「大泉寺」バス停から東へ、バス通りを離れて小道へと逸れてしばらく進み、お地蔵様のある三叉路から北へ辿って
小山田緑地の大久保分園を目指そう。山裾に咲く梅を眺めながら歩く。「大泉寺」バス停近くの商店の店先に今は数少なくなった円柱形のポストが置かれているのも楽しい。お地蔵様の三叉路から道はほぼ真っ直ぐに北へ辿っている。道脇はまだ冬枯れの風景だ。やがて町田市営下小山田苗園を過ぎて道は緩やかに右(東)へ曲がる。やがてまた三叉路、角に道祖神がある。三叉路を左(西)に行けば多摩市唐木田の大妻女子大横へと抜け出るが、右手(東)へと辿れば小山田緑地の大久保分園方面へと至っている。
分かれ道がある。それを左手へと逸れて坂道を登るとトンボ池を見下ろす丘の上に出る。丘の上に出ると道脇に民家があり、その傍らに見事な紅梅が咲いている。澄んだ青空を背景に早春の日差しを浴びた姿がたいへんに美しい。道を逸れて、大久保分園の広場へと歩を進めると、その奧にも紅梅の林があった。民家の私有地のようだ。冬枯れの里山に鮮やかな色彩が映える。その風景を堪能したらトンボ池の岸辺へと降りてゆこう。やはり早春の風景を求めてか、トンボ池の岸辺には散策の人の姿がある。
トンボ池から東側の尾根を越えてゴルフコースの中を横切って谷戸へと降りてゆく。谷戸を北へ進むと
小山田緑地梅木窪分園のアサザ池へと至る。
アサザ池脇の広場には梅林があり、早春には美しい風景を見せてくれるのだが、さすがに今回はまだ時期が早すぎたようだ。白梅はまったく咲いておらず、わずかに二本の紅梅が咲いているだけだった。しかし冬枯れの風景の中で二本の紅梅はとてもよく映えて、早春の風情を感じさせてくれる。アサザ池を後にして、のんびりと小山田緑地の本園を目指そう。
小山田緑地本園には特に梅林などがあるわけではない。早春の澄んだ空気を楽しみながら歩く。「みはらし広場」に立つと遠い山並みの向こうに微かに富士山の頂上部分が見えた。「みはらし広場」の横の小径を降りてゆく。小径は畑地の中を辿って家々の並ぶ集落へと降りてゆく。畑地を辿る小径の脇で梅が咲いている。飾り気のない素朴な佇まいが良い風情だ。なかなか美しい形の枝垂れの梅もある。見上げると澄んだ青空を背景にした梅の花の鮮やかさが眩しい。早春の味わいを堪能したところで、そろそろバス停に向かって帰路を辿ることにしよう。
梅の開花が早い年だったとは言え、市街地などに比べれば下小山田町の辺りではやはり梅の開花は少し遅いのかもしれない。それでも見事な紅梅などにも出会え、早春の風情を存分に味わうことのできた散策だった。この辺りは昔ながらの素朴な風景の残るところだ。その風景の中に、梅の花がよく似合う。