八王子市別所〜松が谷
秋葉台から松が谷へ
Visited in October 2012
秋晴れに恵まれた十月中旬、京王相模原線堀之内駅に降りた。堀之内駅から北東の方へ辿り、大栗川の河岸を経て多摩都市モノレールの松が谷駅を目指そうと思ったのだった。この辺りは車で通り抜けることはよくあるし、京王相模原線堀之内駅付近にも頻繁に来る機会があるのだが、駅の周辺に足を延ばしたことはなかった。新たな発見を期待して、のんびりと歩こう。
その商業施設の脇、ロータリー横の歩道から南側の丘へと上る階段とエスカレーターが設けられているのだが、これがどことなくガウディの建築物を思い起こすような特徴的な意匠だ。階段途中には不思議な形をしたオブジェが置かれていたりもする。
これはスペインのバルセロナにあるガウディ設計のグエル公園を模して造られたものらしい。近隣の人にはよく知られた堀之内駅の“ガウディ風階段”だが、初めて訪れた人は驚くかもしれない。
団地の中を抜けて舗道を進むと目の前は秋葉台小学校だ。秋葉台小学校の北側に沿って舗道を進む。舗道はトウカエデの並木になっている。トウカエデの並木を通り抜けると秋葉台公園だ。
秋葉台小学校と秋葉台公園のある、この丘が秋葉台である。昔、秋葉神社が鎮座していたことから、秋葉台と呼ばれるようになったものらしい。この辺りの現在の行政上の住所表記は「別所二丁目」で、「秋葉台」という住所は存在しないのだが、こうして学校や公園の名として、あるいは団地の名の一部に「秋葉台」が使用されているというわけだ。
広場の北東側の角にはピラミッド状の構造物が設けられている。この構造物は秋葉台公園を象徴するものだろう。長い滑り台も設けられ、その滑り台を“尾”に見立てて鳥の形に造られた子どもの遊び場など、工夫を凝らして造られている印象だ。
この道路に沿って北へ進もう。道はハナミズキの並木だ。ハナミズキは赤い実をつけ、そろそろ紅葉の時期を迎えようとしている。
番場橋の袂、堀之内番場公園の対岸にも小さな公園がある。対岸の公園にも立ち寄ってみよう。広場を中心とした小公園で、堀之内洗馬川公園の名がある。堀之内番場公園や番場橋の名にある「番場」や堀之内洗馬川公園の名の「洗馬川」などは、この辺りの昔の地名なのだろう。その名にどういった土地だったのかが窺える。
この緑道脇に、おもしろいオブジェが置かれている。石柱を削って造られたもののようで、金属球で“目”が付けられている。オブジェは何体もあり、それぞれに意匠が異なっている。一見してわかるように、どうやらフクロウを象ったものらしいのだが、中にはフクロウというより蝉を連想するようなものもある。特に実用的な役割があるわけではないようで、散策する人が楽しめるようにと設置されたものなのだろう。
東中野橋から下流側、大栗川の右岸は丘陵地だ。このまま大栗川の河岸を歩いて行きたい気もするが、今回は東中野橋から南東側の丘へと歩を進めよう。東中野橋から南へ辿る道は昔からの道なのだろう。緩やかに曲がる様子が良い風情だ。そのまま南へ入り込むと、周辺には昔からの農家らしい家も建っている。見当をつけて細道を抜けて丘の上を目指す。
歩道橋を渡って住宅街の中の舗道を東へ進むと松が谷の郵便局のある一角に出た。そのまま松が谷遊歩道を東へ進もう。大塚西公園の横を抜け、数百メートル進めば多摩都市モノレールの松が谷駅だ。今回の散策もここを終点にして、松が谷駅からそろそろ帰路を辿ろう。
京王堀之内駅周辺から松が谷まで、かつての多摩丘陵を造成して造られた住宅地を歩くルートだったが、その中にぽっかりと東中野橋周辺に昔ながらの風景が残り、印象に残る散策だった。途中で大栗川の河岸も歩いたが、今回もまたほんの一部だけだった。いずれ機会を設けて大栗川河岸のもっと長い距離を歩いてみたい。