八王子市東浅川町〜長房町〜千人町
南浅川の桜並木
Visited in April 2003
暖かく春らしい陽気となった四月の初め、午後になって南浅川河畔を歩いた。陵南公園辺りから下流側へ、南浅川河畔は桜並木になっていて、花期には美しい景観が楽しめる。桜はそろそろ盛りを過ぎた時期だったが、川に沿って並ぶ桜の表情は素晴らしく、花見を兼ねて散策を楽しむ人たちも多かった。
南浅川河畔の散策の出発点にはJR中央線の高尾駅を選んだ。駅の北口へと出ると、散策に訪れたらしい人の姿が少なくない。高尾駅は桜の名所として知られる廿里町の多摩森林科学園へも近く、そちらを訪ねる人も多いのだろう。駅前の交差点の角には小さいながら枝垂れ桜が桃色の花を咲かせて駅前の喧噪に春の色彩を添えている。
駅前から甲州街道を東に向かう。イチョウ並木が有名な甲州街道だが、今はまだ冬枯れの裸の木が並んでいるだけだ。しばらく歩くとすぐに大きな交差点に着く。右手(南)へは町田街道が延び、左手(北)へは高尾街道が延びている。高尾街道は、昔は高尾駅前交差点から北へ延びていたのだが、今ではちょうど多摩森林科学園の前辺りから新道が逸れ、町田街道との交差点に直結している。
交差点から甲州街道を北へ逸れる道へと入り込む。おそらく甲州街道の旧道なのではないだろうか。少し進んで北を流れる南浅川の河畔へと抜ける道を見つけてそちらへと歩を進めた。すでに陵南公園にも近く、下流側の両岸に桜の並ぶ景色が広がっている。公園の周辺は特に桜が見事で、お花見の人出も多い。
公園に立ち寄ってもよいのだが、今回は敢えて公園とは反対側の右岸をそのまま歩いた。ちょうど公園の対岸にあたる部分に小さな緑地があり、大きく枝を張った桜が美しく咲いている。緑地には「南浅川緑地」の名があるが、南浅川緑地というのはこの小さな緑地だけではなく、南浅川河畔に沿った緑地全体を指すのではないかと思う。桜の下ではシートを広げて宴会を楽しむ人や散策途中のひと休みといった様子の人たちがくつろいでいる。対岸に見える公園も桜に彩られた景色が見事だ。公園の中にもお花見に訪れた人たちの姿が多い。ずいぶんと暖かい日だったので、公園脇の河原では小学生くらいの年頃の女の子たちが膝あたりまで水につかって遊んでいる。
交差点から甲州街道を北へ逸れる道へと入り込む。おそらく甲州街道の旧道なのではないだろうか。少し進んで北を流れる南浅川の河畔へと抜ける道を見つけてそちらへと歩を進めた。すでに陵南公園にも近く、下流側の両岸に桜の並ぶ景色が広がっている。公園の周辺は特に桜が見事で、お花見の人出も多い。
公園に立ち寄ってもよいのだが、今回は敢えて公園とは反対側の右岸をそのまま歩いた。ちょうど公園の対岸にあたる部分に小さな緑地があり、大きく枝を張った桜が美しく咲いている。緑地には「南浅川緑地」の名があるが、南浅川緑地というのはこの小さな緑地だけではなく、南浅川河畔に沿った緑地全体を指すのではないかと思う。桜の下ではシートを広げて宴会を楽しむ人や散策途中のひと休みといった様子の人たちがくつろいでいる。対岸に見える公園も桜に彩られた景色が見事だ。公園の中にもお花見に訪れた人たちの姿が多い。ずいぶんと暖かい日だったので、公園脇の河原では小学生くらいの年頃の女の子たちが膝あたりまで水につかって遊んでいる。
公園の下流側に「南浅川橋」が架かっている。大正天皇陵造営の際の参道整備に伴って架けられた橋という。1927年(昭和2年)の架橋時は木造の橋だったらしいが、今はコンクリート製の美しいアーチが印象的だ。この南浅川橋から見る河畔の景色がとても素晴らしい。上流側の歩道に立てば、右に陵南公園、左に緑地の桜が一望できる。下流側の歩道から河畔を望めば、これも両岸に並ぶ桜並木の景観が見事だ。南浅川橋自体の意匠も美しく、橋と桜との取り合わせも、景観として楽しめる。
南浅川橋から下流側、川の左岸は川に沿って帯状に広場が設けられて、その広場が桜並木になっている。大きく枝を張った見事な桜で、南浅川橋から眺めた景観も素晴らしいものだが、並木の下を歩けば頭上を覆う桜に圧倒される思いがする。桜の下ではそぞろ歩きを楽しむ人や宴会を楽しむ人など、それぞれだ。
右岸はサイクリング・ロードを兼ねているらしい遊歩道が河岸に延び、散策を楽しむ人々が行き交っている。南浅川橋の袂、右岸に陵南公園の分園やプールなどがあるが、その周辺も桜が素晴らしく、お花見を楽しむ人たちの姿も多い。
右岸はサイクリング・ロードを兼ねているらしい遊歩道が河岸に延び、散策を楽しむ人々が行き交っている。南浅川橋の袂、右岸に陵南公園の分園やプールなどがあるが、その周辺も桜が素晴らしく、お花見を楽しむ人たちの姿も多い。
