横浜線沿線散歩街角散歩
相模原市大野台〜豊町
相模緑道緑地
(大野台〜豊町)
Visited in April 2003
相模緑道緑地
桜も散って新緑の美しい時期となった四月の半ば、相模緑道緑地を歩いた。相模緑道緑地は相模原市の南東部の市街地の中を縫って延びる緑道で、平地林の中を抜けたり、住宅地の中を辿ったり、畑地の傍らを通ったりと、さまざまな表情を見せる。今回は横浜線古淵駅を降り、大野台地区の中を延びる緑道を辿って「木もれびの森」を経て、南へ辿って小田急線相模大野駅近くまでを歩いた。
古淵駅を出ると駅の東側に「古淵なつつばき通り」という名の通りが抜けている。町田市の境川団地方面と国道16号方面とを境川を越えて繋ぐ通りだ。この通りを南へ進むと、すぐに大きなスーパーが並ぶ間を抜けて国道16号へ出る。「大野台入口」という交差点で、「こもれびの橋」という大きな歩道橋が架けられている。橋の名の「こもれび」は大野台南部に位置する「木もれびの森」に由来するものだろう。
古淵なつつばき通りこもれびの橋

「こもれびの橋」を渡り、DIYショップの傍らを進む。「大野台入口」交差点から二車線の道路が延びているが、すぐに行き止まりになっている。この辺りは昔ながらの細道が入り組んでいるところで、車で通行するには少々不便なところだった。広い道路を通すための工事が進んでいるのだろう。その辺りで相模緑道緑地に差し掛かる。緑道がちょうど屈曲するところで、左手に進むと緑道は国道16号を斜めに横切るような形で鵜野森方面へと向かう。右手に進めば大野台の南部を辿って「木もれびの森」へと至っている。左手に向かう緑道の傍らに道祖神があった。昔からの街道筋であるのだろう。
道祖神相模緑道緑地
相模緑道緑地を「木もれびの森」方面へと進む。この付近の緑道は整備されて間もない様子だ。緑道の脇にはハナカイドウやジンチョウゲなどが植栽されている。ちょうどツツジが鮮やかに咲いている。緑道に沿ってさらに進み、相模原南病院の傍らを抜けると大野台七丁目だ。緑道脇には建設中の道路が横たわっている。病院脇を抜けると、緑道脇には畑地などもあって木立が多くなる。車の騒音も遠ざかり、野鳥の声も聞かれ、国道沿いの喧噪から少しずつ離れてゆく。緑道を行き交う人の中には、駅方面へと行き来する人に交じって、散策を楽しむ人の姿もある。
相模緑道緑地

すぐに大野台小学校の横を抜ける。小学校を過ぎると、道脇には林が広がるようになる。林の中には小学校の児童らしい子どもたちの姿があった。校外学習なのだろう。腰を屈めて地面に目を凝らし、何かを見つけては歓声を上げている。楽しそうだ。学校のすぐ近くにこのような林があるのは、東京近郊の市街地では羨ましい環境と言えるかもしれない。
大野台小学校近くで
歩いていると汗ばむほどの陽気だったが、木立の中を抜ける風も爽やかで、目には新緑が眩しい。やがて「相模原中央緑地」へと至る。「相模原中央緑地」はこの付近に残る平地林を緑地として整備したもので、木立の中を縫って辿る散策路や芝生広場などが設けられている。「相模原中央緑地」は県有地だが、その周囲に残る私有地の林の一部を「所有者の厚意により」市が管理し、それらを含めたすべてを「木もれびの森」として市民に開放している。「木もれびの森」はクヌギやコナラなどを中心とする雑木林で、これほどの規模で平地林が残るのは貴重なことだという。「木もれびの森」はその名の通り、木洩れ日も美しく、新緑の中の散策が楽しい。夏の蝉時雨の時期や、秋の紅葉の時期にもぜひ訪れてみたいと思わせる。「相模原中央緑地」の広場付近でも子どもたちの姿があった。大野台小学校の児童たちだろう。
相模原中央緑地
「相模原中央緑地」を後にし、市道淵野辺大沼線を横切って大野台四丁目へ緑道を辿る。周囲は住宅地で、並ぶ住宅の中の舗道のように緑道が延びる。緑道脇に植栽されたツツジがそろそろ咲き始めている。道脇の家々の庭先の花々も散策の目を楽しませてくれる。
大野台四丁目付近大野台四丁目付近

