八王子市南大沢
松木日向緑地
Visited in April 2005
南大沢一丁目の、都立大学の建つ丘陵の南斜面に位置して、東西に長くかなりの面積を有する緑地がある。松木日向緑地という。緑地自体は都立大学の学内緑地であり、都立大学の管理下にあるようだ。緑地の一角には南大沢八幡神社もあり、雑木林を自然のままに残した緑地は付近住民の憩いの場としても機能しているようだ。
ところどころにタンポポが咲く小道をさらに東に進む。途中、見事な竹林の横を抜けたり、眺望の開けたところを通ったりと、単調となりがちな林の中の散策にアクセントを添えてくれる。南側には多摩センター通りや京王線の線路が通っているために、車や電車の走行音が緑地の中にも届いてきて少々うるささも感じるのは残念なところか。それを忘れさせてくれるように、この季節、どこからかウグイスの声が聞こえてきた。南に眺望が開けると、大田川や多摩センター通りを隔ててその向こうに別所やまざくら公園が見える。桜の開花が遅れた今年(2005年)、別所やまざくら公園では見事に桜が咲き誇っていた。
緑地内にはヤブザクラという珍しい種類の桜もあるという。探してみると、梅林横から上がって都立大のキャンパスと緑地との境界に沿った舗道を進んだところに「ヤブザクラ」のネームプレートを付けられた樹木を見つけた。大木というわけではなく、幹は意外に細い。残念ながら訪れたときには花の時期を過ぎていた。そのヤブザクラのすぐ近くには「ホシザクラ(仮称)」というネームプレートを付けられた桜もあった。プレートには「後日名称が変更になる場合があります」と添えられている。2003年3月に発見された新種のサクラであるらしい。植物にそれほど詳しくない身では他の桜との相違点もよくわからないが、そういった貴重な植物が残る緑地だと思いながら歩くと気分も変わってくるというものだ。
あくまで「緑地」であるから、のんびりとくつろぐための「公園」としての性格は薄いが、草木に興味のある人ならそれなりに楽しめるだろう。途中何カ所か、南側の大田川河畔とキャンパス内とを繋ぐ舗道が緑地内を横切っており、そこから緑地の外へと抜け出ることもできる。また南大沢駅側に位置する西端部分から舗道を北に少し辿ると柳沢の池公園が近い。大田川河畔や南大沢八幡神社なども含めて、周辺の散策も併せて楽しむのがお薦めだ。