横浜市都筑区茅ヶ崎南〜長坂
大原みねみち公園
Visited in May 2005
横浜市都筑区茅ヶ崎四丁目の南部から長坂の北部にかけて、大原みねみち公園がある。町の境界に沿うように東西に長く横たわり、その中に池を抱え、岸辺に沿って遊歩道が辿っている。池の北側には雑木林の尾根道があり、水辺と雑木林の双方を楽しめる、魅力的な公園だ。水辺の舗道は地元の人たちの憩いの場として親しまれているようで、散策を楽しむ人の姿も多かった。
大原みねみち公園の最大の特徴は、やはり池を中心にした水辺の佇まいと言っていい。細長く東西に延びた池はそれほど規模の大きなものではないが、木々に彩られて落ち着いた佇まいを見せる。随所に架けられた橋の意匠も風情があり、のんびりと水面を眺めながらの散策は楽しい。四阿も幾つか設置され、穏やかな水辺の風景を演出している。池には鴨の姿があり、可愛らしい姿を見せてくれる。訪れたときには見かけなかったがコサギやカワセミなどの姿も見られるという。訪れたのは五月の末、池の岸辺にはキショウブが咲き、水辺の景観に彩りを添えてくれていた。
池の北側は雑木林で、その中を辿って尾根道が延びている。「みねみち」はおそらく「峰道」で、すなわち尾根道のことだろうから、この辺りが住宅地として造成される以前から尾根筋を辿る小径があったのに違いない。林の中の小径は昔ながらの里山の風情を彷彿とさせる。南側に木々の隙間から池が見え隠れするのもいい。木洩れ日の揺れる中、頭上から聞こえる野鳥のさえずりに耳を澄ませながら歩くのはとても気分がいい。西側の方では公園区域外の公開緑地の林が隣接し、それらが公園の林と一体化してよりいっそう緑濃い空間を提供してくれている。
公園の東端部の北側には、鬱蒼とした木々に囲まれてぽっかりと草はらの広場がある。広場には遊具類も設置されておらず、素朴な原っぱという佇まいだ。それほど広いわけではなく、木々に囲まれているために開放感にも乏しいが、それがかえって街の喧噪から離れた空間を演出していて良いように思える。広場の外縁部は舗道が辿っているが、この舗道の北東側を通り抜けてゆく人の姿がとても多い。公園の北方に位置する
横浜市営地下鉄「センター南」駅方面へと行き来する人たちなのだろう。
その原っぱの地下を、横浜市営地下鉄が抜けている。新横浜方面から北進してきて、新羽を過ぎたあたりで西へ曲がった横浜市営地下鉄はこの辺りまで地上を走っているのだが、この大原みねみち公園に差し掛かるところで再び地下に潜る。その様子を、原っぱ脇の林の中からフェンス越しに見ることができる。自分の足元の地下へ姿を消し、あるいは地下から姿を現す電車を眺めるのは、電車の好きな子どもたちなどにとっては楽しいことなのではないだろうか。残念ながら電車を見るための展望所のようなものは無いから、林の中に分け入ってフェンス越しに眺めるしかない。
大原みねみち公園は、やはり池に沿った舗道をのんびりと散策するのが楽しい。池と岸辺の木々、橋や四阿などが織りなす風景はなかなか素敵なものだ。ニュータウン内に設けられた公園だから、景観の中には周辺の高層の建物なども入り込んでくるが、それはそれでまたひとつの興趣があって楽しめる。南側は道路が沿っているが表通りからは離れているために車両の通行もほとんどなく、騒音に悩まされることもあまりない。北側は林だが、南側が道路であるために開放感もあり、気持ちのよい散策を楽しむことができる。
公園内には遊具類などは設置されておらず、子どもたちのための遊び場としては物足りないが、東端部分の南に道路を挟んで隣接する「
ささのは公園」に遊具が置かれているから、小さな子どもたちを遊ばせたい人はこちらを利用すると便利だろう。トイレは東端部に設置されている。
大原みねみち公園の東は萌黄橋を渡って
茅ヶ崎公園へ繋がっている。池に沿った広い遊歩道は「
ささぶねのみち」という名の緑道を成し、だから大原みねみち公園は「ささぶねのみち」と一体化した印象もある。「
ささぶねのみち」はそのまま西へ延び、それに沿って歩いてゆけばどこまでが大原みねみち公園の範囲内であるのかも判然とせず、木々の茂った緑道を辿ってやがて
葛ヶ谷公園に至る。公園には駐車場はなく、横浜市営地下鉄の「センター南」駅が最寄り駅だが少しばかり距離がある。周辺の公園や緑道を巡る散策の際に訪れてみるのがいい。