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冬の夜の横浜2002
December 2002
現況と異なる内容を含んでいます
冬の夜の横浜
今年もまたクリスマスイルミネーションの輝く横浜の街を歩いた。最近は毎年訪れてはいるのだが、年末に向かう慌ただしさの中、クリスマスの飾り付けがなされた街を歩くのは楽しい。元町を抜けて山下公園通りを経て、今年整備された「山下臨港線プロムナード」を辿って新港地区からみなとみらい地区を目指すことにしたい。
根岸線の石川町駅を降りた時にはまだ明るく、街のイルミネーションも点灯されていない。駅近くのコーヒーショップに立ち寄り、時間調整だ。外がそろそろ薄暗くなった頃を見計らってコーヒーショップを後にした。石川町の商店街は今年も駅前の樹木にイルミネーションが施されている。特別凝ったデザインではないが、夕暮れの街を訪れる人を出迎えているようにも感じられる。商店街の街灯にもクリスマスイルミネーションが輝いている。

冬の夜の横浜
石川町の商店街を抜けると元町だ。毎年イルミネーションの取り付けられるモニュメントには、今年は中央部に大きなリースが提げられている。赤いリボンの付けられたリースもイルミネーションに縁取られている。街灯に取り付けられたクリスマスツリーを象ったイルミネーションは昨年と同じもののようだ。通りを歩けば、それぞれの店先のクリスマスの飾り付けが楽しい。平日の夕方とあって道行く人々は皆どことなく気忙しげだが、それもまた年末の風情のひとつかもしれない。

「Motomachi Twinkle Christmas 2002」を開催中の元町商店街では、今年もクリスマスソングのコンサートなどのさまざまなイベントを週末に行っているようだ。土曜、日曜の午後には北欧からやってきた「本物のサンタクロース」が通りを「散歩」しているのだそうで、子どもたちの人気を集めているかもしれない。

元町は例年通りのイルミネーションという印象だが、それはそれで良いもので、基本的には同じだがどこかが少しだけ違う、という様子が楽しい。元町の雰囲気を楽しみつつ通り抜けた後は、フランス橋を経由して山下公園通りへと歩を進めることにしよう。
冬の夜の横浜
フランス橋から「横浜人形の家」の傍らを抜けて山下公園通りの歩道へ降りる。「横浜人形の家」からメルパルクの横を過ぎるとマリンタワーだ。マリンタワー基部のイルミネーションは今年もクリスマスツリーを象ったものだ。昨年のものと同じだが、取り付けられた装飾の点滅の仕方がほんの少し違っているようにも思える。ライトアップされたマリンタワーも冬の空気の中に美しい色を放っている。
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すっかり葉の落ちたイチョウ並木の向こうに氷川丸の姿を見ながらさらに進むと、やがて「ザ・ホテル・ヨコハマ」前に着く。「ザ・ホテル・ヨコハマ」は昨年も通りに面して美しいイルミネーションが施されていたので、期待していたのだが、昨年と同様の幻想的なイルミネーションが輝いている。今年も、というより「ザ・ホテル・ヨコハマ」のこの季節のテーマは「天使」なのだそうで、イルミネーションの中に小さな天使の像が浮かんでいる。天使は白い花のリースに包まれ、いっそう幻想的な雰囲気を漂わせている。ホテル内のレストランでは「天使」をテーマにしたオリジナルメニューなども用意しているようだ。イルミネーションだけでなく、ゆっくりと食事を楽しむのもよいかもしれない。
冬の夜の横浜
山下公園通りを抜けて海岸方面へと向かうと大さん橋だ。大さん橋の客船ターミナルではエントランス部がイルミネーションで縁取られ、中央上部には光のリースが提げられている。フロア内には大きなクリスマスツリーが置かれている。客船ターミナルの装飾は特筆するほど素晴らしいものではないが、大さん橋の魅力はみなとみらいのビル群やマリンタワー、氷川丸などを海側から見る景観だろう。イルミネーションに飾られて横浜港内を行き来する客船の姿が間近に見えるものいい。横浜の新たな夜景スポットのひとつに数えられることは間違いないだろう。

冬の夜の横浜
ここから見るみなとみらいのビル群の夜景はやはり素晴らしいもので、視点が少し離れているせいか、間近にみる夜景より光が凝縮されているように感じられて美しい。東側に視線を向ければイルミネーションに縁取られた氷川丸とライトアップされたマリンタワーの姿が見える。ついさっき山下公園通りを歩いているときには氷川丸のツリー形状のイルミネーションが見あたらず、「今年は無いのだろうか」と思ったのだが、今見るとしっかり点灯している。さきほどは時刻が早すぎたために点灯していなかったのかもしれない。

