八王子市長房町
南浅川の桜並木
(五月橋〜南浅川橋)
Visited in April 2006
陵南公園の付近から下流側にかけて、南浅川の河岸には桜並木が続き、春には素晴らしい景観を見せてくれる。以前
桜の咲く季節に歩いたことがあったが、今年(2006年)もまた機会があって、良い天候に恵まれた日曜日、桜並木の南浅川河岸を歩いた。
以前歩いたときは高尾駅から南浅川河畔に出て、下流側へと辿り、水無瀬橋からバスに乗った。今回は西八王子駅から北へ住宅街を抜けて河岸に出て、そこから上流側へと向かう。五月橋を渡って左岸を西へ進むことにする。以前歩いたときは右岸を歩いたり左岸を歩いたりしたのだが、今回はずっと左岸を辿って陵南公園を目指そう。今年の桜もそろそろ盛りを過ぎようかという時期だったが、この辺りは桜の開花期が少し遅いらしく、今がまさに満開という様子だ。
南浅川左岸(北側)は南浅川緑地として河岸に広場が沿っており、その緑地に桜が並んでいる。前回歩いたのは2003年だった。そのときにはこの辺りの桜はまだ比較的小さな木だった記憶があるのだが、あれから三年しか経っていないというのにずいぶんと大きな木に育っているように見える。ソメイヨシノは成長が早いらしいから、三年でもずいぶんと育つのだろう。河岸は散策の人たちが多く行き交っている。桜並木の景色を楽しみながら、皆のんびりと春の散策を楽しんでいるようだ。
桜並木の河岸を歩く。前方の景色を眺めたり、ふとふりかえって下流側の景色を眺めたり、対岸の桜を眺めたり、視界のすべてに桜が咲き誇り、素晴らしい景観が広がっている。南浅川はこのあたりでは緩やかに蛇行し、その曲線に沿って桜並木も緩やかな弧を描く。その様子もとても美しい。桜の並木はほとんどがソメイヨシノだが、他品種の桜もあるようだ。濃いピンクで花を咲かせるシダレザクラは淡い色彩のソメイヨシノの中でひときわ目立つ。
五月橋からのんびりと歩いて三十分ほどで南浅川橋に着く。南浅川橋から左手に入り込んでゆくと
武蔵野陵墓地だ。美しいアーチを描く南浅川橋はそもそもは大正天皇陵造営に伴う参道整備の際、1927年(昭和2年)に架けられたものという。当初は木造の橋だったが1936年(昭和11年)に現在のコンクリート製の橋に架け替えられている。橋の上流側左岸には
陵南公園の本園が、下流側右岸には遊具類を置いた分園がある。
南浅川橋周辺と陵南公園はお花見の人たちでたいへんな賑わいだ。南浅川橋の歩道に立って南浅川を眺めたときの景観が素晴らしい。真っ直ぐに延びる川の両岸に桜並木が沿い、それが遠方の一点に向かって収束してゆく景観は実に美しいものだ。南浅川橋からの眺めを堪能した後は陵南公園へと歩を進めよう。
陵南公園内も桜が美しく、お花見の名所として親しまれている。野球場横の舗道の桜並木もすっかり大きく育って見応えおあるものになった。ゆっくりと散策を楽しんだ後、どこかに場所を見つけてシートを広げ、桜を眺めながらのランチタイムにすることにしよう。
かつて一度歩いたことのある南浅川河岸だが、ほんの三年が経っただけでずいぶんと景観の印象が違う。桜が育ったせいもあるだろうし、歩く方向が逆だったこともあるだろう。桜の咲き方も年によって違う。天候や時刻が違えば景観の見え方も違う。同じところでも違った表情が感じられて楽しい散策だった。満開の桜の下、春の空気を存分に感じながらの散策はやはり楽しい。陵南公園でランチタイムを過ごした後は、河岸の小径から甲州街道に出て高尾駅へと帰路を辿ったが、御陵入口のバス停から八王子駅方面へと向かうバスを待つのもいい。