その右岸の遊歩道に沿って下流側に向かって進んだ。南浅川橋の周辺を離れると桜の数は少し減るが、河畔ののどかな春の風情が楽しい。河畔に東浅川児童遊園という小さな公園があり、地元の子どもたちの遊ぶ姿があった。ここも桜が美しいが、子どもたちはあまりお花見には興味がないようだ。
児童遊園の近くに陵東橋という人道橋が南浅川を跨いでいる。その橋を渡って左岸に移り、河岸になおも続く桜並木の下を歩く。ところどころに広場が設けられて、ベンチも置かれている。ベンチに腰を下ろしてくつろいでいるのは地元の人たちなのだろう。並木には提灯が下げられている。夜桜も楽しめるのだろう。
桜に彩られた河畔の風景を楽しみながら下流側へ歩を進めると、やがて横山橋に至る。横山橋の中ほどに立って上流側を見ると、緩やかに曲がりつつ流れる南浅川の岸に桜並木が延び、その背景に遠い山並みの稜線が墨絵のように浮かぶ。とても美しい風景だった。
児童遊園の近くに陵東橋という人道橋が南浅川を跨いでいる。その橋を渡って左岸に移り、河岸になおも続く桜並木の下を歩く。ところどころに広場が設けられて、ベンチも置かれている。ベンチに腰を下ろしてくつろいでいるのは地元の人たちなのだろう。並木には提灯が下げられている。夜桜も楽しめるのだろう。
桜に彩られた河畔の風景を楽しみながら下流側へ歩を進めると、やがて横山橋に至る。横山橋の中ほどに立って上流側を見ると、緩やかに曲がりつつ流れる南浅川の岸に桜並木が延び、その背景に遠い山並みの稜線が墨絵のように浮かぶ。とても美しい風景だった。
横山橋から再び右岸に戻ってさらに下流側に進んだ。横山橋の下流側右岸には横山第二小学校があるが、その横手に見事な桜が並び、道行く人も足を止めて見上げている。この辺りまで来ると右岸の桜は並木というほどではないが、こうしてところどころに見事な桜があり、散策の目を楽しませてくれる。横山第二小学校脇から少し歩くと、まるで「桜のトンネル」のようになったところもあった。
緩やかに曲がって流れる南浅川に沿ってさらに歩くと、やがて東横山橋へ至る。東横山橋の袂、右岸の下流側に八王子工業高校があり、敷地内に植えられた桜が美しい表情を見せている。東横山橋を過ぎると、右岸はすでに千人町だ。東横山橋を渡って再び左岸に戻った。左岸にはずっと桜並木が続いていて、右岸を歩いていても対岸に美しい景観が続くのが嬉しい。このあたりまで来ると散策を楽しむ人の数も少なくなり、春の河畔が穏やかな風情を湛えている。
睦橋という名の人道橋を過ぎ、南浅川の左岸に長房の方から流れてくる小さな川が合流する。それを長房橋で渡り、さらに進むと五月橋という人道橋がある。五月橋を渡って右岸に戻った。五月橋を過ぎると水無瀬橋も近い。そのあたりに見事な桜があった。遠目に見ると一本の大木のようにも見えるのだが、近づいてみると二本の大きな桜が寄り添うように立ち、競うように咲き誇っている。思わず見とれてしまう美しさだ。その桜の下で足を止めて一心に花を眺める女性の姿があった。何を思って桜を見ているのか、カメラを向けるわけでもなく、ただ桜の下に佇み、その見事な姿を眺めている。妙に印象的な光景だった。
間もなく水無瀬橋、陣馬街道が南浅川を跨いで西へ延びている。水無瀬橋から上流側を眺めた。すでに日は傾き始めており、逆光の中に河畔の桜が浮かんでいる。美しい風景だった。水無瀬橋を過ぎてさらに南浅川を下流側に辿れば、北浅川との合流点が近いが、そちらへ歩を進めるのはまた次の機会にしたい。陣馬街道の「水無瀬橋」バス停で八王子駅行きのバスを待ち、帰路を辿った。
睦橋という名の人道橋を過ぎ、南浅川の左岸に長房の方から流れてくる小さな川が合流する。それを長房橋で渡り、さらに進むと五月橋という人道橋がある。五月橋を渡って右岸に戻った。五月橋を過ぎると水無瀬橋も近い。そのあたりに見事な桜があった。遠目に見ると一本の大木のようにも見えるのだが、近づいてみると二本の大きな桜が寄り添うように立ち、競うように咲き誇っている。思わず見とれてしまう美しさだ。その桜の下で足を止めて一心に花を眺める女性の姿があった。何を思って桜を見ているのか、カメラを向けるわけでもなく、ただ桜の下に佇み、その見事な姿を眺めている。妙に印象的な光景だった。
間もなく水無瀬橋、陣馬街道が南浅川を跨いで西へ延びている。水無瀬橋から上流側を眺めた。すでに日は傾き始めており、逆光の中に河畔の桜が浮かんでいる。美しい風景だった。水無瀬橋を過ぎてさらに南浅川を下流側に辿れば、北浅川との合流点が近いが、そちらへ歩を進めるのはまた次の機会にしたい。陣馬街道の「水無瀬橋」バス停で八王子駅行きのバスを待ち、帰路を辿った。
高尾駅から水無瀬橋のあたりまでの今回のルートは、ゆっくりと歩いても二時間かからない。桜の季節にお花見を兼ねてのんびりと散策を楽しむのに良いところだ。帰路は水無瀬橋からバスで八王子駅へ向かったが、水無瀬橋付近から南へ千人町を抜ければ西八王子駅も近い。