この桜並木の中でも、特に睦橋からJR五日市線が多摩川を跨ぐ橋梁までの約1kmほどの区間は景観も見事で花見客も多く、メインとなるところだと言っていい。この区間のちょうど中間点辺りには、堤防脇に明神下公園という小公園があるが、この公園は「ふっさ桜まつり」の際にはメイン会場となるところらしい。
並木の桜は大きく、堤防道を歩けば枝を張って咲き誇る桜が目の前に迫ってくるようだ。堤防道はほぼまっすぐに南北に延びているが、明神下公園の辺りでわずかに曲がる。まっすぐに伸びて遠くまで見通せる桜並木も素晴らしい景観だが、緩やかに曲がるところの並木の景観もまたたいへんに美しい。延々と連なる桜並木は南側から見れば順光を照り返して輝き、北側から見れば逆光の中に朧に霞んで空に溶ける。どちらから見ても見事な景観が楽しめる。睦橋の歩道から見下ろすように眺めてみるのもいい。俯瞰するような眺めは並木の下を歩くときとはまた違った美しさを楽しめる。
桜並木の堤防道には花見散歩を楽しむ人たちが大勢行き交っている。桜を背景に記念撮影をする人の姿もある。散策を楽しむ人が行き交う中、堤防道の脇に腰を下ろしてのんびりとお弁当を広げる人たちの姿も多い。明神下公園ではシートを広げて宴を催すグループの姿もある。穏やかな春の日を象徴するような風景だ。