大さん橋を後にしようと歩き始めた時、やってきた若いカップルとすれ違った。女の子の方が「きれーい」と歓声を上げながら走ってゆき、男の子の方はゆっくりとした足取りでその後を追っている。天真爛漫な女の子の様子が微笑ましくもある。
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大さん橋から戻り、「山下臨港線プロムナード」へと上がると、プロムナードにもイルミネーションが施されていた。海側のフェンスに光の「波」が輝き、その向こうにみなとみらいの夜景が見える。プロムナードを行き来する人の姿がシルエットで浮かぶ。美しい眺めだ。「山下臨港線プロムナード」を辿って新港地区へ向かおう。みなとみらいのビル群の織りなす美しい風景を真正面に見ながら歩くと、すぐに赤レンガ倉庫へ着く。
冬の夜の横浜
「山下臨港線プロムナード」を抜けると赤レンガ倉庫だ。周辺を含む一体が「赤レンガパーク」として整備され、赤レンガ倉庫も商業施設として生まれ変わって初めて迎えるクリスマスだ。赤レンガ倉庫は特にクリスマスのイルミネーションは施されていないように見える。二号館に並ぶレストランがツリーなどの装飾を施しているくらいか。抑制の効いた照明に照らし出された赤レンガ倉庫の建物が幻想的な佇まいを見せる。そうした赤レンガ倉庫の夜の表情を求めてか、三脚を立ててレンズを向ける人の姿を多く見かけた。一号館、二号館とも、年末に併せてさまざまなイベントが開催されているようだ。それらをゆっくりと楽しむのもよいかもしれない。
冬の夜の横浜
赤レンガ倉庫から西に辿ってサークルウォークを経由してワールドポーターズへ向かう。ワールドポーターズは四回目のクリスマスを迎える。毎年、凝ったデザインのイルミネーションで楽しませてくれるが、今年はどのようなデザインだろうか。ワールドポーターズの東側は今年も街路樹にイルミネーションが取り付けられ、さらに隣接するナビオス横浜の東側の街路樹にもイルミネーションが施されているために、万国橋から延びてきたこの通りは光の街路樹が並ぶという景観だ。交差点に面したワールドポーターズのエントランス部分も装飾が施され、美しい表情を見せている。

冬の夜の横浜
ワールドポーターズに隣接するナビオス横浜も、建物の空洞部分に提げられるイルミネーションが毎年美しいデザインで楽しませてくれる。今年のデザインはクリスマスツリーだ。上部中央から光のラインが広がるように下がり、最も外側のものが途中でジグザグを描いて全体の印象はまさにクリスマスツリーを象っている。上部の頂点には星が輝いている。その向こうに、汽車道やみなとみらいのビル群の夜景が見える。そうした光の織りなす景観が美しく、ここでも三脚を構えてファインダーを覗く人の姿が少なくなかった。この季節の夜景の被写体のベストスポットのひとつとして定着したのかもしれない。

光のクリスマスツリーを見上げながら下を通り抜け、西側から見ると、光のツリーの向こうに赤レンガ倉庫がひっそりと横たわり、まるで赤レンガ倉庫の上に光のクリスマスツリーが立っているようにも見える。みなとみらいのビル群を背景にする景観も美しいが、赤レンガ倉庫を背景にした景観もなかなかいい。ナビオス横浜のイルミネーションは、今年のクリスマスツリーを象ったイルミネーションも美しいものだが、昨年、一昨年と続いた幾何学的で抽象的なデザインも個人的には好きだった。来年はまたあの路線のデザインに戻って欲しい気もする。

冬の夜の横浜
ナビオス横浜の西側、運河パークに面したワールドポーターズの正面エントランス部分が、毎年美しいイルミネーションで飾られるところだ。今年のデザインは「円」あるいは「球」を基調にしたデザインで、繊細で緻密な印象の美しいものだ。運河パークに面したエントランスから建物までの通路がイルミネーションで飾られ、「光の回廊」のようになるのは今年も同様だが、それらと融合した美しいデザインであるように思える。国際橋側のエントランスに施されたイルミネーションも、正面エントランスのものと同じテーマでのデザインで、いくつかの光のリングとそれを繋ぐ光のラインが優美な曲線を描いている。

汽車道のイルミネーションは今年も特に変わってはいないようで、花火を模したイルミネーションが輝いている。それを横目に見ながら、国際橋を渡ってクイーンズスクエアを目指すことにしたい。
冬の夜の横浜
クイーンズスクエアでは恒例となった「シンギングツリー」が今年も飾られている。高さ13メートルのツリーは相変わらず見事なものだ。昨年のものとはイルミネーションの光り方が違っているような気がしたのだが、今年から「LED」を導入したらしく、そのために微妙に印象が違っていたのだろう。

