七月、本格的な夏を迎えた相模原北公園では山百合が咲く。それほど多くの花を見られるわけではないが、時間をかけて園内を巡れば林の中にひっそりと咲く姿を見つけることができる。

相模原北公園の山百合は「郷土の森」と名付けられた北西側の林の中に見つけることができる。あまり数は多くなく、歩いていればすぐに見つかるというわけではない。群生して咲く花ではないから、うっかりしていると見落としてしまうこともある。うまく見つけられないときには管理所に立ち寄り、係の人に尋ねてみれば、その日にどこで咲いているかを教えてもらえるかもしれない。

山百合は日本原産のユリで、北海道と北陸を除いて近畿以北には広く分布する。明るい林の縁や草はらなどを好む花で、関東では丘陵地などでごく普通に見られる花だったが、特に東京近郊ではすっかり見る機会が少なくなったようだ。山百合の姿は優美で気品に満ちており、木洩れ日を浴びて立つ姿などはたいへんに美しい。

「ロックガーデン」横や競技場横の「郷土の森」の縁などではオニユリが咲いていた。オニユリも日本に広く自生するユリだ。オニユリも山百合と並んで夏の始まりを告げる花だと言っていい。濃いオレンジ色の花が鮮やかで、これもなかなか美しい。

「郷土の森」や管理所周辺の園路脇ではムクゲが花を咲かせ始めている。ムクゲはアオイ科フヨウ属の落葉樹、7月から9月頃にかけてハイビスカスに似た花を咲かせる。これも代表的な夏の花のひとつだ。

相模原北公園では数多くの山百合が見られるわけではなく、“山百合の名所”とは言い難い。どちらかと言えば、“山百合を見つけることもできる”というのが正しいだろう。いよいよ本格的な夏を迎えた七月、山百合やこの季節ならではの花を探してのんびりと園内の散策を楽しめばいい。