横浜線沿線散歩街角散歩
八王子市堀之内
大栗川河畔
(堀之内)
Visited in October 2021
大栗川河畔(堀之内)
よく晴れた十月下旬、ふと思い立って堀之内方面へと出かけた。大栗川の河岸を中心に周辺を歩いてみたいと思ったのだった。大栗川に大田川が合流する辺りから、下流側の新道橋の辺りまで、寄り道をしながらのんびりと巡ってみたい。
大栗川河畔(堀之内)
京王相模原線堀之内駅から北へ数百メートルで大栗川の河岸に出る。大栗川橋が大栗川を跨いで都道155号町田平山八王子線を通している。都道155号は、この辺りでは「平山通り」と呼ばれている。「平山通り」から大栗川右岸側(南側)の河岸を上流側へと辿っていこう。

大栗川の河岸には「由木緑道」という名の緑道が整備されている。緑道は桜並木で、すでに紅葉に染まり始めている。色付き始めた桜の下を歩く。

大栗川河畔(堀之内)
緑道にはところどころに面白いオブジェが置かれている。石柱に金属球が二つ埋め込まれ、その下には三角形の金属パネルが埋め込まれている。顔を模したものだろう。よく見ると石柱の下部分の側面にも三角形のパネルが埋め込まれている。これは、羽か。とすれば、鳥をデフォルメしてデザインしたものか。オブジェはそれぞれに形状が違い、一見してフクロウを思わせるものもあるが、蝉を思い起こさせる形状のものもある。オブジェを探しながらの緑道散歩も楽しい。

大栗川河畔(堀之内)
大栗川に大田川が合流している。合流点を過ぎれば緑道は大田川の右岸に沿うことになる。大栗川橋から300mほどで峯ケ谷戸橋だ。

峯ケ谷戸橋を渡ると、右手(東側)には大栗川公園がある。公園は大田川と大栗川、峯ケ谷戸橋を通る道路とに挟まれた三角形の形状をしている。道路がわに広場があり、先端部に行くほど低くなっている。風車を思わせるオブジェやギリシャ神殿の石柱を思わせるオブジェなどが置かれているのが面白い。十月下旬、広場脇のモミジバフウが紅葉に染まり始めていた。

大栗川河畔(堀之内)
大栗川公園から内田橋で大栗川を渡って、大栗川の左岸の舗道を下流側に辿る。舗道脇にはキバナコスモスが咲いている。対岸を見ると紅葉に染まり始めた桜並木が陽射しを弾いて美しい。

少し進むと大栗川と大田川の合流点だ。さらに進んで振り返れば合流点の景色がよく見える。秋空の下で見る景観が美しい。合流部の先端の立地を活かした公園の様子がよくわかって面白い。
大栗川河畔(堀之内)
やがて大栗川橋だ。大栗川橋から平山通りを北へ辿ってみる。すぐに野猿街道との交差点がある。信号が変わるのを待って野猿街道を横断、さらに北へ進む。

200mほど行ったところで平山通りはトンネルを抜ける。トンネルとは言っても高い尾根などを貫いているわけではない。トンネル横には木々の茂った丘があるが、どうしてもトンネルを設けなくてはならなかったような地形には思えない。トンネルの上には鳥居が見えているから、おそらく脇に神社があり、そのために切り通しにせずにトンネルで道路を通したものだろう。以前から気になっていたところだ。今回、トンネルの上を見てみよう。

大栗川河畔(堀之内)
トンネルの30mほど手前、道路西側の舗道脇にトンネル横の丘に通じると思われる坂道がある。入口には「堀之内北八幡緑地」と書かれた標柱が建っている。そこを登っていこう。

坂道は下の方では未舗装の路面を階段状に整備した状態だが、やがて舗装路になる。坂道の途中から振り返ると南に視界が開けて京王堀之内駅方面への景観が広がる。なかなか爽快な眺望だ。

大栗川河畔(堀之内)
坂道を登り切った先には鳥居があった。鳥居には「北八幡神社」とある。その西側の丘に、木々に包まれて社殿が東を向いて鎮まっている。

八幡神社であるから祭神は応神天皇(誉田別尊)である。境内に設けられた「北八幡神社の歴史」と題された案内パネルによれば、この北八幡神社は天文年間(1532〜1555年)に、滝山城を拠点とした大石定久(道俊)の弟である大石宗虎(後の定基)が鎌倉の鶴ヶ岡八幡宮を分祀して堀之内寺沢の宮嶽山に祀ったのが始まりという。その後、現在地に遷座、堀之内村、松木村、越野村の三村の鎮守として人々の篤い信仰を受けてきた。

なるほど、この北八幡神社の境内地とその周辺を昔のままに残すために、道路が切り通しではなくトンネルで造られたのだろう。

大栗川河畔(堀之内)
北八幡神社の境内地の周辺が堀之内北八幡緑地なのだろうと思うが、どこまでが神社の境内地なのか判然としない。社殿の裏手には眺望の開けた場所があり、富士山の山頂部分も見ることができた。

平山通りが抜けるトンネルの上は緑地のスロープになっていて、舗道が延びている。舗道を辿って平山通りの東側へ降りていこう。この辺りは今ではすっかり新しい住宅街になってしまったが、昔は長閑な農村風景の広がるところだった。今でも住宅地の北側にはそうした風景が残っており、住宅地の中にも昔ながらの里山風景を活かした公園が整備されている。そちらにも散策の足を延ばしてみたいが、それはまた次の機会にしよう。
大栗川河畔(堀之内)
北八幡神社からスーパーの横を抜けると十字路がある。交差している道路はそれほど広い道路ではないが、実はこれは都道503号相模原立川線だ。都道503号を北へ辿れば日野市に至り、多摩動物公園方面へと抜け出る。

その都道503号を南へ、大栗川方面へ辿っていこう。道脇には学生向けらしい集合住宅なども建っている。この辺りは周辺に中央大や明星大、東京薬科大、帝京大などの大学が点在しており、学生向けのアパートなどの需要も多いのだろう。道脇では熟れた柿の実が陽射しを浴びていた。青空に映えて美しかった。

大栗川河畔(堀之内)
少し行くと都道沿いに堀之内芝原公園という公園がある。周囲からは一段高くなって、こんもりとした丘のような公園で、さらにその中央部には富士塚を思わせる丘がある。それほどの高みではないが、丘の頂上からは周囲に視界が開けていて眺めを楽しむことができる。

園内の木々もそろそろ秋の色に染まり始めている。少し黄色を帯びたカツラの葉が陽光を浴びて美しい。イチョウがきれいに並んだ場所もあって、黄葉の季節に訪れてみたいと思わせてくれる。

大栗川河畔(堀之内)
堀之内芝原公園の東端部から南へ抜ければすぐに野猿街道、野猿街道を横断してさらに南へ進めばすぐに大栗川だ。大栗川の河岸の舗道を下流側に歩く。ほどなく新道橋に着く。

新道橋を渡って左岸の舗道を150mほど下流側へ辿ると、河岸に堀之内番場公園がある。堀之内番場公園に寄り道し、園内を一回りしたら、京王堀之内駅を目指し、帰路を辿ることにしたい。
大栗川河畔(堀之内)
以前から平山通りのトンネルの上がどうなっているのか気になっていた。ようやく機会を設けて訪ねることができてよかった。今はすっかり住宅街になってしまったが、北八幡神社の佇まいに昔の風景を偲ぶことができた。次の機会には堀之内の北部、長閑な里山風景の残る地域へ足を延ばしてみたい。
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