八王子市中野上町〜楢原町
浅川河岸
(鶴巻橋〜松枝橋)
Visited in November 2020
秋晴れに恵まれた11月中旬、浅川の河岸を歩いてみたいと思ってバスに乗った。八王子市役所前から鶴巻橋を渡り、メタセコイア化石林などを見学しつつ、浅川左岸を上流側へ辿っていこう。
草野球を楽しむ人たちを見ながらさらに進もう。堤防道に植えられた桜もすっかり秋の装いだ。見上げると秋の青空を背景にした桜の紅葉が美しい。
「浅川のメタセコイア化石林」は1967年(昭和42年)に発見されたもので、170〜200万年前のメタセコイアの群生の跡だという。メタセコイアは150万年から200万年前くらいの時代に地表に繁茂していた樹木で、当初は絶滅した樹木だと思われていたが、1945年(昭和20年)に中国四川省で自生しているものが発見されている。現在では公園や街路で一般的に見ることのできる樹木だ。
この辺りの浅川の河原は泥岩の層が露出して独特の景観を見せている。まるで太古の地表を思わせる景色で、もしかしたらかつてメタセコイアが繁茂していた時代はこうした景色が広がっていたのかもしれないと思わせてくれる。こうした景観も浅川河岸散歩の楽しみのひとつと言っていい。
堤防道沿いの樹木が秋の色に染まり、日射しを浴びて美しく輝く。そんな景色を楽しみながら上流側へと歩く。楢原町に入って間もなく、堤防道を歩くことができなくなる。しばらく一般道路を辿っていくと、また河川敷に降りることができるようになった。
松枝橋は2010年度(平成22年度)から架け替え工事が行われ、今年(2020年)5月に新しい松枝橋が通行できるようになった。新しい松枝橋は3径間連続鋼細幅桁橋、車道は幅員9m、両脇に幅員約3.5mの歩道が設けられている。新松枝橋のすぐ下流側に架かる橋は架け替え工事に伴って設置された仮橋だ。今はまだ新松枝橋と仮橋が並んでいるが、やがて仮橋は撤去されるだろう。
細道は川沿いを辿り、やがて川を離れたと思ったらジブリ映画の「となりのトトロ」の一場面を思い起こすような“草木のトンネル”をくぐってゆく。ふいに河川敷の草むらを抜け出た。下川口公園の広場の脇に出たのだった。
さらに上流側に辿っていきたい気もするが、鶴巻橋からここまで3km弱、ちょうど良い距離だろう。近くのバス停で八王子駅行きのバスを待ってもいいが、河岸を離れて住宅地の中を辿って鶴巻橋の辺りまで戻るのも楽しそうだ。
道脇には畑地があったり工場らしい建物があったり、住宅地だったり樹林地だったり、さまざまな風景があって楽しい。
その住宅街の中に清川2号公園という小さな公園がある。面積1500平方メートルにも満たない小さな街区公園だが、紅葉が素晴らしい。園内に植えられたイチョウやケヤキ、外縁部のドウダンツツジの植え込みなどが美しく秋の色に染まっている。見事な景色である。園内には近所の家族らしい子ども連れが遊んでいるが、紅葉を目当てに訪れたらしい人の姿はない。
人の姿の無い河川敷でのんびりとしたひとときを楽しんだら、そろそろ鶴巻橋を渡り、「八王子市役所」バス停で八王子駅行きのバスを待とう。
以前から鶴巻橋から上流側へ、北浅川の河岸を歩いてみたいと思っていた。ようやく機会を見つけて歩くことができた。抜けるような秋空に恵まれ、爽やかな散策を楽しむことができた。次のには松枝橋の上流側へも歩いてみたい。