そうした生い立ちの公園だから、ベルモント公園にはオーストラリアのさまざまな事物が展示されている。公園外周壁のタイルにはベルモント郊外で造られたレンガを輸入して用い、門柱にはベルモント市の紋章を描いたタイルが埋め込まれている。園内でひときわ目を引くレンガ造りの洋館はオーストラリアの工芸品や日用品などを展示した「陳列館」で、オーストラリアの文化に触れることのできる施設だ。陳列館の横手に建つお洒落な意匠の電話ボックスはオーストラリアで実際に使用されていたものを輸入したのだそうだ。陳列館の前には特徴的な形の赤い花を咲かせる樹木がある。オーストラリア原産のブラシノキで、花の形が瓶を洗うブラシに似ていることから、この名があるという。ブラシノキの他にもオーストラリア原産のフサアカシアも植えられているが、こちらは花期が早春なので残念ながら花を見ることはできなかった。園内の池には西オーストラリアの州鳥である黒鳥(ブラックスワン)が飼われている。黒鳥はオーストラリア南部が原産の鳥で、ベルモント近くのスワン川にも多く生息しているという。池の横手の広場の中央に置かれた野外彫刻はオーストラリアの彫刻家ルウ・ランバート市の「流れの出会う場所」という作品で、1992年の足立区国際野外彫刻展に出品されたものだそうだ。また園内の広場に羊のオブジェが置かれているのもオーストラリアに因んだものだろう。遠目に見るとまるで本物の羊がいるようで楽しい。