横浜線沿線散歩公園探訪
町田市本町田
町田えびね苑
May 1999
現況と異なる内容を含んでいます
町田えびね苑
10万株のエビネで知られる町田えびね苑は町田市本町田北部の鎌倉街道沿いの丘陵の林の中にある。横の道路を車で通りかかってもあまり目立たず、開苑期間も限られているので知らない人も多いかもしれない。市販の地図には「本町田丸山緑地」と記してあったりするので、この緑地内に町田えびね苑が造られたということなのだろう。

町田えびね苑のパンフレットによれば、昭和62年度から昭和63年度にかけて林内と苑路の整備を行い、平成元年4月に開苑したのだそうだ。苑内は昼間でも薄暗い林の中だが、そもそもエビネがそうした環境に適した植物であることもあり、以前はこの森に多く自生していたのだという。整備中に4株の自生のエビネが確認され、それを自生のままに保護するとともに、町田で育成可能なキエビネ、タカネエビネ、ヒゴエビネ、ヒゼンエビネ、サルメンエビネ、キリシマエビネ等が植え込まれたのだということだ。

町田えびね苑 キエビネ

町田えびね苑 クマガイソウ

町田えびね苑 クリンソウ
苑内は丘陵の谷戸部を利用した造りで、エビネの植えられた斜面の林に取り囲まれるように中央部の低地に小さな池がある。池の北西側の林が特にエビネが見事で、林の中に網の目のように設置された散策路を辿って花を楽しむことができる。その斜面の下方の部分にはクマガイソウもあり、その特異な形状の花が人気を集めている。池の周囲はシャガが多く、また南西側に奥まったあたりにはクリンソウが鮮やかな色でひっそりと咲いている。

池の周囲は平坦な場所で、休憩所やベンチなども設置され、一休みする人やお弁当を広げる人の姿も多い。池のあたりから南東側に登っていったところが南側の入口で、ここに管理事務所とトイレも設置されている。池の東側から北へ向かって登るとちょっとした芝生の広場があり、その一角でエビネのシーズンにはお弁当や飲み物などを販売しているようだ。芝生広場をさらに北側に登ったところに北側の券売所が置かれている。券売所の横の小道を辿って行くと、鎌倉街道に面した交差点の角に出て、そこからなら薬師池公園も近い。芝生の広場の北側の斜面から北の券売所付近、そして北入口へ至る小道沿いには紫陽花が多く植えられており、6月の紫陽花のシーズンの景観は見事だ。

苑内は深い木立に覆われて薄暗いほどだが、木漏れ日は美しく、陽光に浮かび上がるような花々の佇まいが素晴らしい。花々に興味のある人ならぜひとも訪れてみるべき場所だろう。散策を楽しむ人たちに混じって、写真趣味の人たちの花々にレンズを向ける姿も多いが、林の中の散策路は「通路が狭いため、三脚の使用はご遠慮下さい」との注意書きがある。三脚を使用せずに撮影するのはなかなか難しく、三脚を使用したくなるのはわかるが、周囲の迷惑にならないように気を付けて欲しいものだ。

町田えびね苑は基本的にエビネのシーズンである4月下旬から5月中旬までしか開苑していないので訪れる際は注意が必要だ。またエビネのシーズンの開苑期間は入苑料が必要となる。訪れた際はまず券売所でパンフレットを貰うとよいだろう。通常の印刷物のパンフレットと、手書き原稿によるコピーのパンフレットの二種を貰ったが、手書きコピーのものはイラストマップなどの手作り感覚が楽しいものだった。

町田えびね苑に駐車場は無いが、薬師池公園から近いのでそちらの駐車場に車を置いて訪ねてきてもかまわないだろう。鎌倉街道を南に向かってゆくと、左手に薬師台中学校のある交差点の角に北入口があるのでわかる。バスで訪れるのであれば、小田急町田駅のバスセンターから藤の台団地行きのバスで「藤の台団地」で下車、あるいはPOPピル前バス停で本町田経由野津田車庫行きのバスで「今井谷戸」か「薬師池」で下車して、それぞれ徒歩5分ほど。「藤の台団地」バス停と「今井谷戸」バス停からなら南入口が、「薬師池」バス停からなら北入口が、それぞれ近い。
追記 町田市では2014年度(平成26年度)から薬師池公園とその周辺を一つの大きな地域公園として捉え、「町田薬師池公園 四季彩の杜」の名称で整備を進めている。それに伴い、「町田えびね苑」は「町田薬師池公園 四季彩の杜 南園」に、他もそれぞれに呼称が改められている。本頁の内容はそれ以前のものであることもあり、以前の呼称のままにしておきたい。
町田えびね苑