場合は、東名高速道や新東名高速道路を利用するといい。東名高速道路の舘山寺スマートICが最も近く、約3km(約5分)で舘山寺周辺に着く。浜松西ICからは約8km(約15分)、三ヶ日ICからは約15km(約30分)を要する。

県道320号(引佐舘山寺線)を舘山寺方面に向かって行けば、かんざんじロープウェイ駐車場や浜名湖パルパルの駐車場が設けられている。

飲食
「浜名湖オルゴールミュージアム」には飲食店は併設されていない。

舘山寺温泉の町中に飲食店が点在しているから、気に入った店を見つけて利用するといいだろう。

周辺
舘山寺周辺には浜名湖遊覧船の発着所がある。遊覧船を利用して湖上からの浜名湖遊覧を楽しむのもお勧めだ。

舘山寺のすぐ東側には「はままつフラワーパーク」が設けられている。その名のように四季折々の花が楽しめる施設だ。その北側には「浜松市動物園」が隣接している。

南へ7kmほど下れば「浜名湖ガーデンパーク」、浜名湖畔に設けられた開放感溢れる公園だ。

北へ辿れば12kmほどで井伊直虎縁の寺として有名な龍潭寺、14kmほどで東海地方最大級という観光鍾乳洞、竜ヶ岩洞だ。車で訪れた際には併せて訪ねてみるのもお勧めだ。
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