横浜線沿線散歩街角散歩
横浜市緑区長津田〜東京都町田市南成瀬
長津田から成瀬へ
November 2017
長津田から成瀬へ
晴天に恵まれた11月初旬、長津田駅に降りた。長津田駅から線路伝いに西へ辿り、つくし野を経由して成瀬駅まで歩いてみようと思ったのだ。長津田もつくし野も成瀬も、数え切れないほどに訪ねたことのあるところだが、“長津田駅から成瀬駅までを歩く”という経験はない。今回は横浜線の線路沿いに歩くことを意識してルートを選んで歩いてみたい。まさに“横浜線沿線散歩”である。
横浜線長津田駅を南口に出た。長津田駅の南側は昔から細い道が入り組んでいて、車で通り抜けるのに苦労するところだったが、近年再開発が進み、今では駅前は広々とした印象だ。まだ工事中のところもあるから、今後さらに姿を変えてゆくのだろう。

駅前から西へ、細道が辿っている。車一台がようやく通れるほどの幅の道だ。両脇にはラーメン店やカレー店、居酒屋などの飲食店、あるいは理髪店、さらに駅前らしく不動産屋などが軒を構えて“駅前商店街”の一角を成している。少しばかり雑然とした印象で店舗が建ち並ぶ様子が、町歩きの好きな人には魅力的だろう。そんな風情を楽しみながらのんびりと歩いて行こう。
長津田駅前長津田駅前の商店街
駅前から300mほど辿ると、長津田橋という橋が横浜線と東急田園都市線の線路を一跨ぎにして、線路の北側と南側とを繋いでいる。橋の上から両線の線路がよく見える。東を見れば東急の長津田駅が眼下に間近に見えている。西を見れば東急線と横浜線が併走し、ひっきりなしに電車が行き来する様子を見下ろす。長津田駅の西側には東急電鉄の長津田検車区があり、そこへ出入りするための線路もあって、線路は複雑に入り組んでいる。真っ直ぐに西へ延びる線路は長津田検車区に向かい、田園都市線の本線は高架となって緩やかに南へカーヴを描いている。その様子も橋の上から見えている。電車好きの人にはお勧めの長津田橋である。
長津田橋から長津田橋から
長津田橋から再び線路の南側の道を辿ってゆこう。横浜線の線路を見下ろすように、線路脇の道が丘を上る。丘を上りきったところで南に入り込む道がある。道はさらに上り坂で、丘の上には小さなお社がある。鳥居には金比羅神社と八坂神社の名が併記してあるから、一つのお社で二社を祀ってあるのだろう。社の前の広場の脇に、何やら碑がある。碑には「皇太子殿下御野立之跡」とある。1921年(大正10年)に実施された陸軍大演習の際、当時の皇太子(後の昭和天皇)がここから演習の様子をご覧になったのだという。この碑はそれを記念したものらしい。
金比羅神社・八坂神社皇太子殿下御野立之跡の碑
社の南側へと回り込み、長津田小学校の裏を抜ける小径を辿る。途中、北へ降りてゆく道がある。辿ってゆくと、再び線路際に戻ることができた。線路脇の道を西へ下る。横を見れば、東急田園都市線が高架へと上がっていくところだ。高架は緩やかに南寄りに曲がり、つくし野駅へと向かっている。幾度となく行き来する電車の姿がよく見える。
東急線東急線

線路脇の道をさらに進むと、車両の通行できない細道となってさらに下ってゆく。下っていった先で、道は直角に折れて線路をくぐって北へ繋いでいる。“ガード下”と言うより、“トンネル”と言う方が相応しい様相で、道が横浜線と東急線の下を抜けている。上を通る電車を見上げることのできる場所もある。特に長津田検車区へ出入りするための東急の線路は、手が届くほどに近い。そこを電車がゆっくりと通り過ぎる。あまりの近さに恐怖を感じるほどだ。これも電車好きの人にお勧めだろう。
線路をくぐる線路をくぐる
線路を下をくぐり抜け、東急線の北側の道を西へ辿ってゆく。道の南側は長津田検車区だ。歩いて行くうちに都県境を超える。東側は神奈川県横浜市緑区長津田町だったが、西側は東京都町田市南成瀬になる。線路脇の道から北へ、少し横道に逸れてみたい。この辺りも今ではすっかり住宅地だが、一部には畑地も残り、古くからの農家らしい建物がかつての風景を彷彿とさせる。季節柄、庭木に植えられた柿の実が赤く色づいている。
南成瀬の風景南成瀬の風景

南成瀬の町の一角に「梅稲荷大明神」が祀られている。住宅地となった土地の中に、小さな朱い社が建っている。今も土地の人々によって信仰されているようだ。
梅稲荷大明神
「梅稲荷大明神」の前から数十メートル南へ辿ると、東急電鉄長津田検車区だ。広大な敷地に広がる検車区を跨いで、人道橋が架けられている。人道橋には高いフェンスが設けられているが、フェンスの網目の隙間から検車区の光景が見える。広大な検車区に東急の車両が並ぶ光景が壮観だ。人道橋の上から東を見れば、検車区の敷地の向こう、カーヴを描いてつくし野駅へと向かう高架線路を行き交う電車の姿も見える。この人道橋から見える光景もまた電車好きの人たちには魅力的なものだろう。
東急電鉄長津田検車区東急電鉄長津田検車区

