横浜市中区山手町
−山手イタリア山庭園−
桜咲く山手イタリア山庭園
Visited in March 2019
山手イタリア山庭園には桜の木はほとんどないが、ブラフ18番館の横手に一本の桜が印象的に立っていて、西洋館と桜との取り合わせがなかなか風趣に富んだ景観を見せる。外交官の家前の庭園の花壇では春の花々が美しく咲いている。春らしい景観を楽しむことのできる山手イタリア山庭園である。
ブラフ18番館の建物東側から見ると、桜はまさに建物に寄り添い、その向こうに横浜の町並みが見えている。建物の北西側に回り込み、東に向かって建物と桜とを見る景観もいい。これも背景には山手の風景が広がり、素敵な景観を織り成している。東側の段差部分に登って、見下ろすように眺めるのもお勧めだ。西洋館と一本の桜との取り合わせは、見る角度によってさまざまな表情を見せ、それぞれに美しい春景色が広がる。この桜以外には、山手イタリア山庭園には観賞に値する桜はないが、この一本だけでも訪れる甲斐があると思える。美しい桜だ。
今回訪れたとき(2018年)、花壇ではルピナスが咲いていたい。ルピナスの花期は本来はもう少し後のはずだが、栽培上の工夫があるのかもしれない。特徴的な形のルピナスの花が景観のアクセントにもなっていて、外交官の家の建物との取り合わせも素晴らしいものだ。外交官の家側から眺めれば、花々に彩られた花壇の向こうに横浜の町並みを見下ろす。その景観も素敵だ。
山手イタリア山庭園は“花見”の場所としては物足りないが、ブラフ18番館と桜とが織り成す景観や外交官の家と庭園との美しさなど、この季節ならではの興趣が素晴らしい。山手地区を巡っての花見散歩の際、そのプロローグ的な意味でまず山手イタリア山庭園に立ち寄って、それから桜巡りの散策に出かけるというのがお勧めだ。