日南線の旅〜踏切の風景
竹香園口踏切
竹香園口踏切
飫肥の町の中心部からやや東に外れた辺り、国道222号から県道432号が分岐する「星倉一丁目」交差点がある。この交差点の少し東、油津方面から車で走ってくると交差点のすぐ手前という位置に、左手(南)に入り込む道がある。道の入口には「竹香園入口」の案内標識があり、さらに「日南高等学校」を示す標識も設置されている。この道へ入ってゆくと、数十メートルで日南線の踏切を越える。この踏切が「竹香園口踏切」だ。踏切の100mほど西には飫肥駅があり、踏切脇からもホームや駅舎の屋根が見えている。
竹香園口踏切
「竹香園口踏切」の名の由来は一目瞭然、竹香園へ至る道に設けられた、その入口に位置する踏切ということだ。踏切を渡れば、すでに眼前が竹香園だ。道路脇に緑の丘を背負って日本庭園が横たわっている。竹香園は明治期の飫肥出身の貴族院議員である高橋源次郎の所有地を公園として整備したもので、桜の名所としても知られている。

国道からの入口に「日南高等学校」の標識があるように、この踏切を越えてゆく道は日南高校へ至る道でもある。竹香園の日本庭園の前を抜けて進み、東側の丘上へと坂道を上ると丘の上に日南高校が建っている。日南線を使って通学する日南高校の生徒たちは、朝夕、この踏切を渡って飫肥駅と高校との間を行き来する。駅と踏切との間は線路脇の細道を辿れば近く、これが列車通学の生徒たちの通学路である。
竹香園
夏の朝、ちょうど上りの列車と下りの列車が飫肥駅ですれ違う。下りの列車が踏切を通過して駅に到着、間もなく上りの列車が駅に到着、それぞれに幾人かの乗客を降ろし、幾人かの乗客を乗せ、今度は上り列車が踏切を通過してゆく。列車が通過してゆく間、踏切が開くのを待つ車も人もない。そもそも普段からこの踏切を渡ってゆく車は少ない。夏の盛り、静かな踏切には丘の木々から蝉時雨が降り注ぐばかりである。
竹香園口踏切
竹香園口踏切
INFORMATION
竹香園口(ちくこうえんくち)踏切
【所】日南市星倉
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ページ内の写真は2015年夏に撮影したものです。本文は2016年6月に作成しました。