横浜市緑区新治町〜三保町
新治市民の森
Visited in May 2023
横浜市緑区の西部、新治町から三保町にかけて里山と谷戸が複雑に入り組む風景が広がっている。この辺りは昔から「北の森」と呼ばれ、広大な山林地帯であったという。今では各所が造成されて住宅街が広がり、昔ながらの風景を残す区域も少なくなってしまった。新治町から三保町にかけての梅田川の西側に広がる一帯はそうした数少ない場所のひとつだったのだが、その地域が総面積60ヘクタールほどの「新治市民の森」として公開されている。公開開始は2000年(平成12年)春、以来、散策や自然観察を楽しむ人たちが数多く訪れて賑わっている。
「新治市民の森」は基本的に私有地の山林の中に散策路や広場を整備したもので、土地所有者や市民有志、行政が協力して貴重な自然環境の保全を行い、広く開放されているものだ。地元の「新治市民の森愛護会」によって管理・育成が行われているという。
散策路を辿って山林の中に足を踏み入れると、クヌギやコナラを中心にした雑木林に混じって、見事な竹林やヒノキの林が広がる一角もある。林は一見自然そのままのようにも思えるが、よく見ると人の営みと密接に繋がり合った里山の様相がよくわかる。
「新治市民の森」の北東部には新治里山公園が設けられており、新治散策の拠点施設としての役割を担っている。新治市民の森の散策の際にはまず新治里山公園の「にいはる里山交流センター」に立ち寄っておくのが、特に初めて訪れる人にはお勧めだ。
「にいはる里山交流センター」に立ち寄ったら、新治市民の森のイラストマップなどが記載されたリーフレットを貰っておこう。イラストマップにはお勧めの散策ルートが記されているから参考にするといい。イラストマップには「旭谷戸」「鎌立」「油窪」「おんばく山」「やまんめ山」といった地名が記されている。昔から地元の人々の間で使われてきた地名なのだろう。その地名を見ているだけでも楽しい。
散策路を辿って山林の中に足を踏み入れると、クヌギやコナラを中心にした雑木林に混じって、見事な竹林やヒノキの林が広がる一角もある。林は一見自然そのままのようにも思えるが、よく見ると人の営みと密接に繋がり合った里山の様相がよくわかる。
「新治市民の森」の北東部には新治里山公園が設けられており、新治散策の拠点施設としての役割を担っている。新治市民の森の散策の際にはまず新治里山公園の「にいはる里山交流センター」に立ち寄っておくのが、特に初めて訪れる人にはお勧めだ。
「にいはる里山交流センター」に立ち寄ったら、新治市民の森のイラストマップなどが記載されたリーフレットを貰っておこう。イラストマップにはお勧めの散策ルートが記されているから参考にするといい。イラストマップには「旭谷戸」「鎌立」「油窪」「おんばく山」「やまんめ山」といった地名が記されている。昔から地元の人々の間で使われてきた地名なのだろう。その地名を見ているだけでも楽しい。
「にいはる里山交流センター」前の道を西へ辿っていくと谷戸となった地形で、道の南側には長閑な畑地の風景が広がっている。ここが旭谷戸と呼ばれる谷戸だろうか。昔ながらの里山風景が残り、散策の楽しいところだ。
道の周辺は市民の森の区域外で、道沿いには民家も建っているが、人々の営みが感じられるところも里山散歩の好きな人には魅力のひとつだろう。出会った人と挨拶を交わしたり、通り抜ける地元の人の車を脇によってやり過ごしたりしながら、のんびりと歩いて行こう。
道をさらに西へ向かうとやがて道は細くなり、両脇に雑木林が迫り、谷戸は狭まっていく。この辺りから市民の森の区域内に入っている。木々の間を通り抜けるように道を辿っていけば、やがて視界が開け、奥まったところに谷戸田が横たわっている。
緑の尾根に挟まれた細い谷戸地に水田が並ぶ風景が美しい。典型的な谷戸田の風景だと言っていい。水田の隅に「新治谷戸田を守る会」と記した標柱が立っていた。有志の方々によって今も耕作が行われ、大切に守られているのだろう。
谷戸田の横手からさらに小道が西へ延びている。谷戸田の北側を回って西へ進めば「おんばく山」へ至るようだ。谷戸田の南側から西南の方角へと延びる小道は「へぼそ」と至っている。
「へぼそ」へ向かう小道は小さな谷戸を進み、そのまま雑木林へ分け入る山道へと姿を変える。山道を登りきると、急に視界が開けた。尾根の向こうには霧が丘の住宅街が広がっているのだ。霧が丘のあたりも昔は林が広がるばかりの山中であったという話だが、今ではその名残もない。登ってきた山道を振り返ると、傍らに「へぼそ」との案内板があった。