長津田検車区を跨ぐ人道橋を南に渡りきると、横浜線の線路を横切る小さな踏切がある。踏切は幅員2.1m、もちろん車両通行禁止だ。踏切の名は「東光寺踏切」という。その名から近くに東光寺という寺があるのかと思ってしまうが、そうではないようだ。東光寺は、かつてこの辺りになった東光寺村の名に由来する。古い時代には東光寺という寺があり、それが村の名の由来になったのではないかということだが、あったかもしれない東光寺については正確な記録がなく、詳細はわからない。
東光寺踏切東光寺踏切
「東光寺踏切」を南へ渡った先はすでに町田市つくし野一丁目の町だ。踏切から細道を抜け、東に折れて進めばつくし野駅前から北へ延びてきた道路の北端に出る。そのまま東へ進んで南に折れて進んでゆくと東急田園都市線の線路脇に出る。ちょうど長津田検車区の手前で南にカーヴしてきたところだ。丘の裾を回り込んできた線路は、ここから切り通しのような形で一段低い場所を通ってつくし野駅へ向かってゆく。

その線路と道路とがちょうど同じ高さになるところがあって、そこからならカーヴした線路を行き来する電車の姿を真正面に見ることができる。北を見れば、丘の向こうに回り込んでゆく線路の向こうから電車の姿が現れ、あるいは丘の向こうに見えなくなってゆく。見ているとなかなか楽しい。
東急田園都市線

道を南へ、すなわちつくし野駅方面へと少し進めば、今度は少しずつ線路より道路の方が高くなる。道路脇から見下ろすように電車を眺めるのも楽しい。
東急田園都市線
行き来する電車の姿を左に見下ろしながら南へ進んでゆけば、やがてつくし野駅だ。季節は秋、駅前の樹木も紅葉している。駅間の広場ではフリーマーケットのイベントが開催中だった。駅前から西へ、つくし野の住宅街の中を歩行者用の舗道が延びている。そこを辿ってゆこう。舗道の街路樹も秋の色だ。
つくし野つくし野

舗道を終点近くまで歩き、北側に設けられた緑地スペースを抜けて北へ辿る。やがて交通量の多い道路に出た。つくし野駅北側の「つくしの駅前」交差点からつくし野郵便局近くの「つくし野一丁目」交差点へと降りてゆく道路だ。この道路は成瀬方面からつくし野を抜けて長津田へ至るルートであるために交通量が多いのだ。つくし野の住宅地が広がる中、道路脇に比較的広い畑地が残っているのもおもしろい。
つくし野の農地つくし野の住宅街

坂道となった道路を西へ降りてゆく。途中、「つくし野貝がら児童公園という小公園がある。昔は単に「貝がら公園」という名称だったように記憶しているが、名が改められたのかもしれない。少し長い名になったが、基本的には「貝がら公園」だろう。園内の広場に設置された遊具が「貝殻」の形をしているのが名の由来だ。春には桜の美しい公園だが、今は11月、桜はすっかり紅葉している。その下で遊ぶ親子連れの姿がある。住宅地の公園の、長閑な秋の昼下がりである。
つくし野貝がら児童公園
坂道の道路を降りきったところは「つくし野一丁目」交差点、交差する道路は交通量が多い。この道路は、北は約1.2km先で成瀬街道に繋がり、南へ辿れば西よりに方向を変えて約1.1kmで町田街道との「町屋原」交差点、さらに進めば境川を越え、国道16号と交差し、つきみ野の町へ至っている。この道路は、この辺りでは桜並木になっており、春には見事な景観を見せてくれるが、今はすっかり落葉が進んでいる。その下を北へ辿ろう。

200mほど進むと、右手にこんもりと木々の茂ったところがある。「つくし野殿山特別緑地保全地区」で、「つくし野殿山ふるさとの森」として開放されている。緑地はそれほど規模の大きなものではないが、鬱蒼と茂る樹林の中を小径が辿り、ちょっとして雑木林散策を楽しむことができる。すっかり住宅地となったつくし野の町に、こうした緑地が保全されているのは意義深いことだろう。
桜並木の道つくし野殿山ふるさとの森
「つくし野殿山特別緑地保全地区」の北側は道路は「東光寺踏切」南側から西へ降りてくる道路だ。その道の向こうに横浜線の線路が東西に通っている。線路は堤体上に設けられており、道路からは見上げる形だ。しばらく待っているだけで横浜線の上り下りの電車が幾度も行き過ぎる。
横浜線
「つくし野殿山ふるさとの森」を後にして、また桜並木の道へ降り、北へ横浜線をくぐる。横浜線の線路の北側に沿って西へ辿る道がある。この道を進もう。すぐ横を横浜線の電車が行き来するのを幾度となく見送りながら、道を辿る。やがて「天神原公園」という小公園があった。広場の脇に遊具を設けただけの小さな公園だが、園内に植えられたイチョウやケヤキが紅葉に染まって美しい景観を見せている。
横浜線天神原公園
「天神原公園」から200mほど線路脇の道を進むと、道は線路を離れて右へ屈曲している。道なりに進むと、「成瀬駅ガード北」交差点の近くへ出た。「成瀬駅ガード北」交差点の北東側の角には昔、ドーナツショップがあったが、今は無い。そのまま成瀬駅に向かおう。交差点を渡ればすぐに成瀬駅だ。駅前ロータリーのケヤキも秋の色に染まっている。成瀬駅から帰路を辿ることにしたい。
成瀬駅前
長津田駅から成瀬駅まで、東急の長津田検車区の横を経由して辿ってみたいとかねてから思っていた。ようやく機会を設けて歩くことができた。今回は途中、つくし野を経由したが、長津田検車区付近から北へ辿り、恩田川河岸を経由しても楽しそうだ。行ってみたいと思いつつ、立ち寄ることのできなかったところがいくつもある。また次の機会に歩くことにしよう。
長津田から成瀬へ