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横浜市中区海岸通
大さん橋
January 2017
大さん橋
「開港広場」前の交差点から海側へと歩くと、大きな客船ターミナルがある。「横浜港大さん橋国際客船ターミナル」という。いわゆる「大さん橋」である。
この付近はかつて横浜開港期に石組みの波止場が設けられた場所だった。1800年代の終わり頃、この波止場の東側のもの、当時「イギリス波止場」と呼ばれたものの延長上に鉄さん橋が設けられた。イギリス人技師パーマーの設計による鉄さん橋は460メートルほどの長さのもので、1894年(明治27年)に竣工、これが横浜港に於ける最初の築港工事だという。この鉄さん橋が現在の「大さん橋」の原型で、完成後は関東大震災による被害と復興、戦後の米軍による接収などを経ながら、幾度かの改修を重ねて客船ターミナルとして使用されてきた。1975年(昭和50年)には有名なイギリス客船「クイーン・エリザベス2」が入港、停泊中の三日間に50万人以上の見学者が訪れたという。

その客船ターミナルもやがて老朽化、平成の時代になって大規模な改修工事が行われることになった。1993年(平成5年)に代替ターミナルが完成、2000年(平成12年)にターミナル新築工事が始まり、2002年(平成14年)6月に現在の客船ターミナルが完成している。
大さん橋
「開港広場」前の交差点から海の方へ歩いてゆくとすぐに客船ターミナルに着く。アプローチの道路から緩やかに坂になって続き、真正面は車寄せの向こうにエントランスがある。車道の両脇の舗道はボードウォークのスロープで、途中からは客船ターミナルの建物の屋上部分へと向かうスロープが設けられている。

大さん橋から見る赤レンガ倉庫とみなとみらい地区
屋上部分は2002年(平成14年)9月から利用可能となったもので、ボードウォークとなった中に芝生を貼った区域を設けた広場になっており、随所にベンチも設けられている。屋上の広場からは周囲に展望が開け、海風に吹かれながら爽快な気分が味わえる。左手西側には間近に赤レンガ倉庫が見え、その向こうにはみなとみらいの高層ビル群、さらに横浜の街並みを一望する。眼前に広がる横浜港を見ながら視線を右手東側に向けると、ベイブリッジとその下を行き交う大小の船の姿が見える。さらに右手へと視線を移すと、山下公園と氷川丸、マリンタワーなどの姿が視界に入ってくる。そうした景観を求めてか、屋上の広場には観光客らしき人たちの姿も多く、突端部分からひととき景色を眺めて帰ってゆく。

この屋上広場の中央部分は、スロープが複雑に組み合わさって三次元曲面を成している。とても不思議な気持ちになる形状なのだが、海洋面のうねりを表現したものなのだそうで、その形状の印象から「くじらのせなか」の愛称があるという。実はこの客船ターミナルの建物はいっさいの柱や梁が無い構造であるらしく、おそらくこの不思議な三次元曲面の構造自体で屋上部分、すなわち屋根を支えているのだろう。
大さん橋
客船ターミナルの建物には柱や梁が無いとのことだが、階段も無いという。階段の代わりに設けられたスロープから二階部分に降りると、柱の無い大空間の中に出入国ロビーや税関などが置かれ、最も奧の部分、すなわち突端部分には「大さん橋ホール」という施設が設けられている。「大さん橋ホール」は2002年(平成14年)12月1日に完成、これに併せて「横浜港大さん橋国際客船ターミナル」もグランドオープンを迎えている。一階部分は駐車場で、400台ほどの駐車が可能という。

大さん橋から見る横浜ベイブリッジ
横浜観光に訪れた立場では出入国ロビーに特に縁はないが、二階部分の一角にはお店や喫茶コーナーなどもあり、ちょっとしたひと休みに良いかもしれない。東側に面した喫茶コーナーでは窓外にベイブリッジや山下公園などが間近に見える。軽食も可能なので、観光や散策の際のひと休みの場所として意外な穴場であるかもしれない。店内の壁面に、ニューヨーク、ロンドン、ヨコハマ、ホノルル、シドニーといった世界各地の都市の時刻をそれぞれに表示した時計が設置されているところなどは、「国際客船ターミナル」らしいところだろうか。
横浜観光や散策に訪れた立場では、「大さん橋」はやはり屋上広場からの景観が魅力だろう。赤レンガ倉庫やみなとみらいのビル群を海側から見る視点が楽しい。海外の著名な客船が停泊中であればさらに楽しいだろう。そして時には、客船ターミナルからのクルーズを楽しむのもよいものかもしれない。
大さん橋