大野台四丁目の住宅地を抜けると、相模原ゴルフコースの東側を抜ける道路へと達する。この道路には「木もれび通り」という名が付けられ、ゴルフコース側の歩道が「相模緑道緑地」の一部を構成している。道路を横切り、「相模緑道緑地」を南へ辿る。「木もれび通り」は交通量が少なくないために車の騒音によって興がそがれるが、車が途切れると鳥の声も聞こえてくる。緑道には随所にベンチや四阿なども置かれているが、落書きで汚されているのが残念だ。

右にゴルフコース、左に住宅地を見ながら進むと、やがて左の住宅地が途切れて林が広がる。そこから少し進むと、「大野台入口」バス停を過ぎて「木もれびの森入口」交差点に至る。「木もれび通り」と交差して東西に延びるのは「町田相模原線(県道52号線)」で交通量は多い。交差点の角に「相模緑道緑地 大野台地区」を示す石標が置かれている。
木もれび通り相模緑道緑地大野台地区を示す石標
「木もれびの森入口」交差点の信号が変わるのを待って「町田相模原線(県道52号線)」を横断し、「木もれび通り」の延長方向へと延びる道路へと歩を進める。この道路はあまり広くないが、御園方面へと抜けることもあってときおり車が通り抜ける。その横を「相模緑道緑地」が辿っている。左手に林が広がっている。交差点角、右手にはゴルフ練習場らしき場所があるが、現在は閉鎖されているように見えた。

少し行くと両側に林が広がるが、その林を切り裂くように真新しい道路が造られていた。まだ通行はできないようだが、地理的におそらく「大野台入口」交差点から延びてくる道路の一部なのだろう。この付近にはまだ畑地なども残ってのどかな風景が広がるところだが、広い道路が抜ければまた様子も変わるだろう。

緑道は道路から逸れて林の中へと辿っている。緑道沿いにはベンチや四阿なども置かれて、ちょっとした公園気分だ。緑道を自転車で走り抜けてゆく人の姿が多いが、どこからどこへ向かうのだろう。野鳥の声と木洩れ日の中を歩く。
相模緑道緑地周辺の畑地
やがて林を抜け出た。急に視界が開け、周囲には畑地が広がり、まばらに住宅が建つ。道脇にサクラとモミジの木が印象的に立っている。右手に少し離れてお寺の屋根が見える。地図で確認すると西善寺というお寺のようだ。地図を見ると、さきほどの林は麻溝台四丁目の東端部分にあたり、林を抜け出たところで双葉になるようだ。

少し行くと、大沼方面と相模台方面とを繋ぐ道路と交差する。この交差がちょっと面白い。緑道はその道路の下をくぐってゆくのだ。「大沼地下道」という名がある。緑道は地元の人たちの生活道路でもあるらしく、この地下道を自転車で勢いよく走り抜けてゆく人がある。
林を抜け出る大沼地下道

「大沼地下道」を過ぎると、緑道は御園と東大沼の町の境に沿って延びている。周囲は住宅街で、並ぶ家々の間を緑道は辿る。緑道は地元の人たちが行き交う通り道であると同時に、子どもたちのための遊び場としての役割もあるようで、緑道の真ん中に滑り台が置かれていたりする。道脇には緑も多く、まさに「緑道」という佇まいだ。
御園と東大沼の境付近
右手の町が御園三丁目から御園一丁目へと移るあたりで、緑道は車も通行する道路に沿うようになる。それまでは家々の中を辿る歩行者用の舗道だったが、ここからはちょっと気の利いた歩道という様相だ。緑道と車道とを隔てる並木は短く剪定されているがトウカエデのようだ。家々の並ぶ道脇には店舗なども多くなり、再び市街地へ出たという感覚があるが、高層のビルが林立するわけではなく、何となく地方の小さな町を彷彿とさせる佇まいの町並みで、歩いていても楽しい。
御園一丁目付近路傍の花

