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八王子市横川町
横川町東部
Visited in October 2018
横川町東部
八王子市中心市街の西方、市役所の西側に「横川町」という地区がある。北浅川と城山川が合流し、すぐに南浅川が合流するところの南西側に広がる町だ。横川町の東部を中心に、点在する小公園を巡りながら南浅川や城山川の河岸を辿ってみたい。南浅川の河岸は桜並木の美しいところだが、季節は秋、桜並木はそろそろ紅葉に染まり始め、河岸にはコスモスが咲いている。秋の風情を楽しみながら歩いてみたい。
水無瀬橋から見る南浅川上流側
横川町散策の出発点は「水無瀬橋」バス停だ。宝生寺団地方面や高尾駅方面へと向かうバス路線が通っている。バス停を降りて陣馬街道(都道521号)を西へ向かえば100m足らずで水無瀬橋だ。水無瀬橋は南浅川を跨いで陣馬街道を通している。水無瀬橋からの眺めを少し見ていこう。

南浅川は春には河岸の桜並木が美しいが、すでに季節は秋、桜並木も紅葉に染まり始めている。河岸のサイクリングロードには散策を楽しむ人たちの行き交う姿がある。その横でコスモスが風に揺れている。コスモスは河岸に設けられた小公園脇に植えられているようだ。その小公園に立ち寄って、コスモスの咲く風景を楽しんでいこう。

水無瀬児童遊園のコスモス
小公園は「水無瀬児童遊園」という。南浅川の右岸、水無瀬橋の上流側から下流側にかけて設けられた小公園で、上流側に広場を置いてブランコや滑り台、幼児用のスプリング遊具などが設置されている。

その広場の脇、河岸側にコスモスが植えられている。コスモスは行政による公園整備の一環として植えられたものか、あるいは地元有志によるものか。コスモスは河岸のサイクリングロード側からの眺めが美しい。時刻はお昼過ぎ、逆光気味の斜光線を弾いてコスモスの花が輝く。素敵な秋の風景だ。

水無瀬橋から見る南浅川上流側
水無瀬児童遊園を後にして、水無瀬橋を渡ろう。水無瀬橋の東側、南浅川右岸側の陣馬街道沿いは日吉町、水無瀬橋を渡った先は横川町だ。

昔、南浅川はこの辺りで伏流水となって流れており、大雨のとき以外は地表に流れが現れることがなかった。そこかから「水無瀬」の名が生まれたという。水無瀬橋は1906年(明治39年)に木橋として架けられ、1933年(昭和8年)にコンクリート製の橋となった。現在の水無瀬橋は1984年(昭和59年)に架橋されたものである。
水無瀬児童遊園もコスモス
南浅川河岸
水無瀬橋の袂から南浅川左岸を下流側に向かって歩く。空は秋晴れ、澄んだ秋空の下、河岸を歩くのは気分の良いものだ。

水無瀬橋から200m余り辿ったところに、何かの専用橋が架かっている。「NTT」の名が記された「立入禁止」の看板が取り付けられている。橋は「南浅川通信橋」、NTTの通信設備の専用橋だ。その姿が奇妙な存在感を放つ専用橋である。

横川弁天池公園
NTTの専用橋の脇から西へ、横川町の住宅街の中の道を辿ってゆく。河岸から150mほど歩くと、「横川弁天池公園」だ。湧水池のある公園で、かつては池の辺に弁天様を祀る祠があったという。当然のことなら池の水はたいへんに澄んでいて、その中を鯉が悠然と泳いでいる。

横川弁天池公園西側の道路を北へ100mほど進むと「横川町住宅」交差点だ。「市役所入口」交差点から西へ向かった道路が横川橋で南浅川を越えてここへ至っている。横川橋の南西側、道路脇に「横川橋公園」が設けられている。広場を中心にした公園だ。

横川町住宅もみじ公園
「横川町住宅」交差点の名が示すように、交差点の北側には東京都住宅供給公社の横川町住宅が広がっている。

その一角、南側の道路脇に「もみじ公園」という公園が設けられている。横川町住宅の整備に伴って設けられた公園だろう。広場に滑り台やブランコ、鉄棒、ジャングルジムなどを設けた公園だが、団地の建物に囲まれた立地がその役割を物語っている。遊具はどれも美しく塗装され、鮮やかな色彩が木々に緑に映える。なかなかフォトジェニックである。

横川町住宅
もみじ公園からバス通りを北へ辿ろう。道路から見える横川住宅の建物がなかなか素敵だ。秋の青空を背景に日差しを浴びる姿はなぜか郷愁を誘うような景観だ。フェンスに布団が干してあったり、建物の脇に子供用の自転車が無造作に置いてあったりする様子も良い風情だ。“団地マニア”にはお勧めの横川町住宅である。

歩道橋を過ぎたあたりで、陣馬街道からほぼ真っ直ぐに北へ延びてきた道路は行き止まりになっている。将来は浅川を跨いで橋が架けられ、浅川北側の清川町とを繋ぐ計画があるのかもしれないが、まだまだ先の話だろう。行き止まりの交差点を西に折れ、道なりに曲がってゆくと城山川の河岸に出る。
横川町住宅
城山川左岸の遊歩道
横川町住宅の北側で城山川を跨ぐのは五反田橋、城山川の北側は叶谷町だ。叶谷町の北部には「叶谷榎池」という遊水池があり、さらに叶谷町の北側の泉町には泉町湧水群と呼ばれる湧水がある。それらも訪ねてみたいが、今回は見送って、また次の機会にしたい。

