町田市成瀬
恩田川の桜並木
Visited in March 2002
町田市成瀬の恩田川河畔は桜並木の遊歩道が整備され、花見の名所として知られるようになった。桜並木の河畔は成瀬街道が恩田川を越える高瀬橋から横浜市緑区との境に近い都橋にかけての三キロほどの区間で、川の両岸に延々と続く桜並木の景観が美しい。その恩田川河畔を歩いてみた。桜が例年になく早い開花となった今年(2002年)、三月の終わり頃に訪れたのだが、すでに満開の時期をわずかに過ぎ、風に吹かれてはらはらと花が散る中の散策だった。
横浜線成瀬駅を北口に出て、駅前ロータリーから北西の方角へ住宅街の中を進む。そのまま北進すれば恩田川河畔に出るのだが、まず高瀬橋まで行き、そこから桜並木の全区間を歩いてみたいと思ったのだった。辺りは南成瀬一丁目から三丁目にかけての静かな住宅街だ。大きな通りを避け、住宅街の中を縫うように細道を選んで進む。道脇の家々の庭先の花々が美しい。見事な枝垂れ桜が美しい姿を見せる家もあった。住宅街の中の散策もそうしたものに目を向けながら歩けばなかなか楽しく退屈しない。
しばらく歩いてやがて恩田川河畔に出ると、見事な桜並木が眼前に広がる。南大谷から高ヶ坂の北東部分を真っ直ぐに流れてきた恩田川は、高瀬橋を過ぎると緩やかな孤を描いて北向きに曲がってゆく。桜並木は高瀬橋の袂から始まり、孤を描く川に沿って河岸を桜色に染めている。高瀬橋は成瀬街道が通り、車両の通行も多いが、付近には散策を楽しむ人々の姿も少なくなく、どことなく賑やかな印象があった。高瀬橋の袂の北岸には河原へ降りて行けるように階段が設けてあり、水面を間近に楽しむことができる。すっかり暖かくなったこの季節には水辺の風情も楽しい。河原に降りて楽しむ家族連れなどの姿も多かった。
高瀬橋から恩田川の南岸を下流へ向かって歩いてゆく。南岸を選んで歩くと、北岸の桜並木が陽光を受けてまさに輝くような景観が楽しめる。川は緩やかに北へ曲がっているが、やがて鹿島橋を過ぎると流れはやや真っ直ぐになる。川の流れが向きを変えると桜並木の表情も変わって楽しい。やがて弁天橋、川の北岸、橋の東側に小さな公園がある。公園には池があって釣り糸を垂れる人の姿があった。広場では親に連れられた小さな子どもたちが遊んでいる。芽吹き始めたケヤキの新緑と桜とが美しいコントラストを描く。
弁天橋を過ぎると川はまた緩やかに南寄りに向きを変え、扇橋に至る。扇橋から東へ、恩田川は一キロ近い距離で直線を描いて流れている。真っ直ぐに延びる川に沿った桜並木の景観が見事だ。桜のトンネルと化した河岸の遊歩道を花見の人々がゆったりと行き交っている。やがて川の南岸に木々に包まれた小高い丘が現れる。城山公園だ。古い時代の成瀬城の跡であるらしい。広場があるだけの小さな公園だが、ここも桜が美しく、散策途中の一休みにも良い場所だ。
城山公園の東で丘の上から川を跨いで大きな橋が北側へと降りている。橋は会下山(えげやま)橋。南は成瀬駅の傍らを経て金森で町田街道へ至り、北は成瀬高校の横で成瀬街道と交差して成瀬台方面へと繋ぐバス通りが上を通っている。この会下山橋の歩道から見る桜並木が実に美しい。西にも東にも、河岸の桜並木が真っ直ぐに平行線を描いて連なっている。桜の下の散策ももちろん楽しいのだが、こうして高みから眺める桜並木の景観はやはりとても美しく、象徴的な春景色と言えるかもしれない。
