横浜線沿線散歩街角散歩
町田市
小野路町
June 1998
小野路町
町田市の北部、多摩市との境に近い小野路町の一角に昔ながらの素朴な山里の雰囲気を残す場所がある。六月の梅雨の晴れ間の一日、真夏のように暑い日だったが、この小野路の山里を歩いてみた。
小野路町は地図の上で見てもけっこう広いが、今回歩いてみたのはその中央部、鶴川から多摩センターに至る道路と鎌倉街道に挟まれた三角形の部分だ。この地域に入ってゆくにはおよそ三通りの方法がある。旧街道の趣の残る小野路バス停付近から東に入ってゆく方法、鎌倉街道の別所バス停付近から西に入ってゆく方法、そして小野路町の北側に位置する多摩市南野の恵泉女学園大の付近から南に入ってゆく方法だ。
西側から入ってゆくのであれば、鶴川駅と多摩センター駅とを一時間に一本程度で通うバス路線を利用するとよい。小野神社前の交差点から小野路バス停付近までの道路は旧街道の趣の残るものとなるが、鶴川側から来るのであれば小野神社前バス停で、多摩センター側から来るのであれば小野路バス停でバスを降り、歩いてみるのも楽しいだろう。道路幅は狭く、車両の離合もままならないほどなので歩くときには充分に注意した方がよい。
小野路の旧宿場の雰囲気小野路の旧宿場の雰囲気

小野路は武蔵国府の位置する小野郷への道筋であることからこの地名があるそうで、かつては鎌倉と武蔵を結ぶ鎌倉街道の宿として発達したのだという。道路沿いはかつて宿場としてにぎわった当時の雰囲気を残しており、興味のある人には楽しいだろう。小野神社バス停付近には「小島資料館」という施設があるが、これは中世以来の名主であった小島家の邸内に数々の資料を展示して公開したものだ。
小野路バス停のあるところは小さな四つ角になっていて、その角に野菜の無人販売所がある。この四つ角を東に入ってゆくと、坂道を登って一本杉公園の裏へと出て、町田市と多摩市の市境に沿うようにやがて恵泉女学園大の裏へと至る。

ここでは小野路バス停と中宿バス停との中間当たり、「細野ハイツ」という名のアパートの横の小道に入ってゆこう。このあたりは市販の地図などを見てもなかなか詳細がつかめず、迷いやすいところだが、迷ってみてもそれはそれで楽しいかもしれない。
稲荷社お地蔵様

住宅の並ぶ横を進んでゆき、細道にそって曲がり、道脇の小さなお社を横目にさらに進むと、やがて左手に山里の風景が広がる。バス通りからほんの少し分け入っただけなのだが、喧噪とは無縁の昔懐かしい風景だ。さらに進むと角にお地蔵さんのある分かれ道にさしかかる。これを道なりに右に進むと意外なことに私有地に着いてしまうのだが、その門扉のすぐ手前に、左手に分け入ってゆく未舗装の山道がある。これは尾根伝いに伸びてやがて一本杉公園のすぐ裏に辿り着く。決して歩きやすい道ではないが、雑木林の中を野鳥の声を聞きながら歩くのもなかなか楽しいものではある。
畑地一本杉公園裏へ抜ける小径
さて、そのまま山道を抜けて一本杉公園へと向かっても良いのだが、お地蔵さんの手前、眼下に里の風景の広がる地点まで戻ってみると、背後に竹林の中に深い切り通しで入ってゆく道があることに気付くだろう。昼間でも薄暗い切り通しだが、それを抜けるとやがて視界が開けてくる。山間なのになぜか小さな野球のグラウンドなどがあったりもする。あとは道なりに進んでみよう。視界はさらに広く開けて、畑や水田の広がる山里の風景が見えてくる。
田植えの終わった水田

この日は六月だったので、田植えの済んだ水田を見ることができた。秋の実った稲穂が風に揺れる風景なども素晴らしいだろうし、早春であればレンゲが植えられていたりするのかもしれない。春の日に道脇の野の花などを楽しみつつ歩くのも楽しいだろう。

道はやがて別の道に合流するが、それを道なりに南に進むと現鎌倉街道の別所バス停付近に出る。引き返すように折れて北に辿れば、のどかな山里の風景を楽しみつつ多摩市南野に抜けることができる。恵泉女学園大のすぐ横で、妙櫻寺という寺の横の駐車場に出るので、そのまま足を伸ばして一本杉公園に寄ってもよいだろう。こちらの多摩市側を出発点にしたルートで、一周して戻ってくるのも楽しめるだろう。
近辺には基本的に駐車しておける場所もないし、車だと散策の後で車まで戻らなくてはならないという面倒がある。適当なバス停でバスを降り、気ままに散策を楽しみ、辿り着いた場所のバス停からバスに乗って帰る、という方法をお勧めしたい。多摩市側にファミリーレストランなどがあるが、自然を楽しむための散策の途中、レストランで食事というのも味気ない。お弁当を持参して散策途中の道脇に腰を下ろしての食事も楽しい。別所バス停付近にコンビニエンスストアもあるので、ここでおにぎりやお茶などを調達してもよいだろう。
小野路町