横浜線沿線散歩公園探訪
多摩市鶴牧
鶴牧西公園
Visited in July 2023
鶴牧西公園
多摩市鶴牧の中央部、西寄りに位置して「鶴牧西公園」がある。芝生の広場や雑木林などから構成された公園で、供用開始は1994年(平成6年)、6haほどの面積を有する。園内には斜面が多いが、おそらく多摩ニュータウンの造成前には谷に面した丘陵の斜面だったのだろう。その地形を活かし、里山の風景も残して整備された公園だ。
鶴牧西公園 公園の東南側には「みどりの広場」と名付けられた芝生広場が設けられている。それほど広大な広場というわけではないが、十分な広さがあり、明るく開放的な雰囲気が魅力の広場だ。

外縁部には木立が並び、公園の外部とほどよく隔てられているために穏やかな空気感に満たされているのも素敵だ。広場の脇には各種の運動用の器具が設置されており、地元の人たちが日常的に利用している様子がうかがえる。休日になると広場で遊ぶ家族連れの姿を見ることも多い。

鶴牧西公園 「みどりの広場」の北東側には「みどりの家」という建物がある。建物の一角はトイレや管理所などを兼ねているようだが、メインとなる建物自体はがらんどうのホールのような場所で、床は土間になっている。

「みどりの家」の土間の“ホール”は有料で貸し出され、有志グループなどの集会や体操などのイベントに使用できるようだ。「みどりの家」の横から南東側へ人道橋を渡れば鶴牧東公園だ。

鶴牧西公園 「みどりの広場」と「みどりの家」が位置するあたりは園内の高所にあたる。「みどりの家」の脇からは北方に視界が開けて眺望を楽しむことができる。

それほどの高みではないが、眼下に公園の風景を見下ろし、その向こうには中沢二丁目から鶴牧二丁目辺りの街並みが見えている。気持ちの良い眺望だ。ベンチも設けられているから、ベンチに腰を下ろして丘を渡ってゆく風に吹かれながら眺望を堪能するのも素敵なひとときだ。
鶴牧西公園 「みどりの家」の北側には斜面が降りており、斜面は雛壇状に整備されてその中を小道が通る。「果樹の谷」と名付けられており、さまざまな果樹が植えられている。

市民協働事業の一環として「鶴牧西公園を育てる会」「ヤングリーブス」「ライトグリーン」「緑地管理研究会」の4つのボランティア団体が「果樹の谷運営協議会」を組織して管理しているという。収穫した果実の即売会も行われるようだ。

鶴牧西公園 果樹に詳しくない身ではどれが何の木なのかもよくわからないが、ブルーベリーや栗の実を見つけることができた。夏の光の中で見るそれらの実には花々とはまた違った美しさが感じられる。

「果樹の谷」の中を辿る小道には随所に野菜などを象ったオブジェが置かれている。筍やリンゴ、かぼちゃなど、どれも本物そっくりの形状に作られている。なかなか楽しい演出である。

鶴牧西公園 「果樹の谷」を北に降りたところには小さな広場があり、ブランコや鉄棒、複合遊具などが設置されている。広場の隅にはベンチとパーゴラも設けられている。広場の西側には水道設備が設けられているが、これには龍の頭部を模したオブジェがあしらわれている。これも素敵な演出だ。

この広場には公園北東側の出入口が設けられているから、近くに暮らす人たち、特に子どもたちにとっては身近な小公園的な役割を果たしているのだろう。
鶴牧西公園 「みどりの広場」の北西側、公園の中心部にあたる場所は「水の広場」と名付けられ、現代的な造形で整備されている。

「水の広場」という名が表すように上部は池になっていて、その中央部を階段が降りている。広場全体がひとつのオブジェのようなデザインで、その印象的な意匠はよく目立つ。開園から時を経て少しばかり老朽化した印象もあるが、鶴牧西公園のシンボル的存在だと言っていい。里山の自然をよく残した公園内で少しばかり特異な存在感を放っているが、これはこれで楽しい。
鶴牧西公園 「水の広場」の西側、公園の北西側の部分には公園の三分の一ほどの面積を占めて雑木林と竹林が残され、樹林の中を縫うように散策路が辿っている。雑木林は尾根となった地形で、北西側の端では斜面を散策路が降りている。散策路は未舗装の小径で、ちょっとした里山散歩の気分が楽しめる。

おそらく昔から丘陵地の端となった地形で、それを活かして公園の中の雑木林として残したものだろう。それほど規模の大きな雑木林ではないが、四季折々の雑木林の表情を味わいながらの散策が楽しめる。

鶴牧西公園 七月、雑木林の斜面に山百合が咲いていた。山百合は東海、関東、東北にかけて広く分布するユリで、林地の外縁部などに多く育つ。それほど珍しい花ではないのだが、都市近郊ではこうして公園の緑地内で見つけることが多いかもしれない。

山百合は大型の花と強い芳香が特徴のユリで、東京近郊では例年七月上旬から七月下旬にかけて花期を迎える。夏の訪れを告げる花と言っていい。
鶴牧西公園 公園西側のエリア、雑木林の南側は公園西側の出入口を兼ねており、谷戸となった地形を活かし、水田を設けて、里山の風景を彷彿とさせる景観に整備されている。雑木林の木々や竹林を背景に緑濃く長閑な風景を楽しむことができる。一角には四阿やベンチも設置されているから、ひとときのんびりと過ごすのもお勧めだ。

出入口横には昔の農家を模した造りの休憩施設がある。この施設は有志グループや団体などの使用に貸し出してもいて、土間と「奥の間」などを利用することができる。

鶴牧西公園 水田のあるエリアのすぐ西側に、多摩市の天然記念物にも指定されている有名なシダレザクラがある。もともとは隣接する川井家の敷地内にあったシダレザクラだが、樹木と周辺の土地が川井家から多摩市に寄付され、現在は鶴牧西公園の一部である。

夏には緑の葉を茂らせたシダレザクラだが、春の満開のときの姿は見事なもので、見頃の時期には多くの人が鑑賞に訪れる。有名なシダレザクラである。

鶴牧西公園 水田を設けた里山エリアの東側と南側は斜面になっていて、東側は「お茶の谷」、南側は「花の谷」として整備されている。「花の谷」の斜面にはつづら折りに散策路が辿って、公園南東側の駐車場脇へと繋いでいる。

西側の出入口から公園を出て北西へ少しばかり歩くと都道158号小山乞田線に出る。都道を少し南へ辿れば小田急多摩線の唐木田駅も近い。都道の向こうは中沢と唐木田になる。その街並みの向こうにはこんもりとした雑木林が見えるが、これは「からきだの道」として整備された散策路の木立で、さらにその向こうには八王子市と多摩市にまたがってゴルフコースが広がっている。
鶴牧西公園
芝生の広場や雑木林を有した鶴牧西公園は休日をのんびりと過ごすのに好適な公園だと言っていい。子どもたちのために遊具類は充実しているとは言い難いが、開放感のある広場や自然溢れる林地などが良い遊び場になるだろう。家族連れで訪れても充分に楽しめる公園だと思える。

駐車場は「みどりの広場」の西、公園の南端部分にあたる場所に設置されており、20台分ほどの駐車スペースがあるが休日などには満車となっていることが多いようだ。
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