横浜線沿線散歩公園探訪
多摩市鶴牧
−鶴牧西公園−
春の鶴牧西公園
Visited in April 2024
春の鶴牧西公園
多摩市鶴牧の鶴牧西公園はかつての多摩丘陵の面影を残して整備された公園だ。園内には昔ながらの雑木林が残されている。春になれば雑木林の中にヤマザクラが咲き、美しい景色を見せてくれる。
春の鶴牧西公園 春の鶴牧西公園で最も美しいのは「お茶の谷」越しに見る雑木林のヤマザクラではないだろうか。雑木林は新緑が芽吹き、その中にヤマザクラが競うように咲き誇る。日差しを浴びて輝く景観はまさに春の雑木林を象徴するものだ。

「お茶の谷」の上方、「水の広場」の横手にもヤマザクラが咲いている。下から見上げる姿も美しいが、「水の広場」側から竹林を背景に見るのもいい。林の中のヤマザクラは頭上高くで花を咲かせるのが通常だが、このヤマザクラは林の中ではないから人の視線の高さでも花を楽しむことができる。

春の鶴牧西公園 「お茶の谷」にはつづら折りとなった園路が斜面を辿っているが、園路脇にはオオシマザクラやベニヤエシダレ、ミツバツツジなども植えられていて、存分に春の景観を楽しむことができる。園路の下方と上方では見える風景の印象も違う。やはり少し高所から見下ろすように眺める景色が魅力的かもしれない。

上方からは多摩市の天然記念物に指定されたシダレザクラの姿も見える。このシダレザクラは花期が少し早く、ヤマザクラが見頃を迎える時期には葉桜になっていることが少なくない。タイミングを見極めて楽しもう。

春の鶴牧西公園 雑木林の東側には「果樹の谷」と名付けられた斜面がある。その名の通り、果実の実る樹木を植えたエリアで、ハナモモやカリン、ジューンベリーといった果樹の花を見ることができる。ジューンベリーはアメリカザイフリボクといい、6月に実を付けることから「ジューンベリー」と呼ばれる。

果樹の根方では菜の花やヒメオドリコソウ、ホトケノザ、オオイヌノフグリといった春の花も咲いている。さまざまな春の花が楽しめるのが嬉しい。

春の鶴牧西公園 「果樹の谷」の下は遊具を設置した広場になっている。広場から雑木林を眺めれば新緑の中にヤマザクラが淡い春色を添える。

広場から雑木林の北側の裾を辿って小さな小川が造られている。小川の水面には桜の花弁が浮かんでいる。見上げると雑木林のヤマザクラが上へ上へと枝を伸ばして花を咲かせている。

雑木林の中の小径を歩けば新緑とヤマザクラの競演が楽しめる。足下に目をやればタチツボスミレの可憐な姿も見つけることができる。

春の鶴牧西公園 公園南西側には駐車場が設けられているが、その横の一角にハナカイドウ(花海棠)が植えられている。ハナカイドウはバラ科リンゴ属の樹木で、かなり大きく育つ木らしいのだが、幼木のうちから花をたくさんつけるために公園の植栽や街路樹に使われることも増えてきているようだ。

濃いピンクというのか、淡い紅色というのか、その鮮やかな色彩はまさに春色。美しい花だ。

春の鶴牧西公園 公園南東側に位置する「みどりの広場」にはサクラは無いようだが、その南側を抜ける道路がオオシマザクラの並木になっており、隣接する鶴牧東公園とを繋ぐ歩道橋からよく見える。並木の規模は小さく、木もそれほど大きくはないが、歩道に降りて並木の下を歩いてみるのも一興かもしれない。

また「お茶の谷」の南西側でも道路脇に植えられた桜が並び、美しい春景色を見せてくれる。歩道を歩きながら景観を楽しむのがお勧めだが、近くに設けられた歩道橋の上から眺めるのもいい。
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春の鶴牧西公園は“桜の名所”とは言い難いが、雑木林周辺に咲くヤマザクラは美しく、里山の春を彷彿とさせる風景を楽しむことができる。ハナモモやジューンベリーなどの花々が楽しめるのも嬉しい。“花見”というより、ピクニックを兼ねた春の行楽に好適なところだと言えるだろう。サクラは品種によって年ごとに開花時期が異なるが、条件が良ければヤマザクラとシダレザクラの両方を楽しむことができるだろう。
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