横浜市中区南仲通
神奈川県立歴史博物館
Visited in May 1999
(本頁の内容には現況と異なる部分があります)
横浜市中区の馬車道と本町通りとの交差点に近い辺り、南仲通りと弁天通りとの間の一角に神奈川県立歴史博物館がある。旧横浜正金銀行の建物を利用したこの博物館はその堂々とした外観を見るだけでも興味深いが、博物館としての展示もかなりの充実度で、歴史に興味のある人にとっては見逃せないものだと言って良い。
妻木頼黄(よりなか)の設計による旧横浜正金銀行本館は1899年(明治32年)から地盤工事が始まり、実に五年の歳月をかけて1904年(明治37年)に完成している。地上三階、地下一階の構成で、外壁は稲田御影で化粧を施し、重厚なコリント式の柱が周囲を巡る、ドイツルネサンス様式の影響を色濃く感じさせる本格的な石造りの建物だった。
設計を担当した妻木頼黄は米国コーネル大学に建築を学び、東京府庁舎や東京商業会議所などの設計も手がけた人物で、「赤レンガ倉庫」として有名な横浜新港埠頭第2号倉庫を設計したことでも知られている。
横浜正金銀行は後に東京銀行横浜支店となるが、1964年(昭和39年)に土地と建物を神奈川県が東京銀行から買収、関東大震災の際に消失していた正面玄関上のドームを復元するとともに新館部分を増築、1967年(昭和42年)に神奈川県立博物館として開館した。1969年(昭和44年)、国の重要文化財に指定され、また1995年(平成7年)には広島原爆ドームとともに近代史跡としては初めて国指定史跡となり、同年、小田原の「生命の星・地球博物館」と分離、神奈川県立歴史博物館として開館している。
一階部分は中央部が特別設展示のコーナーで、その周囲が入場料を必要としないフリーゾーンになっており、内部から建物を見学することができる。フリーゾーンに設けられたミュージアムライブラリーではパソコンによる情報検索やビデオの試聴などが自由に利用できるようになっており、これも歴史に興味のある人にとっては魅力的なものに違いない。また売店には神奈川の歴史などに関する書籍や雑誌なども置かれており、通常の書店ではなかなか見られないものもあって楽しい。一階フロアには軽食も可能な喫茶室も設けられているので、一休みには便利だろう。
神奈川県立歴史博物館の概要、横浜正金銀行の沿革など、神奈川県立歴史博物館のサイトに詳しい。訪れる際には目を通して予備知識を得ておくとよいだろう。歴史好きの人なら一日いても飽きることはないに違いない。場所はJR根岸線の桜木町駅、関内駅どちらからも徒歩で10分ほどだが、関内駅から馬車道を散策しつつ訪れるのをお勧めしたい。
【追記】
2004年(平成16年)2月に東急東横線との相互乗り入れとなる「みなとみらい線」が開業、馬車道と本町通りとの交差点付近に誕生した「馬車道駅」から神奈川県立歴史博物館に至近になった。