多摩ニュータウン内に位置する八王子市上柚木地区に各種運動施設を設けた広い公園がある。上柚木公園という。北に大栗川を見下ろす丘陵を造成して造られたもので、南はやはり造成された住宅街となって南大沢の住宅街へと続いている。公園は東西に長く、園内の案内板によれば東から「郷戸地区」「中央地区」「上柚木地区」と呼ばれ、それぞれに運動施設や広場、駐車場などが設けられている。

東の「郷戸地区」は最も早くに整備された地区で、「多目的広場」「児童遊園」「ソフトボール場」「芝生の丘」などから成る。「郷戸」はおそらく昔からのこのあたりの地域の名なのだろう。東端には二カ所の駐車場を置き、西へ向かって次第に高所となっている。

「多目的広場」はその名のように各種競技や臨時駐車場としても利用可能な広場で、休日にはボール遊びなどを楽しむ家族連れの姿を見ることが多い。その広場の南側に遊具を設けた「児童遊園」がある。小さな子どもたちのための遊び場で、普段は近所の子どもたちが親に連れられて遊んでいる。特筆するような遊具はなく平均的な児童遊園だが、近辺の子どもたちの日常的な遊び場としては充分なものだろう。駐車場が近いのも親にとっては便利なところだ。

この地区の北側部分は雑木林が残され、林と広場の間を遊歩道が延びている。「多目的広場」の傍らから、緩やかに曲がりながら坂を上って遊歩道を西へ辿ると、「ソフトボール場」の横を抜けて「芝生の丘」の下へと至る。「芝生の丘」はその名の通り、芝生の斜面で造られた小高い丘で、開放感に溢れ、休日には腰を下ろしてくつろぐ人の姿も多い。「芝生の丘」は南端部分が最も高所となって「展望広場」が設けられている。「展望広場」はなかなかの高みで、そこからは四方に眺望が開けて展望は素晴らしい。特に北方には大栗川の北側に広がる丘の風景が一望できて、その緑溢れる景観が美しい。

「郷戸地区」と「中央地区」とは道路によって隔てられているが、北側の「うぐいすかぐら橋」と南側の「やまぼうし歩道橋」によって「中央地区」と結ばれている。「中央地区」には陸上競技場が置かれている。陸上競技場の東側の「やまぼうし歩道橋」の傍らには「健康広場」という名の広場があり、各種運動用の器具が設置されている。陸上競技場の西にはちょっとした展望台があり、展望台の下から「山吹橋」で道路を渡って「上柚木地区」へと繋ぐ。

「上柚木地区」は野球場とテニスコートを置くが、案内板には「体育館予定地」というスペースも描かれてあり、やがてそこに体育館が造られるのだろう。「上柚木地区」の南端、テニスコートと駐車場に挟まれるようにして「児童遊園」があり、わずかながら遊具も置かれて子どもたちが遊んでいる。テニスコートは野球場の西に緩やかな起伏の中に置かれ、その間を舗道が辿っている。「上柚木地区」の北部は雑木林の斜面で、林の中の遊歩道を辿って大栗川河岸へと降りることができる。

大栗川河畔部分には雑木林を背負って「多目的広場」「ゲートボール場」などが置かれている。テニスコート付近は利用する人々で賑やかだが、こちらはあまり人の姿もなく、公園内では最ものんびりとした一角であるかもしれない。大栗川の向こうの道路は野猿街道と国道16号とを繋ぐ道路で、交通量も少なくないが、車の騒音が気になるというほどでもない。道路のさらに北側には上柚木の丘陵地帯が広がっている。

上柚木公園はその内容を見ても各種スポーツ施設の設置を目的とした公園であるようで、子どもたちの遊び場としては必要最小限といったところだろうか。園内にいくつか設けられた「児童遊園」も遊具類はそれほど充実しているとは言えない。一部に雑木林などが残されているものの、「残されている」という以上ではないようで、のんびりと散策を楽しむには物足りない。

それでもきちんと整備された公園の爽快感は充分で、広場で遊んだり、散策路を辿って散歩を楽しむには充分に魅力的な公園だと言えるだろう。特に「芝生の丘」の「展望広場」からの眺望は特筆に値する。この「芝生の丘」に寝ころんで休日のひとときを過ごすというのも、この公園のうまい利用方法であるかもしれない。

駐車場は各所に用意され、普段は閉鎖されて利用できないものもあるが、通常は充分な駐車スペースが確保されていると言って良いだろう。八王子駅南口から北野を経て公園の南側の道路を抜けるバス路線もあるのでバスの利用も可能だ。トイレも随所に設置されて困ることはない。特に季節の花々が充実しているわけではないが、「郷戸地区」や「上柚木地区」の一角では早春の梅や初夏のツツジなどが美しい。南側の道路を東に少し行けば「柳沢の池公園北」交差点で、柳沢の池公園が近い。