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横浜市青葉区寺家町
早春の寺家ふるさと村
March 2000
早春の寺家ふるさと村
三月初めの寺家ふるさと村は、まだ冬枯れの風景だ。葉が落ちて侘びしげな雑木林の木立や、耕作を待つ乾いた水田など、春を待つ里の風情が漂っている。その中に民家の庭先などに咲く梅が鮮やかな色で浅い春を告げているかのようだ。

早春の寺家ふるさと村
都市化の進む首都圏において今なお古き佳き時代の里山の自然を残す場所として、寺家ふるさと村はすっかり有名になった。四季を通じて訪れる人は多いが、この季節も早い春を求めてか、散策する人の姿は多い。「むじな池」の傍らには梅林があるものの、それほど大きな規模のものでもなく、訪れる人のほとんどは梅が目当てではないように見える。

季節感の無い街中に暮らす人にとって、冬枯れの残る中に春の芽吹きを感じる寺家の風景は、本来あるべき姿の自然を感じさせるという点で楽しく、その中に身を置いてみるだけでも意味のあることなのだろう。冬枯れの林を抜けてくる風はまだ少し肌寒く、しかし場所によっては日溜まりとなって暖かく、水田の横を流れる水は少しだけ温んでいるような気もする。ふと通りかかった民家の庭先に梅が咲いており、風向きによって甘い香りが漂ってくる。そうした何気ない事柄のひとつひとつが、暖房の効いた部屋や温室育ちの花々や季節感の無いアスファルトの街路に慣れた身には新鮮で、貴重だ。

梅の名所というわけでもなく、ただ昔ながらの景観がよく残るというだけの寺家だが、だからこそ浅い春の日差しを浴びての散策が楽しい。
早春の寺家ふるさと村