横浜線沿線散歩公園探訪
横浜市青葉区もえぎ野
もえぎ野ふれあいの樹林
Visited in April 2004
もえぎ野ふれあいの樹林
横浜市もえぎ野の住宅地の東端、もえぎ野公園から道路を挟んだ北側に、こんもりと雑木林の残る緑地がある。この緑地は本来は私有地で、周囲が端正な住宅地となってからも、その中にひっそりと異空間のように残り続けた雑木林だった。現在では「もえぎ野ふれあいの樹林」として整備され、一般にも公開されている。「ふれあいの樹林」は市街地の中に残る小規模の緑地を所有者の協力を得て横浜市が借り受け、市民の憩いの場として整備、一般開放したもので、ほとんどが1haから2haほどの面積を有する。この「もえぎ野ふれあいの樹林」は1.4haの面積で、1998年(平成10年)8月に開園している。
「もえぎ野ふれあいの樹林」への入口は、もえぎ野公園に相対する道路脇と、その反対側の二カ所に設けられている。中はまるで農家の裏山という佇まいで、かつてこのあたりにのどかな里山の風景が広がっていた頃のことを彷彿とさせるものだ。

もえぎ野ふれあいの樹林
鬱蒼とした雑木林の中にわずかな広場があり、木々の中を縫って散策路が延びる。規模としてはそれほど大きいものではないから、北側の入口から南側の入口との間を尾根を越えるように辿るとすぐに反対側に出てしまうが、木洩れ日の中、鳥の声を聴きながら雑木林や竹林の中を抜けてゆくのは楽しい。

その散策路の途中、西へ分け入ってゆく小径がある。少し坂道になっていて、やがて西端の高みへ至る。そこから木々の隙間に眺望が開ける。外から見るとこの緑地はそれほどの高みではないようにも思えるのだが、ここからの眺めは眼下に家々を見下ろす。なかなか爽快な眺めだ。

散策路をゆっくりと歩いていると、木々にネームプレートが付けられているのに気づく。ネームプレートは手書きの素朴なものだ。この「もえぎ野ふれあいの樹林」は愛護会の人たちが管理を行っているようで、このネームプレートも愛護会の方々の手によるものなのだろう。見上げると木の高みに鳥の巣箱が取り付けられていたりもする。
周辺は東急田園都市線藤が丘駅からそれほど遠くない住宅街だが、その中にこれほどの雑木林が残るのは貴重なことだと言えるだろう。端正に整備された公園とはまた違って、素朴な里山の面影を残し、郷愁を誘うような風情がある。この樹林ともえぎ野公園の池との双方を共に楽しむとさらに魅力が増すだろう。野鳥たちにとっても、樹林と池とが隣り合っているのは、住宅街の中のオアシスのような場所であるかもしれない。
もえぎ野ふれあいの樹林