LEDは電流を流すと光を発する半導体素子のことで、「発光ダイオード」とも呼ばれる。LEDは通常の電球に比べて消費電力が少なく、しかし輝度は高く、またほとんど熱を発生しないなどの特長がある。LEDは特に新しい技術ではなく、さまざま電気機器のインジケータなどに用いられて日常生活の中に溶け込んでいるものだが、こうしたイルミネーションに用いられることはこれまであまりなかった。というのも「青色」のLEDが無かったからで、「緑」や「赤」などは20年以上も前に開発されていながら、「青色LED」の開発は長く困難だったという。その青色LEDを1993年に日本の日亜化学が世界で初めて量産化に成功した。これによって「青」、「赤」、「緑」の、「光の三原色」がLEDで可能となり、多彩な色表現が可能になった。「青色LED」は当初は高価なものだったが、近年では低コストの量産化技術が確立したこともあって価格も下がり、比較的身近なものになった。LEDそのものが半導体素子ということもあり、電流のオン・オフに対する反応も早く、通常の電球よりコンピュータによる制御が行いやすいという側面もある。今後はLEDを使ったイルミネーションが増えてゆくのではないだろうか。

シンギング・ツリーは16時以降の毎正時にコンピュータ制御されたイルミネーションがパイプオルガンの演奏とシンクロして幻想的な光のショーを繰り広げる。「シンギングツリー」と名付けられた所以でもある。これもこの季節の恒例のものとしてすっかり定着した観がある。シンギングツリーの周囲ではツリーにカメラのレンズを向ける人も多く、ツリーを背景に記念撮影をする人たちも少なくない。
クイーンズパークはやはり今年も樹木にイルミネーションが施され、光の森に迷い込んだような幻想的な景観が広がる。デッキ部分から見ると光に飾られたクイーンズパークの向こうにコスモワールドのイルミネーションが背景となり、その上にはコスモクロックが間近に見えて、なおいっそう数々の光に包まれたような印象になる。

冬の夜の横浜
クイーンズパーク横からランドマークタワー側に少し歩き、ステーションコアと名付けられた一角に行くと、吹き抜けとなった部分の天井から巨大なイルミネーションの王冠が提げられていた。その上側に吊された大きな赤いリボンとの組み合わせが少しばかりシュールな印象の景観を見せる。

モールに並ぶ店々もクリスマスの飾り付けがなされ、それらを見てゆくのも楽しい。クイーンズスクエアのクリスマスイルミネーションは基本的には毎年同じものだが、ほんの少しずつ改良や規模の拡大が行われているようにも思える。
ランドマークプラザの吹き抜け部分は今年も昨年と同様に天井部分にミラーボールが輝いており、特にクリスマスイルミネーションは施されていないが、今年もガーデンスクエアに「雪」が降るという。週末の夕方に人工雪を降らせて幻想的な景観を演出するというものだが、これも恒例のイベントとなった観がある。

三階のメインエントランス部分には高さ3メートルほどのクリスマスツリーが置かれていた。ツリーは樹木ではなく、クリスタル風の素材で製作された透明感のある造形のツリーで、ちょっと変わった趣向でおもしろい。

冬の夜の横浜
ドックヤードガーデンは今年も低床部のイルミネーションは施されていないが、周囲の樹木と中央のブリッジがイルミネーションに飾られている。個人的には一昨年まで行われていた低床部でのイルミネーションも楽しいと思っていたのだが、今後は行われないのだろうか。

ランドマークタワーの展望フロアでは「雪の日のクリスマス」を演出するという。眼下のクリスマスイルミネーションを遙かな高みから眺めてみるのもいいかもしれない。しかしランドマークタワーでのクリスマスイルミネーションの白眉はやはり全館点灯だろうか。今年は23日〜25日の三日間に行われるという。
クイーンズスクエアもランドマークプラザもクリスマスの飾り付けやイベントなどは恒例となった観が強く、その年ごとに特に趣向を凝らしたものはないのだが、それでもやはり少しずつ表情は違っていて、その中に身を置くのは楽しい。夜の街の散策を楽しんだ後はランドマークプラザのどこかで食事をして帰路を辿ろう。
追記 氷川丸とマリンタワーは氷川丸マリンタワー株式会社が45年間に渡って運営してきたが、2006年12月25日で営業を終了、同社も2006年12月31日付けで解散となった。その後、マリンタワーは横浜市へ、氷川丸は日本郵船株式会社へ、それぞれ譲渡され、氷川丸は2008年4月25日に、マリンタワーは2009年5月23日にリニューアルオープンを迎えている。
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