「谷保の城山」は「三田氏館跡」として東京都指定史跡になっている。 国立市教育委員会によって1985年(昭和60年)に設置された解説によれば、城郭は中世の「方形的居館様式」の変形で、「複郭式館城」の特徴を残しているものだそうだ。江戸時代からその存在はよく知られており、「江戸名所図会」には「土人(“その土地の者”の意)三郎殿屋敷跡」、「新編武蔵風土記稿」には「津戸三郎住居ノ跡」との記述があり、1924年(大正13年)の谷保郷土史では城主を三田県主貞盛としているという。東京都教育委員会によって2012年(平成24年)に設置された解説によれば、従来から「三田城」、あるいは「三田氏館」と呼ばれてきたことから、中世の三田氏との関係が推測されてきたものの、発掘調査などは行われておらず、詳細はよくわかっていないという。
「谷保の城山」一帯は「歴史環境保全地域」に指定されており、武蔵野の自然環境をよく残している。城山中心部は個人宅の敷地であるために立ち入りができないが、周辺部は散策を楽しむことができる。鬱蒼と木々の茂った雑木林や木々に包まれた神明社の佇まいなどに武蔵野の原風景を探しながら、かつてこの地に居館を構えて土地を治めた城主のことに思いを馳せるのも一興だろう。