左手の町が若松六丁目となり、さらに文京二丁目と移るところで交差点があり、緑道は右へ大きく屈曲する。御園二丁目と文京二丁目の境を真っ直ぐに進むと、町並みはさらに賑やかになり、やがて「御園二丁目」交差点に至る。交差点から左手(東)に延びる道路は相模女子大の南側を抜けて相模大野駅の北側へと至る。「文京」の町には相模女子大の他に相模大野高校、相模台工業高校など、学校が多くあり、そのために「文京」の名があるのだろう。

「御園二丁目」交差点からふりかえると、変則的な十字路を成しており、文京の町へ延びる道路には「文京商店街」の名がある。交差点の角には「文京公園」という名の小さな公園があった。緑道は、ここまで辿った緑道の延長方向、交差点の向こうになおも続いている。
御園二丁目交差点文京公園
「御園二丁目」交差点を過ぎてさらに緑道を辿ると、緑道は再び車道から離れて家々の間を辿る歩道へと姿を変える。随所にベンチなども置かれ、道脇の木々の緑や花々が美しい。左手の町は相模大野五丁目、右手の町は栄町から豊町へと移る。緑道を行き交う人も何となくのんびりとしていて散策を楽しんでいるように見える。数百メートルほどの距離でまっすぐに延びる緑道を辿ると、広い道路に出た。町田厚木線(県道51号線)だ。県道へ出るあたりの緑道脇に小さな花壇が設けられ、チューリップが美しく咲いている。「豊町自治会」によるものという。緑道全体が整然と手入れされている印象があったが、自治会などの地道な努力があるのだろう。
栄町付近緑地脇のチューリップ

町田厚木線(県道51号線)は当然のことながら交通量が多い。緑道はいったんここで終わっているが、道路向かいにはその延長が延びているのが見える。緑道への入口脇に、こちら側は「相模緑道緑地 豊町地区」、向かい側は「相模緑道緑地 旭町地区」と書かれてある。両者は完全に延長線上にあるが、県道によって分断された形で、横断歩道もなく、県道を渡るには少し東の歩道橋などを利用しなくてはならない。

緑道を「旭町地区」へと辿る「相模緑道緑地」はそのまま南へと延び、東林間あたりで「横浜水道道」と交わる。今回の「相模緑道緑地」散策はこのあたりで終わりにしたいが、いずれまた機会を見つけてさらに延びる緑道を歩きたい。
今回は相模大野駅を目指して町田厚木線(県道51号線)を東に向かうことにする。交通量の多い道路の歩道を歩くのは決して快適ではないが、ふだんはあまり来る機会のないところだと、それなりにいろいろな発見があって楽しい。駅が近づくに連れて町並みの表情も変わり、高いビルも増えるが、街路樹や石畳風の歩道路面など、それなりに町の景観に工夫が施されている。
町田厚木線町田厚木線

まだ帰路を辿るには時間に余裕があったので、伊勢丹の裏手にある相模大野中央公園に立ち寄ってみた。相模大野中央公園は芝生の広場を中心に、樹木や花々の美しい公園だ。小さな子ども連れの人たちが多く、その中に混じってのんびりと散策を楽しむ人や、ベンチでひと休みの人の姿がある。決して広大な公園というわけではないが、駅前の繁華街の至近にこうした緑に溢れる公園があるというのは嬉しい。公園でひと休みを兼ねてしばらく過ごし、相模大野駅へと帰路を辿った。
相模大野中央公園
今回は敢えて相模緑道緑地を辿って歩いてみたが、緑道沿いの地域だけでも平地林や畑地など、興味深いところがたくさんあった。このあたりは何度か車で通り抜けたことはあったのだが、こうして歩いてみるといくつもの新たな発見に出会って楽しい。特に大野台の「木もれびの森」や西大沼から東大沼付近の畑地の残る地域などは、また別の季節を選んでゆっくりと歩いてみたい。
相模緑道緑地