晩秋の東京都庭園美術館は何と言っても日本庭園のモミジの紅葉が美しい。特に池の北側、茶室「光華」周辺のモミジが見事だ。モミジの木は大きく枝を張り、園内の散策路は紅葉の天蓋を設けたように紅葉に染まる。やはりこうした日本庭園で見る紅葉は繊細な情緒に富んで良い風情がある。庭園の中心に据えられた池の景観や、岸辺に植えられた松、丸く刈り込まれた低木類、石灯籠や茶室の佇まいなど、そうしたものとの組み合わせで見るモミジの紅葉はひときわ美しいように思える。紅葉そのものも美しいものだが、“紅葉に染まる庭園の美しさ”というものを堪能できるのがいい。