横浜市港北区菊名〜篠原東〜篠原西町〜岸根町
春の妙蓮寺から岸根公園へ
Visited in April 2019
桜が盛りの四月初め、東急東横線妙蓮寺駅を降りた。菊名池公園に立ち寄ってから西へ進んで岸根公園まで、桜の咲く風景を探しながらのんびりと歩いてみようと思ったのだった。わずか2km足らずの短い距離だが、だからこそ時間をかけてゆっくりと辿ってみたい。
菊名池公園の南端部、道路脇に菊名池弁財天が祀られている。道路に面して鳥居が建ち、その横に桜が咲いている。それほど大きな桜ではないが、春空に映えて美しい。
菊名池公園は水道道を挟んで北と南の二つの区域に分かれている。南側の区域にはプールが設けられている。もちろん桜の季節にはプールは営業していない。ただの池と化したプールに鴨が泳いでいる。プール脇からも菊名池弁財天横の桜が見えている。新緑が芽吹いた柳とのコントラストが美しい。
水道道側の部分には広場がある。広場では地元の子どもたちが遊んでいる。広場の西側の端、ケヤキの新緑に混じって桜が咲いている。公園でくつろぐ人たちと桜と新緑、春の青空が穏やかな春の公園の風景を織り成している。
広場を通り抜ければ菊名池の岸辺に出る。菊名池の西側の岸辺に桜が並んでいる。桜の数はそれほど多くはないが、池の上に大きく枝を張りだして咲く桜の姿が見事だ。池には鴨の姿がある。群れを成して水面を泳ぐのはキンクロハジロだろうか。長閑な風景である。
坂道を上れば小高い丘の上だが、もちろん周辺はすべて住宅地で、“尾根伝い”という印象は薄い。建ち並ぶ住宅の中を歩いて行く。住宅の庭木に春の花が咲いている。見事なハナモモの咲くお宅もあった。そうした風景を楽しみながらのんびりと歩こう。
桜の景観を楽しみながら、いったん坂の下へ降りて、また上ってこよう。年月を経て大きく育った桜並木は圧巻の風景だ。坂上から見下ろすのも美しく、坂下から見上げる景観も素晴らしい。道は車両の通行もある一般道だが、ほとんど車は通らない。のんびりと花見散歩が楽しめる。
すぐに変則的な形の交差点がある。真っ直ぐに西へ向かう道に左手(南側)から2本の道路が交差している。この交差点は町の境に位置しており、この先(西側)は篠原西町だ。地図を確認すると、このまま真っ直ぐに進んでゆくとすぐに水道道に出るようだ。西南西の方角へ坂を下りてゆく道を選ぶ。交差点から100mほど坂を下って、南側に入り込んでいった先に篠原西町公園という公園があるから、篠原西町公園に立ち寄っていこう。
広場から西へ降りてゆくと公園の外に出るが、道路を挟んだ斜向かいにも広場がある。この広場も篠原西町公園の一部であるようだ。その広場も外縁部に桜が並び、春の青空を背景に美しく咲き誇っている。
水道道は横浜市主要地方道85号鶴見駅三ツ沢線の一部で、西は新横浜通りとの「下耕地」交差点から東は鶴見区の「響橋」交差点までの区間を指す。1934年(昭和9年)に野毛山浄水場からの水道管がこの道路沿いに設置されたことから、いつしか「水道道」と呼ばれるようになったものという。現在も水道管は設置されており、西谷浄水場から送水されているそうだ。
一方の横浜上麻生道路は神奈川区の「東神奈川駅前」交差点が起点、川崎市麻生区の「上麻生」交差点が終点である。「横浜上麻生道路」というのは横浜市内での呼び名で、川崎市では「麻生通り」と呼ばれる。横浜上麻生道路は特に交通量の多い道路だ。「西岸根」交差点も信号が変わる度にひっきりなしに車が通り過ぎてゆく。
桜の木も多く植栽されており、花見の名所としても知られるが、ちょうど今が桜の盛り、園内は花見を兼ねて行楽に訪れた人たちで賑わっている。のんびりと園内を巡って桜の咲く景観を堪能してから、帰路を辿ることにしたい。
帰路は公園のすぐ横に設けられた「岸根公園」駅から横浜市営地下鉄に乗ってもいいが、公園前のバス停から中山駅までバスに乗り、中山から横浜線に乗るのがいつものやり方だ。バスの車窓からのんびりと沿道の景色を眺めるのも楽しい。
今回の散策ルートのいちばんの目的は菊名池公園と岸根公園だった。その二つの公園の春景色を楽しみつつ、その間を歩いてみようと思い立ったのだったが、武相学園前の桜並木や篠原西町公園の桜など、美しい春景色に予期せず出会うことができて楽しい散策だった。岸根公園からさらに北へ辿ってみたいと思ったが、それはまた日を改めることにしたい。