横浜市都筑区北山田
−山田富士公園−
梅香る山田富士公園
Visited in February 2018
横浜市都筑区北山田の山田富士公園には梅林が設けられている。梅の数はそれほど多くはないが、冬枯れの景色の中に紅白の梅が鮮やかに咲き誇り、素晴らしい景観を見せてくれる。
山田富士公園は西側には木々の茂る丘が横たわり、東側には開放感のある広場が設けられている。広場は南が低く、北側に高い地形になっているのだが、その北端部、広場を見下ろす位置に梅林が設けられている。
梅林はそれほど規模の大きなものではない。梅の数は公表されていないようだが、数十本といったところか。しかし公園北端部の斜面を活かして設けられた梅林は表情に富み、斜面を辿る園路を巡ればさまざまに美しい景観を楽しむことができる。斜面の上方から見下ろすのもいいし、下から見上げるように観賞するのもいい。紅梅、白梅を取り混ぜて植えられているのもいい。紅白の色彩が視界の中で混ざり合い、視点を変えれば印象も変わって飽きない。
梅林の上方には四阿が設けられているが、この四阿から園内を眺めれば、眼下に梅林の紅白の梅が咲き誇り、その向こうに広場が横たわる。園内はまだ冬枯れの風景だが、常緑樹の緑がアクセントを添えて風情ある景観を見せる。さらにその向こうには北山田駅周辺の街並みが見えている。なかなか素敵な眺望である。
梅林は、もちろん梅林の中の園路を辿って楽しむのがいちばんだが、南側の広場から遠景に眺めるのもいい。冬枯れの広場の向こう、常緑樹の緑を背負って梅林が紅白の帯を引く。その風景が何とも言えない風趣を漂わせる。その背後に高層住宅の建物が見えるのも、ニュータウン内の景観としての興趣というものだろう。北山田駅から公園に訪れた際には、この景観を眺めながら梅林に向かうことになる。その景色を楽しみながら梅林へ向かおう。
梅の花が見頃を迎える頃、園内はまだまだ冬枯れの風景だ。公園南端部近くに設けられた池の岸辺に立つ百日紅もすっかり葉を落とし、幹と枝だけになった姿を見せている。枝先で細かく枝分かれした百日紅は、葉を落とした姿も美しい。花を咲かせる晩夏の姿とは違って、閑寂な味わいがあって魅力的だ。
公園西側に残された山田富士も冬枯れの色だが、周囲の木々が葉を落として見通しが利き、葉を茂らせた季節には見ることのできない角度から山田富士の頂上部を眺められるのが嬉しい。頂上部の周囲に残された塚なども、早春の低い日差しに照らされて風趣に富む姿を見せている。この季節でなければ見られない山田富士の表情を楽しんでおきたい。
山田富士公園の梅林は“梅の名所”と呼ぶには少し物足りない規模だが、その美しさには決して物足りなさを感じることはない。広場から遠景に見る梅林も美しく、梅の花を縫うように園路を辿っての観梅散歩は充分に満足できるものだ。横浜市営地下鉄グリーンラインの北山田駅から至近という公園の立地も嬉しい。観梅を兼ねた早春の散策にお勧めのところだと言っていい。山田富士公園は「ふじやとのみち」と名付けられた緑道に隣接している。山田富士公園から「ふじやとのみち」へと歩を進めて、早い春を探しながらの散策を楽しむのも悪くない。