横浜線沿線散歩公園探訪
多摩市中沢
中沢池公園
Visited in June 2023
中沢池公園
多摩センター駅から西へ20分ほど歩くと、谷戸の奥まったあたりに中沢池公園がある。その名からもわかるが、中沢池という池とその周辺を公園として整備したもので、緑に包まれてひっそりとした印象の公園だ。園内には花菖蒲田も設けられており、6月には花菖蒲を楽しむことができる。春の桜や夏の百日紅、秋の紅葉など、四季折々に素敵な風景を見せてくれる公園だ。
中沢池公園 中沢池公園は谷戸の奥という立地で雑木林の木立に囲まれているが、実は周囲にはゴルフコースが広がっており、そのクラブハウスへ向かう道の途中の傍らにこの公園は位置している。地図で見ると、多摩市の西端から八王子市との境を跨いで広がるゴルフコースの中央部分に食い込むようにこの公園があることがわかる。

この辺りは地理的には多摩ニュータウンの真っ直中なのだが、ゴルフコースとこの公園を含む一帯が多摩ニュータウンの整備区域から除外されているようで、そのために公園の周囲にも昔ながらの自然が残る結果となったように思える。
中沢池公園 中沢池公園はその名が示すように池を抱えた公園だ。池の名はもちろん中沢池だ。かつて寛文年間(1661〜1672年)に領主土屋但馬守の元で落合の領民によって掘られた農耕用の溜池だったという。横25間(約45メートル)、縦43間(約75メートル)の堤を持つ、と当時の文献には記されていたらしい。

1978年(昭和53年)に多摩市有地となり、1990年(平成2年)から二ヶ年の整備の後に公園として開園した。中沢池は現在では釣り場となっており、池のほとりにはいつでも釣り糸を垂れる人たちの姿がある。
中沢池公園 園内には花菖蒲田が設けられており、五月下旬から六月にかけての花期には花菖蒲を目当ての人々が訪れる。林に囲まれた谷戸の雰囲気を残す公園の佇まいに、花菖蒲の咲き誇る菖蒲田はよく似合っており、この公園を訪ねるのに最もお勧めなのがこの時期と言えるだろう。

連作障害によるものか、残念ながら近年では花の数が減ってきているようだが、それでも美しい花菖蒲を楽しむことができる。のんびりと散策しながら花菖蒲の風情を楽しみたい。
中沢池公園 花菖蒲田の設けられたエリアからさらに奥まった辺り、中沢池の手前の一角は日本庭園風に整備されている。せせらぎが流れ、水車小屋が建てられ、せせらぎ脇の湿地には八つ橋風の木道が辿っている。

せせらぎは岸辺に自然石を配して自然の渓流を模した造りだ。木道には樹林が間近に迫り、野趣を感じながらの散策が楽しい。しっとりと落ち着いた佇まいのエリアで、水車小屋脇のベンチに腰を下ろしてのんびりと時を過ごすのも悪くない。
中沢池公園 水車小屋横から流れるせせらぎは広場の南側の斜面を裾を辿って流れてゆく。自然のままの小川の様相が保たれ、水辺の植物などが観察できるのもいい。谷戸となった地形だから開放感には乏しいが、周囲に住宅地が迫っていないために公園は静かで穏やかな雰囲気を保っている。その静かさが嬉しい。

公園の東側部分には狭いながらも芝生の広場があり、ベンチや水辺の四阿なども設置されているので、木陰にシートを敷いて過ごすのに好適だ。
中沢池公園
中沢池公園には子どもたちのための遊具などは設置されていない。その意味では家族連れで休日を過ごす目的には少し物足りないかもしれない。緑に包まれて散策を楽しむのに好適な、穏やかな静かさが魅力の公園と言っていい。花菖蒲の見頃の時期だけでなく、春の桜の頃や初夏の新緑、秋の紅葉の時期などもいい。四季折々に訪ねてみたい公園だ。

多摩センター駅から公園まで往復を歩くと少々退屈かもしれないが、その道程の途中から南へと道を逸れ、ゴルフコースの南側の外郭に沿った「からきだの道」を歩いて、唐木田の街へ、さらに八王子市別所の街まで足を伸ばすと楽しい散策のひとときを過ごすことができるだろう。公園脇の道路沿いに十台分ほどの駐車場が用意されている。トイレも設置されているので、お弁当などを持って訪れるのもよいだろう。
中沢池公園
中沢池公園
中沢池公園
中沢池公園