会下山橋の東の下では二反田橋という小さな橋が恩田川を跨いでいる。橋を渡った北岸は団地の商店街で、週末だったこともあってか、花見客を見込んで桜祭りが行われて賑わっていた。商店会の主催の桜祭りのようで、商店前の広場が会場となり、各商店が焼きそばなどの軽食類を販売しており、立ち寄る人の姿も少なくない。花見客のためにトイレも解放されており、散策を楽しむ人たちにはありがたいことだったかもしれない。
西山橋を過ぎて川はようやく右に曲がってゆく。成瀬駅前から真っ直ぐに延びる通りが成瀬中央橋で恩田川を渡る。目の前は町田市総合体育館だ。体育館の横あたりで川は左に折れて、向橋、そこを過ぎると再び大きな道路が川を渡っている。町田街道の町谷原交差点からつくし野と小川の境に沿って北へ延びる道路だ。以前はこの道路は恩田川で断ち切られるように終わっていたのだが、この時、新しい橋がすでに完成し、開通を待つばかりの状態だった。この路線が開通すれば、成瀬街道から町田街道へと抜ける際にも便利になるだろう。昔は都橋を渡って狭い道を抜けなくてはならなかった。その都橋まであとわずかだ。都橋を過ぎて東に向かうとすぐに横浜市緑区との市境に至る。河岸の桜並木はそこで終わる。
恩田川河畔の桜並木は市境で終わってしまうが、新しい橋から南へ向かう道路へと辿れば桜並木が続いている。恩田川河畔の並木からそのまま繋がり、さらにつくし野の街の桜並木へと繋がる。交通量の少なくない道路なので歩道の散策は必ずしも快適とは言えないのだが、並木の景観は素晴らしく、つくし野と恩田川河畔とを繋いでの花見散歩のルートとしては申し分ないところだろう。そのままつくし野の桜並木を楽しんでもよかったのだが、つくし野一丁目の交差点でひとまずこの日の終点として、成瀬駅へと帰路を辿ったのだった。
城山公園の東で丘の上から川を跨いで大きな橋が北側へと降りている。橋は会下山(えげやま)橋。南は成瀬駅の傍らを経て金森で町田街道へ至り、北は成瀬高校の横で成瀬街道と交差して成瀬台方面へと繋ぐバス通りが上を通っている。この会下山橋の歩道から見る桜並木が実に美しい。西にも東にも、河岸の桜並木が真っ直ぐに平行線を描いて連なっている。桜の下の散策ももちろん楽しいのだが、こうして高みから眺める桜並木の景観はやはりとても美しく、象徴的な春景色と言えるかもしれない。
恩田川河畔の桜並木は市境で終わってしまうが、新しい橋から南へ向かう道路へと辿れば桜並木が続いている。恩田川河畔の並木からそのまま繋がり、さらにつくし野の街の桜並木へと繋がる。交通量の少なくない道路なので歩道の散策は必ずしも快適とは言えないのだが、並木の景観は素晴らしく、つくし野と恩田川河畔とを繋いでの花見散歩のルートとしては申し分ないところだろう。そのままつくし野の桜並木を楽しんでもよかったのだが、つくし野一丁目の交差点でひとまずこの日の終点として、成瀬駅へと帰路を辿ったのだった。
桜の咲く時期の散策ではついつい桜の景色ばかりに目が行きがちだが、川面に目を向ければ群泳ぐ鯉や愛嬌のある水鳥の姿も見ることが出来る。流れの澱みに溜まった桜の花びらの様子も風情があって美しい。芽吹きの季節の新緑も散策の目を楽しませてくれる。花見散歩であれば、恩田川河畔とつくし野とを繋いでルートを選ぶと充分に楽しめるだろう。時間に余裕があり、脚に自信のある人であれば、つくし野から恩田川河畔を経て、高ヶ坂を抜けて町田駅に向かってもよいかもしれない。成瀬駅周辺や成瀬街道沿いには飲食店も多く、食事には困らないが、河畔の公園の隅でお弁当を広げるのもよいものだ。