道の周辺は市民の森の区域外で、道沿いには民家も建っているが、人々の営みが感じられるところも里山散歩の好きな人には魅力のひとつだろう。出会った人と挨拶を交わしたり、通り抜ける地元の人の車を脇によってやり過ごしたりしながら、のんびりと歩いて行こう。
道をさらに西へ向かうとやがて道は細くなり、両脇に雑木林が迫り、谷戸は狭まっていく。この辺りから市民の森の区域内に入っている。木々の間を通り抜けるように道を辿っていけば、やがて視界が開け、奥まったところに谷戸田が横たわっている。
緑の尾根に挟まれた細い谷戸地に水田が並ぶ風景が美しい。典型的な谷戸田の風景だと言っていい。水田の隅に「新治谷戸田を守る会」と記した標柱が立っていた。有志の方々によって今も耕作が行われ、大切に守られているのだろう。
谷戸田の横手からさらに小道が西へ延びている。谷戸田の北側を回って西へ進めば「おんばく山」へ至るようだ。谷戸田の南側から西南の方角へと延びる小道は「へぼそ」と至っている。
「へぼそ」へ向かう小道は小さな谷戸を進み、そのまま雑木林へ分け入る山道へと姿を変える。山道を登りきると、急に視界が開けた。尾根の向こうには霧が丘の住宅街が広がっているのだ。霧が丘のあたりも昔は林が広がるばかりの山中であったという話だが、今ではその名残もない。登ってきた山道を振り返ると、傍らに「へぼそ」との案内板があった。
新治里山公園の南側から「向山」へ入り込んでゆくルートがある。「向山(むかいやま)」は新治小学校の西側に横たわる丘だ。その中を小道が辿り、「油窪(あぶらくぼ)」を経て「鎌立(かまだち)谷戸」方面へと下りてゆくことができる。
「向山」の中を辿る小道を小さな谷戸の奥へと進むと、スギやヒノキの林で、その林床には熊笹が生い茂っている。熊笹は横浜から消えつつあるそうで、これほどまとまって生育しているのは珍しいようだ。熊笹の茂る道をさらに進めば尾根道へと至り、見事な竹林の中を抜けていく。
「向山」の中を辿る小道を小さな谷戸の奥へと進むと、スギやヒノキの林で、その林床には熊笹が生い茂っている。熊笹は横浜から消えつつあるそうで、これほどまとまって生育しているのは珍しいようだ。熊笹の茂る道をさらに進めば尾根道へと至り、見事な竹林の中を抜けていく。
新治小学校の南西から西へ入り込む道がある。交差点の角には「新治市民の森 鎌立入口」を指し示す標識が立てられている。この辺りは新治市民の森の区域外だが、道の脇には水田や畑地が横たわり、長閑な田園風景が広がっている。田園散歩の好きな人には魅力的なところだ。
道は谷戸の地形となったところを奥へと辿っている。この谷戸が「鎌立(かまだち)谷戸」と呼ばれる谷戸のようだ。途中、「向山」から「油窪」を経てきた小道が民家の横に下りてくる。谷戸はかなり奥の方まで市民の森の区域外で、道脇には民家も建っている。やがて丁字路がある。真っ直ぐに進めば「池ぶち広場」を経て「みはらし広場」へ至り、南に折れれば「鎌立の奥」と呼ばれる谷戸を経て南側の尾根道へ至っている。
「池ぶち広場」は新治市民の森の中心と言っていいところだ。広場の入口には枯れ木で造られたオブジェが飾られ、「新治市民の森」と記した名標が掲げられている。広場には木製のテーブルとベンチも設けられ、トイレもあるので一休みにも便利だ。
「池ぶち広場」からさらに西へ向かえば緩やかな坂道を上って「みはらし広場」に至っている。「みはらし広場」は市民の森西側の高所に当たり、その名が示すように東側に視界が開けている。それほど爽快な眺望というわけではないが、市民の森の木々の向こうに遠い街並みが見え隠れする。森の上を渡ってくる風が心地良い。
道は谷戸の地形となったところを奥へと辿っている。この谷戸が「鎌立(かまだち)谷戸」と呼ばれる谷戸のようだ。途中、「向山」から「油窪」を経てきた小道が民家の横に下りてくる。谷戸はかなり奥の方まで市民の森の区域外で、道脇には民家も建っている。やがて丁字路がある。真っ直ぐに進めば「池ぶち広場」を経て「みはらし広場」へ至り、南に折れれば「鎌立の奥」と呼ばれる谷戸を経て南側の尾根道へ至っている。
「池ぶち広場」は新治市民の森の中心と言っていいところだ。広場の入口には枯れ木で造られたオブジェが飾られ、「新治市民の森」と記した名標が掲げられている。広場には木製のテーブルとベンチも設けられ、トイレもあるので一休みにも便利だ。
「池ぶち広場」からさらに西へ向かえば緩やかな坂道を上って「みはらし広場」に至っている。「みはらし広場」は市民の森西側の高所に当たり、その名が示すように東側に視界が開けている。それほど爽快な眺望というわけではないが、市民の森の木々の向こうに遠い街並みが見え隠れする。森の上を渡ってくる風が心地良い。
