東京都国立市、国立駅から南へ真っ直ぐに延びる大学通りは桜やイチョウの並木道だ。春には桜が咲き誇り、たいへんに美しい景観を見せてくれる。桜が満開の四月始め、国立の大学通りを訪ねた。
東京都国立市の中心部、JR中央線国立駅から南へ真っ直ぐに延びる大きな通りを「大学通り」という。道沿いに一橋大学のキャンパスがあることから、そう名付けられたのだろう。大学通りは片側二車線の車道と自転車レーン、緑地帯と歩道から成る広い道路で、車道と歩道を隔てる緑地帯には桜やイチョウが大きく育ち、四季折々に美しい表情を見せてくれる。「大学通りと谷保天満宮」として「新東京百景」にも選定された、国立のメインストリートに相応しい、国立の象徴のような通りだと言っていい。
大学通りには約190本の桜と約120本のイチョウが街路樹として植えられているという。春、桜の花期を迎える三月下旬から四月上旬にかけて、大学通りは桜色に染まった見事な景観を見せてくれる。大学通りの桜はソメイヨシノだけでなく、他の品種の桜も少なくない。鮮やかなピンク色のベニシダレや真っ白の花を咲かせるオオシマザクラの姿もあり、単調になりがちな桜並木の景観にアクセントを添えてくれる。
満開の桜の下、春の訪れを感じながらの散策は楽しい。駅近くにはさまざまな店舗が建ち並び、お洒落な雑貨を扱う店などもあって、そうした店を覗きつつ歩くのが楽しい。地元の人たちに加え、桜の時期にはお花見の人の姿もあって人通りは多いが、国立は街自体が端正な表情を持っているためか、雑然とした喧噪感をあまり感じないのがいい。南に進んで一橋大学入口を過ぎた辺りになると道沿いにお店は少なくなるが、道脇に建つ住宅もお洒落な意匠のものが少なくなく、緑も多く、街の景観そのものが美しい。
大学通り南端に近い辺り、国立高校北側に大学通りを跨ぐ歩道橋がある。大学通りに架けられた歩道橋として唯一のものだが、この歩道橋の上からの景観が大学通りの桜並木を堪能するベストポイントだと言っていい。歩道橋の中央部に立って北へ目を向ければ、国立駅を中心にして、その遠方の一点に向けて大学通りと桜並木が集束する。見事な景観だ。大学通りの桜並木を象徴する風景と言ってよく、この景観を撮した写真はガイド本やパンフレットなど、数多くの場面で目にする。桜の時期の国立を訪れたときには、何よりこの歩道橋からの景観を楽しんでおかなくてはいけない。
国立高校横を過ぎると大学通りもそろそろ南端に近い。南端部で大学通りは「さくら通り」と交差する。この「さくら通り」もその名が示すように桜の並木だ。時間と体力が許せば少し散策の足を延ばしたいところだ。
大学通りは全長一キロ半ほど、往復をのんびりと歩いても一時間かからない。桜の咲く景観を楽しみながら、ときどき道脇のお店に寄り道したり、気まぐれに横道に逸れてみたりするのも楽しい。桜に彩られた国立の街の散策を存分に楽しみたい。
さくら通りは大学通りの南側に東西に延びる道路で、その名のようにここも桜の並木だ。二百本を超える桜はどれも大きく、道路を覆うように枝を張って咲き誇る。道路はまさに「桜のトンネル」と化し、見事な景観となる。通り沿いにある谷保第三公園は「さくらフェスティバル」のイベント会場となるところだ。開催日に訪れたときには立ち寄ってみたい。通り沿いにはファミリーレストランも点在しているから、窓外の桜を眺めつつ食事を楽しむのもいいかもしれない。
国立の大学通りへはJR中央線国立駅が至近だ。駅を南口へ出ればすぐに大学通りだ。JR南武線谷保駅から北へ辿ればさくら通りまで数百メートルの距離だ。
駐車場は駅南口周辺を中心にいくつか存在するが駐車台数にはあまり余裕がないようだ。駐車場については「国立市観光まちづくり協会」サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)の「国立市駐車場マップ」を参考にされるとよいだろう。
駅周辺から大学通り沿いにかけてファミリーレストランやファストフードの他、地元のお洒落な飲食店も点在する。さくら通り沿いにもファミリーレストランなどが建っている。お気に入りの店を見つけて食事や休憩をするといい。
お弁当持参の場合はさくら通り沿いの谷保第三公園を利用するといい。大学通り沿いでお弁当を広げるのは難しい。
大学通りからそのまま南へ進み、南武線を渡ると谷保天満宮へもそれほど遠くはない。足を延ばして谷保天満宮へ参拝してゆくのもお薦めだ。
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