まず宵闇の元町から歩こう。元町は2004年（平成16年）2月のみなとみらい線開業に合わせるように街路の改修工事が施された。改修後のクリスマスイルミネーションを見るのは今回が初めてだ。と言うより、元町のクリスマスイルミネーションを見るのは2002年以来だ。今年もまた商店街の東西の入口に設けられたモニュメントに大きなオーナメントが取り付けられている。見上げると夜の空を背景に浮かび上がる様子がとても美しい。

商店街の街路には随所にイルミネーションを施したクリスマスツリーが設置されている。街路のイルミネーションは改修前より抑制された印象で、派手さを抑えてシックな印象にまとめられているように感じる。街路灯そのものも街路改修時に変更されているようだ。歩道脇に並べられて足下を照らす街路灯は改修以前には無かったように思う。この街路灯が素敵だ。頭上の光を抑え、低い位置に灯りを配するとこれほど落ち着いた佇まいになるのかと思う。

商店街に並ぶ店舗にも美しいイルミネーションを施しているものが少なくない。どのイルミネーションも華美に過ぎず、シックにセンス良くまとめられているような印象だ。そのようなところにも元町商店街を構成する店舗のひとつとしての”誇り”のようなものを感じる。どのイルミネーションも美しく、魅力的だ。

元町一丁目側からフランス橋を渡り、山下公園へと進み、開港の道に沿って「山下臨港線プロムナード」を辿ろう。高架となった遊歩道から前方やや右寄りにみなとみらいのビル群が見え、その手前左よりには横浜税関庁舎の「クイーンの塔」がライトアップされているのが見える。光に包まれた現代的なビル群とひっそりと浮かび上がる古い建物との対比が面白く、景観としてもとても美しい。この風景は現在の横浜の夜景を代表するもののひとつといっていいのではないか。

赤レンガ倉庫の横を抜け、ナビオス横浜へと進もう。ナビオス横浜の空洞部分が今年はイルミネーションで飾られている。2003年のリボンを象ったイルミネーションや2002年のクリスマスツリーを象ったイルミネーションなど、趣向を凝らしたイルミネーションで楽しませてくれたナビオス横浜だったのだが、2005年の暮れに訪れた時にはイルミネーションが施されておらず、少しばかり残念だった。今年はイルミネーションが施されているのが嬉しい。今年のものは空洞部分の壁面全体に光の帯が飾られている。なかなか美しい。

ナビオス横浜と運河パークでは「横濱・開港キャンドルカフェ150」と題したイベントが開催されていた。2009年に横浜開港150周年を迎えるのに向けて、キャンドルの灯りに彩られた空間で横浜の歴史や先人たちへ想いを馳せようといった趣旨で行われているもので、舞台となったナビオス横浜から運河パークにかけてたくさんのキャンドルが並べられて幻想的な空間を形作っている。電球やLEDによるイルミネーションを見慣れた目にはキャンドルの灯は暖かみがあってなかなか新鮮に見える。市民参加型のイベントでもあり、「ドリーミングシート」と名付けられた透明のシートにメッセージを書き、それを添えたキャンドルに参加者自身で点灯するという企画もある。参加費が必要だが、多くの人たちが友人同士やカップルで参加しているようだった。会場の一角には軽食を販売する露店も並び、大勢の人たちで賑わっていた。

ワールドポーターズも、今年もまたイルミネーションで飾られている。運河パークに面した「ウェルカムゲート」や国際橋側の「インターナショナルゲート」、そして万国橋交差点に面した「馬車道ゲート」、それぞれにイルミネーションが施されてクリスマスムードを盛り上げている。特に「ウェルカムゲート」のイルミネーションは毎年趣向を凝らしたもので楽しませてくれる。今年のものは何のモチーフだろうか。円形の基本部分が少しずらしてデザインされている。なかなか荘厳なイメージだ。

ワールドポーターズから国際橋を渡ってクイーンズパークへ辿ろう。クイーンズパークは今年も樹木にイルミネーションが施され、他にもさまざまに細かな演出がなされており、パーク全体が幻想的な空間を成している。パークのイルミネーションそのものも美しいものだが、パークのイルミネーションに包まれながらコスモワールドのコスモクロックを眺めるときの景観もとても美しいものだ。コスモクロックが午後8時を知らせるのを見届けてから、桜木町駅へと向かい、そろそろ帰路を辿ることにしよう。