「鎌立谷戸」から南へ辿ると、小さな谷戸が奥まって湿地が横たわっている。「鎌立の奥」という呼ばれるところだ。谷戸は水田として耕作されている様子も無く、ほぼ自然のままの姿の谷戸の風景が広がっている。木々は鬱蒼としてどこか山深いところを歩いているような錯覚を覚える。野趣溢れる景観である。
「鎌立の奥」からさらに南へ辿れば、南側を辿る尾根道へ至っている。そのまま尾根道へと進んでみるのもお勧めだ。
「鎌立の奥」からさらに南へ辿れば、南側を辿る尾根道へ至っている。そのまま尾根道へと進んでみるのもお勧めだ。
「みはらし広場」の傍らから南へと林の中に延びて行く小道がある。「新治市民の森」の南の端を辿る尾根道だ。尾根道は竹林やヒノキ林などの中を辿って登り下りを繰り返して林の中を延びている。
場所によっては下の道路を走る車の音も聞こえてきたりするが、散策路はまるで別世界のような木立の中を辿っている。市民の森として整備されているとは言っても、尾根道は本来の姿のままの山道と言ってよく、急坂などもあって注意して歩かなくてはならない。
木立の間からは南側の梅田の谷戸のあたりの風景が見え隠れする。尾根道の途中には少し開けたところもあり、ベンチが設けられている。木立の向こう、南側にわずかに見えるのは「梅田」バス停の辺りだ。ベンチに腰を下ろして一休みするのもお勧めだ。
尾根道をさらに辿っていけばやがて「鎌立の奥」へと下りてゆく道が分岐する。「鎌立の奥」へと向かわずにそのまま尾根道を進めば、市民の森東側の「菖蒲谷戸」へ下りていくことができる。
場所によっては下の道路を走る車の音も聞こえてきたりするが、散策路はまるで別世界のような木立の中を辿っている。市民の森として整備されているとは言っても、尾根道は本来の姿のままの山道と言ってよく、急坂などもあって注意して歩かなくてはならない。
木立の間からは南側の梅田の谷戸のあたりの風景が見え隠れする。尾根道の途中には少し開けたところもあり、ベンチが設けられている。木立の向こう、南側にわずかに見えるのは「梅田」バス停の辺りだ。ベンチに腰を下ろして一休みするのもお勧めだ。
尾根道をさらに辿っていけばやがて「鎌立の奥」へと下りてゆく道が分岐する。「鎌立の奥」へと向かわずにそのまま尾根道を進めば、市民の森東側の「菖蒲谷戸」へ下りていくことができる。
新治市民の森とその周辺は昔ながらの里山と谷戸の風景が楽しめて、里山散歩の好きな人にはお勧めのところだ。お弁当持参で訪れて、のんびりと里山歩きの一日を楽しみたい。時間と体力が許せば新治市民の森から梅田川河畔へ足を伸ばしたり、梅田川を上流に辿って三保市民の森まで行ってみるのもいい。
新治市民の森はかなり広く、谷戸と尾根とを辿る散策路のすべてを一日で回りきるのは無理がある。初めて訪ねた際には「旭谷戸」から谷戸奥の谷戸田の辺りや、「鎌立谷戸」から「池ぶち広場」、「みはらし広場」の辺りを歩いてみるなどして全体の様子をつかむとよいかもしれない。
新治市民の森周辺は市民の森の区域内と区域外が複雑に入り組んでおり、散策の際には充分に注意する必要がある。私有地(農地を含む)にうっかり立ち入らないよう、地元の方々にご迷惑をおかけしないよう、気をつけて散策を楽しもう。
最寄り駅はJR横浜線の十日市場駅で、十日市場駅から新治里山公園まで(ルートにもよるが)徒歩で15分ほどだ。駐車場は市民の森の西側、横浜創英短大の傍らを通る道路沿いにあり、20台分ほどのスペースが用意されている。駐車場は土曜・日曜・祝日のみ、9時から17時まで解放されている。
新治市民の森はかなり広く、谷戸と尾根とを辿る散策路のすべてを一日で回りきるのは無理がある。初めて訪ねた際には「旭谷戸」から谷戸奥の谷戸田の辺りや、「鎌立谷戸」から「池ぶち広場」、「みはらし広場」の辺りを歩いてみるなどして全体の様子をつかむとよいかもしれない。
新治市民の森周辺は市民の森の区域内と区域外が複雑に入り組んでおり、散策の際には充分に注意する必要がある。私有地(農地を含む)にうっかり立ち入らないよう、地元の方々にご迷惑をおかけしないよう、気をつけて散策を楽しもう。
最寄り駅はJR横浜線の十日市場駅で、十日市場駅から新治里山公園まで(ルートにもよるが)徒歩で15分ほどだ。駐車場は市民の森の西側、横浜創英短大の傍らを通る道路沿いにあり、20台分ほどのスペースが用意されている。駐車場は土曜・日曜・祝日のみ、9時から17時まで解放されている。