神奈川県横須賀市の観音崎公園は三浦半島で屈指の景勝地だ。東京湾を望む風景も美しく、広大な公園は行楽地としても人気だ。冬には展望園地周辺に植えられた水仙が咲き誇る。水仙が咲き始めた一月初め、観音崎公園を訪ねた。
神奈川県横須賀市の観音崎公園は観音崎とその周辺の丘陵地を公園として整備したもので、70haほどの面積を有する広大な県立公園だ。浦賀水道に面して東京湾を望む立地は風景も美しく、景勝地としても行楽地としても人気を集めている。冬には公園南端部の「展望園地」の周辺に植えられた水仙が咲き誇り、美しい景観を見せてくれる。
観音崎公園の南端部の海岸に観音崎自然博物館が建っている。その横は「展望園地」だ(あるいは、「展望園地」の一角に観音崎自然博物館が建っているのか)。浦賀水道に面した立地で、美しい眺めを楽しめるところだ。この「展望園地」の周辺には水仙が数多く植えられている。水仙は例年1月から2月にかけて花を咲かせ、美しい景観を見せてくれる。
観音崎自然博物館西側の斜面に、数多くの水仙が植えられている。建物の西側なので午前中は日陰になってしまい、少しばかり暗い景観だが、数多くの水仙が斜面を埋め尽くすように咲く光景は美しい。午後になれば日が回って水仙の花が日差しに輝き、さらに美しい景観を見せてくれることだろう。
観音崎自然博物館東側の園地周辺にも、園路脇を中心に水仙が植えられている。広場の中には植えられていないのが少し残念だが、それでも充分に美しい景色を楽しむことができる。写真趣味の人なら、いろいろと構図を考えてカメラを構えるひとときも楽しいに違いない。
何しろ海岸の立地だ。場所を選べば海を背景に写真を撮ることも可能だ。冬の海は少しばかり寒々しい印象だが、空気は澄んで美しい。低い日差しを弾いて輝く海面を背景に見る水仙の花はこの季節ならではの景観だ。
観音崎自然博物館の西側、観音崎通りを挟んで「たたら浜園地」が設けられている。この「たたら浜園地」の園路脇にも水仙が植えられている。園路に沿って植えられた水仙が冬の公園を彩り、良い興趣を漂わせている。駐車場脇では蘇鉄の根方に水仙が咲いているところもある。これもなかなか面白い組み合わせだ。
「展望園地」周辺の水仙を楽しんだら、せっかくだから観音埼灯台まで散策の足を延ばしてみたい。「展望園地」から観音埼灯台まで数百メートル、坂を上らなくてはならないが、気軽な距離だ。現在の観音埼灯台は1925年(大正14年)6月に完成した三代目だ。地上から頭部までの高さは19m、所定の参観寄付金を支払って灯台上部に上ることができる。上部に上れば周囲に眺望が開ける。絶景と言っていい。
「たたら浜園地」北側の樹林地の中を辿る園路を歩いていると、木々の中に何やら動くものを見つけた。タイワンリスだった。タイワンリスはその名の通り、台湾が原産で、日本には動物園用として輸入されたものだ。1951年(昭和26年)には江ノ島植物園(2002年(平成14年)に閉園、現在の「江の島サムエル・コッキング苑」)に導入されたが、後に逃げ出して増殖、神奈川県東部域に分散したらしい。可愛らしい姿だが、日本の生態系には好ましくない、外来生物である。
冬の観音崎公園の魅力は、やはり水仙と冬の海の美しさだろう。風は冷たいが澄み渡った風景と水仙との組み合わせは、この季節ならではの興趣を感じさせてくれる。「展望園地」のベンチに腰を下ろし、浦賀水道を往来する船の姿を眺めながら時を過ごすのも素敵なひとときだ。1月初めでは水仙はまだ咲き始めという印象だ。見頃は1月下旬頃か。冬のお出かけには好適な観音崎公園である。
本欄の内容は観音崎公園関連ページ共通、2024年1月現在の状況です
公園は入園料は必要なく、自由に入園できるが、観音埼灯台や観音崎自然博物館、横須賀美術館はそれぞれに入館料が必要だ。入館料は開館時間など、詳細は公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。
観音崎公園へは京急本線の馬堀海岸駅や浦賀駅が最寄りだが、駅からは距離があり、駅から「観音崎」行きのバスを利用しなくてはならない。JR線を利用する場合はJR横須賀線横須賀駅から「観音崎」行きのバスを利用すればよい。
車で訪れる場合、横浜横須賀道路を南下、終点の馬堀海岸ICからは国道16号を東進すればいい。
来園者用の有料駐車場が数ヶ所設けられているから、空いているところを利用すればいい。駐車場は平日は利用無料だが、土日祝日は有料となる。行楽シーズンの週末休日には混み合うようだ。余裕を持っての来園をお勧めする。
公園南側の海岸、観音崎自然博物館脇にレストランがある。海を眺めながらの食事が楽しめる。公園北側に位置する横須賀美術館にもレストランがあり、こちらも東京湾を眺めながらの食事が楽しめる。国道16号を西へ辿れば沿道に磯料理の店などが点在している。そうした店を利用するのも楽しい。
お弁当を持参して、海岸にシートを敷いて海を眺めながらのランチタイムもお勧めだ。充分に行楽気分が味わえる。公園内「観音崎園地」の指定エリア内であればバーベキューも可能だ。利用は無料、予約も不要のようだ。詳細は公式サイト(「関連する他のウェブサイト」欄のリンク先)を参照されたい。
観音崎から西へ、海岸に沿って走水海水浴場辺りまで散策の足を延ばしてみるのも楽しい。
公園から県道209号を3〜4km西へ辿れば浦賀の町だ。町歩きを楽しむといい。湾の東西に立つ叶神社に参拝するのもお勧めだ。
さらに南へ辿れば「
くりはま花の国
」も遠くない。ポピーやコスモスの名所として知られるところだ。それぞれの季節にぜひ訪ねてみたい。
観音崎公園(神奈川県公園協会)
観音崎公園
くりはま花の国