南に向かう日南線が
木花から
運動公園と過ぎて加江田川を渡ると、大きく東へ曲がってすぐに曽山寺駅に到着する。駅はもちろん無人駅で、まっすぐに延びる線路に沿って片側使用のホームが横たわっているだけだ。ホームに屋根のあるベンチが設けられているが、駅舎はなく、「駅前」にもわずかな空き地があるだけで広場のようなものはない。いや、「駅前」という言葉さえ相応しくはないかもしれない。駅の傍らには数件の民家が建ち、北側に平行して走る県道377号からはその民家の間の細い路地を通らなければ駅に入ってゆくことができず、駅の場所はひどくわかりにくい。県道377号には「曽山寺」のバス停があるが、このバス停からも駅は少々離れている。
駅の南側にはのどかな田園風景が広がり、その向こうに山とも呼べない丘のような山々が横たわっている。北側を線路と平行して走る県道377号は「青島バイパス」が開通する以前の国道220号で、宮崎市街から
観光地「青島」へのアクセス路として、そしてまた宮崎市街と日南市方面とを繋ぐ主要路として、地元の人々と観光客の車が入り交じって観光シーズンには混雑したものだ。今では加江田川を渡るあたりから「青島バイパス」が曽山寺駅南側の山の向こうに延びており、すいぶんと交通事情も変わってきた。
駅の近辺には北側には加江田川の向こうに総合運動公園があり、南東側には「こどものくに」や「
青島」があるが、それぞれに駅が設けられており、曽山寺駅はその間で閑寂な佇まいを見せている。駅の西方、加江田川の南岸に「曽山寺温泉」があり、例えば「温泉巡り」を愉しむ趣味のある人などには、「曽山寺」の名は知られているかもしれない。