城山川の左岸を遊歩道が辿っている。道路と川との間、未舗装の遊歩道は要するに堤防道なのだろうと思うが、並木や植え込みが整備されており、気持ちよく散策を楽しむことができる。この遊歩道を上流側へ辿っていこう。

城山川
城山川の左岸部は川面近くへ降りて行けるように整備されており、城山川の流れを間近に楽しむことができる。城山川の河床は段差を設けてカスケード状に整備されているところもある。水はなかなか澄んでいる。その上を鴨の泳ぐ姿もあって心が和む。

川面近くの景観を堪能したら、さらに河岸を上流側に辿ろう。五反田橋から600mほどで三村橋だ。三村橋は城山川を跨いで陣馬街道(都道521号)を通している。交通量も多い。三村橋は1962年(昭和37年)2月に完成したものという。現在は両側に人道橋が架けられて歩行者はそちらで城山川を渡る構造になっている。

三村橋から城山川に沿ってさらに400mほど上流側に辿れば、河岸に横川下原公園という公園が設けられている。そのほとんどを樹林が占める公園だ。横川下原公園にも立ち寄っておきたいが、これもまた次の機会に譲り、今回は三村橋から下流側へと戻っていこう。
城山川
城山川と北浅川の合流点
城山川の右岸を下流側に辿って、やがて五反田橋、五反田橋からそのまま河岸に沿った遊歩道へ進んでいく。

少し進むと城山川が北浅川に合流する。その合流点が河岸からもよく見える。北浅川のこの辺りは泥岩の層が露出しており一般的な“河原”とは違った印象の景観を見せている。この合流点から200mほど上流側の北浅川の河床には170〜200万年前のメタセコイアの群生跡があり、「浅川のメタセコイア化石林」の名で知られる。残念ながら横川町から「浅川のメタセコイア化石林」を訪ねようと思ったら横川橋から鶴牧橋へと回らなくてはならず、2kmほどの距離を辿らなくてはならない。

横川町住宅北側の遊歩道
横川町住宅北側の北浅川河岸は遊歩道が広く設けられ、小公園のような広場を成している。河岸部や横川町住宅脇に印象的に樹木が立ち、草原の広場となった中を舗装された遊歩道が延びる。穏やかで美しい空間だ。横川町住宅に暮らす人たちにとって素敵な憩いの場になっているのだろう。

そのまま東へ辿っていけばすぐに南浅川の河岸に出る。北東の方角には北浅川と南浅川の合流点が見えている。
横川町住宅北側の遊歩道
南浅川
南浅川の河原へ降りてみよう。北浅川との合流点の手前、南浅川の河床は堰のように整備が成されている。河川の整備について詳しくない身ではよくわからないが、水流の勢いを調整するためのものか。あまり推奨できることではないのかもしれないが、設けられた構造物を“飛び石”のように使って対岸へと渡ることができる。

渡った先、南浅川右岸の遊歩道脇に「河川管理境界」を示す標識が建っている。ここから下流側は国土交通省京浜河川事務所多摩出張所、上流側は東京都南多摩西部建設事務所の管理だそうである。つまり北浅川と南浅川の合流点より上流部は都の管理区間、下流部は国の管理区間ということだ。

多賀公園
南浅川と北浅川の合流点近くの左岸には多賀公園という公園が設けられている。広場を中心に構成された公園で、浅川を望む広場にはウッドデッキが設けられている。デッキに腰を下ろして河岸の風景を眺めるのものんびりとして気持ちのよいものだ。

多賀公園から、このまま南浅川の右岸を水無瀬橋へ向かおう。横川橋の袂をアンダーパスで過ぎ、川に沿って辿る。南浅川の右岸には緑地帯のような小公園が延びている。「下元本郷児童遊園」と「上元本郷児童遊園」と続き、さらに「水無瀬児童遊園」へと続いているが、それぞれの児童遊園の境は判然とせず、全体でひとつの大きな緑地帯のような様相だ。それで良いのだろう。

この辺りから東へ少し入り込めば、住宅地の中に多賀神社が鎮座している。「西の鎮守」として八王子の人々の信仰を集める神社だ。横川橋から300m余り、上元本郷児童遊園から水無瀬児童遊園へと歩を進めれば水無瀬橋だ。今回の散策はこの辺りで終わりにして、水無瀬橋のバス停でバスを待つことにしたい。
陣馬街道を車やバスで通り抜けることはあっても、横川町住宅の辺りを歩いたことはなかった。横川弁天池公園にも訪ねてみたいと思っていたから、今回は良い機会だった。点在する小公園を巡りながら、南浅川河岸や城山川河岸の風景も見ることができて、なかなか楽しい散策だった。次の機会には三村橋からさらに城山川上流部へと、あるいは叶谷町から泉町へ“湧水巡り”などを楽しんでみたい。
横川町東部
横川町東部
横川町東部