横浜市緑区
鶴見川河畔
(鴨居〜中山)
Visited in November 1999
11月の晴れた日、「小春日和」と呼ぶに相応しい日に、JR横浜線の鴨居駅から中山駅にかけての鶴見川沿いを歩いてみた。川の南岸を選び、途中、鶴見川から支流の恩田川へと逸れるコースだ。
JR横浜線の鴨居駅を北口へ出ると目の前に鶴見川が流れている。駅前からそのまま川を渡る橋は鴨池橋という人道橋だ。川向こうは池辺町で、日本電気や松下通信工業をはじめとして大小の工場が並ぶ工業地帯になっている。鴨池橋は、それらの会社に勤める人たちの鴨居駅と勤め先とを繋ぐ通勤路であるのだろう。
鶴見川はわずかに蛇行しつつゆったりと流れている。南岸の堤防道を上流へと歩く。鴨居駅から西側の一体は鶴見川河畔に高層住宅の建物が並び、鶴見川に長い影を落としている。水道橋を過ぎ、白山へと住所が変わると横浜線の線路が間近に迫る。線路を隔てた前方にはケンウッドのロゴが記された大きな建物が見える。この一角は小野測器や村田製作所などが軒を並べる白山ハイテクパークと呼ばれるところだ。対岸には緑の多い一角が見える。地図で確認すると佐江戸公園であるようだ。
このあたりは河川敷も広く、ときおり場所を見つけて川原へと降りてみる。人の気配に驚いたのか、鯉の群が慌てて泳ぎ去ってゆき、川中の岩の上で羽を休めていた水鳥が飛び立っていった。カワウのようだった。河川敷にはススキが多く、日の光の中で揺れる様子が美しい。逆光に輝くススキの景観を写真にとらえようというのだろう、対岸から三脚を立ててカメラを構える人の姿があった。素敵な作品に仕上がっただろうか。
横浜線の線路が鶴見川から離れてゆくと住所は上山町となる。このあたりから中山町にかけては住宅の間に中小の工場がひしめくように並んでいる。が、堤防道はなんとものどかな印象で、犬の散歩の人がいたりする。やがて落合橋、中原街道が鶴見川を越えるところだ。架け替え工事の途中らしく、現在の橋の横に大きな橋桁が姿を現しつつあった。鴨居駅前には人道橋があったが、車輌も通行できる橋としては小机町の新川向橋の上流ではこの落合橋まで他に無い。それだけに通行量も多く、拡張が必要なのだろう。
落合橋を過ぎると、鶴見川と恩田川との合流点だ。対岸には都筑区の下水処理場がある。こちら側はすでに中山町で、恩田川の対岸は青砥町だ。恩田川河畔へと逸れるとすぐ、脇に小さな広場のような場所があった。そこから遊歩道が南へと延びている。「中山北緑道」というのだそうだ。途中にベンチが設けられていたり、遊具などを設置したちょっとした公園のような一角がある。緑道はほんの短い距離のものだが、緑道脇の工場の敷地に植えられた桜が大きく緑道の上にも枝を広げており、春には美しい景観の緑道となるように思われた。
川沿いに住む人たちによるものだろうか、堤防道の端が小さく畑のように耕作されて花が植えられていたりする。厳密に言えば良くないことなのだろうが、散策の目を楽しませてくれることもまた事実だ。川沿いの工場の敷地内に植えられた樹木の姿も心和むものだ。やがて都橋を経て中山大橋へと至る。中山大橋から南へ向かうと中山駅北口まですぐだ。
川沿いに住む人たちによるものだろうか、堤防道の端が小さく畑のように耕作されて花が植えられていたりする。厳密に言えば良くないことなのだろうが、散策の目を楽しませてくれることもまた事実だ。川沿いの工場の敷地内に植えられた樹木の姿も心和むものだ。やがて都橋を経て中山大橋へと至る。中山大橋から南へ向かうと中山駅北口まですぐだ。
鴨居駅から中山駅まで、鶴見川沿いを歩くのはそれほどの距離はない。ゆっくりと歩いても一時間を要しない。中山駅前からさらに恩田川を上流に向かい、流域の散策を楽しむのもよいものだ。特に中山駅北口から恩田川上流域の地帯は昔からの水田地帯で、現在ものどかな田園の風景が残っている。田植えの季節から秋の刈り入れの季節などであれば、散策もさらに楽しいものになるだろう。あるいは中山駅を出発点にして下流へと向かい、小机あたりまで足を延ばすのもよいだろう。
このあたりでは工業地帯の中を抜けて行く鶴見川だが、河畔の散策は意外なほどのんびりとのどかな雰囲気が楽しめる。水辺ではあるが、真夏の炎天下より春のポカポカ陽気の頃や秋の小春日和の頃の方が良いかもしれない。
このあたりでは工業地帯の中を抜けて行く鶴見川だが、河畔の散策は意外なほどのんびりとのどかな雰囲気が楽しめる。水辺ではあるが、真夏の炎天下より春のポカポカ陽気の頃や秋の小春日和の頃の方が良いかもしれない。