埼玉県入間市の北部、入間川の河岸に桜並木の設けられたところがある。「入間リバーサイドの桜並木」として入間市の「景観50選」にも選ばれている。四月上旬、桜の盛りも過ぎようという頃、入間川河岸を訪ねた。
埼玉県入間市北部、西武池袋線仏子駅の北西側、入間川の河岸に桜並木の設けられた区間がある。県道195号が入間川を渡る中橋(なかはし)の袂から西へ、約300mに渡って桜並木が設けられているのだ。ちょうどこの区間の南側河岸に「入間リバーサイド」と名付けられた団地があることから、桜並木は「入間リバーサイドの桜並木」の名で呼ばれているようだ。入間市の「景観50選」にも選ばれており、入間市を象徴する景観のひとつとして親しまれている。
「入間リバーサイドの桜並木」の桜は1967年(昭和42年)から1968年(昭和43年)にかけて植えられたものだそうだ。それからおよそ50年(2016年現在)、並木の桜はどれも歳月を経た樹木らしく大きく育って、春になれば圧巻の景観を見せる。
桜は堤防上を利用した遊歩道の両脇に並び、遊歩道を歩けばまさに“桜のトンネル”だ。遊歩道を行き来する人の中には花見散歩らしい人の姿も少なくない。桜の根方には春の花々の咲く姿があるが、これは「入間リバーサイド」に暮らす人たちが植えたものかもしれない。
“桜のトンネル”を堪能した後は、堤防から河川敷へと降りて、桜並木を見上げるのもお勧めだ。堤防上に並ぶ桜は大きく枝を張り、“桜の天蓋”を形作る。午後、傾きかけた日差しを浴びて逆光に霞む桜並木は幻想的な美しさだ。その下には堤防の斜面に腰を下ろしてのんびりと時を過ごす人たちの姿もある。咲き誇る桜の下、のんびりと川の流れを眺めながら過ごすひとときは春爛漫を実感する。河川敷の小径を歩けば、ヒメオドリコソウやタンポポなどの春の花にも出会う。のんびりと春の川辺散歩を楽しむのがお勧めだろう。
入間川を跨ぐ中橋の上から桜並木を眺めるのも美しい。この中橋からの眺望も「入間川・中橋から望む風景」として入間市の「景観50選」のひとつに選定されている。中橋に立って西を望めば、入間川の流れが日の光を弾き、岸辺には桜並木が延びる。川面には気の早い子どもたちが川遊びを楽しむ姿もある。その向こうには遠く秩父の山々の稜線がシルエットになって連なっている。美しい風景だ。
今回「入間リバーサイドの桜並木」を訪れたのは四月も半ばに近く、桜はそろそろ盛りの時期を過ぎ、風が吹くたびにはらはらと花弁が舞う中での散策だった。桜並木の景観は満開の時期に比べれば少し見劣りする状態だったが、桜の散る風景もそれはそれで風趣に富んで美しいものだった。大きく育った桜並木と川の流れとが織り成す風景は美しく、春爛漫を感じながらの散策が楽しめる。素晴らしい桜並木である。
「入間リバーサイドの桜並木」は西武池袋線仏子駅から700メートルほど、徒歩で10分ほどか。駅から北西の方向へ、入間川を目指して行けば迷うこともないだろう。
来訪者用の駐車場はなく、近辺に民間駐車場も無い。車での来訪は避けた方が賢明だ。
近辺には飲食店は無い。食事は場所を変えて楽しもう。桜を眺めながらのんびりと時間を過ごしたいのなら、お弁当とシートを持参して、河原の草はらでランチタイムを楽しむのもいい。
「入間リバーサイドの桜並木」を辿る堤防上の遊歩道は「入間川遊歩道」の一部を成している。「入間川遊歩道」は春日町の豊水橋から飯能市の阿須運動公園まで、約5.5kmの距離を結ぶ川沿いの遊歩道だ。散策の足を延ばして春の入間川を楽しむのもお勧めだ。
「入間リバーサイドの桜並木」の西端部近くでは西武池袋線が入間川を跨いでいる。その少し上流側には
古い橋梁の遺構
が残っている。鉄道や橋梁、古い建造物などに興味のある人なら見ておくといい。そこから数百メートル上流側へと河岸を辿れば阿須運動公園だ。河岸の散歩を兼ねて足を延ばしてみるといい。
入間市観光協会
西武池袋線旧入間川橋梁