多摩市鶴牧
−鶴牧西公園−
春の鶴牧西公園
Visited in April 2012
多摩市鶴牧の
鶴牧西公園はかつての多摩丘陵の面影を残して整備された公園で、広場や雑木林などが設けられている。雑木林の中にはヤマザクラの木もあり、春には美しい姿を見せてくれる。
春の
鶴牧西公園で最も眼を引くのは「お茶の谷」の脇に咲くヤマザクラだ。一本の木が根方からふたつに分かれたものか、あるいは二本の木が同じところから生長したものか、二股に分かれた大きな幹がそれぞれに広く枝を張って咲き誇る姿が見事だ。「お茶の谷」を挟んで南側から見る景観も素晴らしいものだが、「お茶の谷」の上方、東側から眺めれば、背景には小田急線の向こう側に広がるゴルフコースの木々が広がり、美しい景色だ。ニュータウン内の公園であることを忘れて里山の風景を見ているような錯覚さえ覚える。見事なヤマザクラである。
「お茶の谷」の横手に残された雑木林の中にもヤマザクラが咲いている。こちらは他の樹木に混じって枝を上へ伸ばした野趣溢れる姿だ。雑木林の東側には「果樹の谷」と名付けられた斜面がある。果実の実る樹木を植えた一角だが、ここには紅白のハナモモが鮮やかに咲いていた。「果樹の谷」の下方は広場になっており、その広場の脇でもサクラが咲いている。こちらはソメイヨシノのようだ。その広場から雑木林の北側の裾を辿ってゆくと小さな小川が造られており、その奥まったところに大きなヤマザクラが咲いていた。すでに花は盛りを過ぎ、落ちた花弁が小川の水面を覆う様子が美しい。
公園南東側に位置する「みどりの広場」にはサクラは無いようだが、その南側を抜ける道路がオオシマザクラの並木になっており、隣接する
鶴牧東公園とを繋ぐ歩道橋からよく見える。並木の規模は小さく、木もそれほど大きくはないが、歩道に降りて並木の下を歩いてみるのも一興かもしれない。
鶴牧西公園の春景色と言えば、
多摩市の天然記念物に指定されたシダレザクラが有名だ。本来は公園北西側に隣接する川井家の敷地内にあった樹木だが、樹木と周辺の土地が多摩市に寄贈され、現在は公園の一部となっている。今年(2012年)は桜の開花が全体的に遅かったが、今回訪れたとき(2012年4月中旬)にはこのシダレザクラはすっかり花の盛りを過ぎ、葉桜になっていた。シダレザクラはまた次の機会を待つことにしよう。
春の鶴牧西公園は“桜の名所”とは言い難いが、雑木林周辺に咲くヤマザクラは美しく、里山の春を彷彿とさせる風景を楽しむことができる。“花見”というより、ピクニックを兼ねた春の行楽に好適なところだと言えるだろう。サクラは品種によって年ごとに開花時期が異なるが、条件が良ければヤマザクラとシダレザクラの両方を楽しむことができるだろう。