横浜線沿線散歩公園探訪
町田市野津田町
町田ぼたん園
April 2000
現況と異なる内容を含んでいます
町田ぼたん園
町田ぼたん園は牡丹の名所として花好きの人には有名だろう。さまざまな色彩の大輪の牡丹は実に絢爛な印象があり、新緑の中に鮮やかに咲く姿は初夏の日差しに映えてとても美しい。約800株、100種を越える牡丹が植え込まれているという町田ぼたん園は初夏の身近な行楽地として、四月下旬から五月上旬にかけての開花期に多くの人々が訪れて賑わう。今年(2000年)は開花が遅れているらしく、四月下旬に訪れた際には残念ながらほとんど咲いてはいなかった。訪れる際には念のため開花状況を確認してからの方がよいかもしれない。

町田ぼたん園
端正で落ち着いた印象の園内には広場や林の中の散策路なども設けられていて、牡丹の観賞以外にもちょっとした行楽気分で楽しむことができる。花壇や藤棚なども設けられた「憩いの広場」は東側に眺望が開けていて開放感があり、周囲に広がる新緑の風景が美しい。時節がら広場にはポールが立てられて鯉のぼりが泳いでいた。広場からさらに奥に進むと、その名も「奥庭」と名付けられた一角があり、木立に囲まれた中を散策路が辿っている。散策路を辿って高みに上ると四阿が設置されており、のんびりと静かなひとときを過ごすことができる。

訪れる人たちはもちろん牡丹の花が目当てなのだろう。ゆっくりと散策しながら初夏の日を楽しんでいるようだ。カメラのレンズを牡丹の花に向ける人やスケッチの絵筆を握る人の姿も多く、写真趣味の人たちは三脚を担いで作品になりそうな花を探している。シーズンを迎えて園内には園芸相談コーナーのようなものも設けられていて、係の人たちも何やら忙しそうな様子だ。

町田ぼたん園
全体的に日本風に造られた園内は穏やかな憩いの場としての印象もあり、牡丹の開花期以外の季節に訪れてもそれなりに楽しめるのではないかと思われた。11月上旬から12月にかけて咲く寒牡丹も一部に植えられており、その時期に訪ねてみるのも一興かもしれない。敢えて難点を言えば、近くを送電線が通っていて鉄塔が建ち、自然溢れる景観を無粋に邪魔していることだろうか。

町田ぼたん園は七国山から続く緩やかな丘陵に位置しており、周囲には薬師池公園や町田ダリア園、ふるさと農具館なども点在している。この七国山周辺はかつての多摩丘陵の面影を残す自然が魅力で、散策コースとして町田市もパンフレットなどを作っている。新緑に風薫る初夏の一日、町田ぼたん園と薬師池公園を中心に七国山周辺の散策を楽しむのもよいものだろう。

また、町田ぼたん園は明治期の自由民権運動の際の多摩地区の中心的存在であった石阪昌孝の屋敷があったところとしても知られており、隣接して「民権の森」があり、石阪の墓が置かれている。また石阪の長女美那と北村透谷との出会いの場所でもあり、それを顕彰する碑なども建っている。逸話などが記された案内板も設置されており、興味のある人には見逃せないものだろう。

町田ぼたん園には来園者用の駐車場はなく、車で訪れる際には鎌倉街道沿い、「薬師ヶ丘」バス停近くの薬師池公園兼用の駐車場などを利用しなくてはならない。歩くと10分ほどを要するが、薬師ヶ丘の住宅地を抜けて次第に自然溢れる丘陵の風景が広がってゆく様を楽しみながら行くのもいい。
追記 町田市では2014年度(平成26年度)から薬師池公園とその周辺を一つの大きな地域公園として捉え、「町田薬師池公園 四季彩の杜」の名称で整備を進めている。それに伴い、「町田ぼたん園」は「町田薬師池公園 四季彩の杜 ぼたん園」に、他もそれぞれに呼称が改められている。本頁の内容はそれ以前のものであることもあり、以前の呼称のままにしておきたい。
町田ぼたん園

町田ぼたん園