横浜線沿線散歩街角散歩
八王子市旭町〜大谷町〜石川町
大谷町から石川町
October 2007
大谷町から石川町
秋も深まった十月下旬、八王子駅に降りた。八王子駅から北へ向かい、小宮公園から大谷町を抜け、石川町へと辿ってJR八高線小宮駅を目指そうと思ったのだった。途中、谷地川の河畔も少し歩いてみよう。
「和の角笛(Horn of Peace)」
八王子駅を北へ出ると「桑並木通り」が真っ直ぐに北へ延びている。現在はマロニエの並木だが、昔はその名のように桑の並木だったらしい。「桑並木通り」の西側の舗道、東急スクエアのビルの角に野外彫刻が置かれている。八王子の街はこのようにさまざまな場所に野外彫刻が設置されているのだ。この彫刻は第16回西望賞を受賞した「和の角笛(Horn of Peace)」という作品で、1995年、井上久照氏の作という。

「桑並木通り」をさらに北へ向かおう。やがて「八王子駅入口」交差点、「桑並木通り」が甲州街道、すなわち国道20号線と交差し、大きな十字路を成している。この交差点の南西側と南東側の角には北村西望の彫刻作品が置かれているから興味のある人は見てみるといい。

「八王子駅入口」交差点からさらに北へ辿るとすぐに「八王子駅北」交差点、「桑並木通り」と「いちょうホール通り」が交差する。そのまま北へ進むと「浅川大橋南」交差点、「桑並木通り」に「北大通り(きたおおどおり)」が交差する。交差点を過ぎると「桑並木通り」はトウカエデの並木に姿を変え、緩やかに坂を登って浅川大橋だ。トウカエデはまだ紅葉には早いようだ。まだまだ緑の葉が秋の青空に映える。
「桑並木通り」沿いの風景トウカエデ並木
浅川大橋で浅川を越える。橋の上では視界が広がり、秋の青空の下で爽快な気分だ。「桑並木通り」という名は浅川大橋までで、橋を過ぎると「大和田北通り」と名を変える。浅川を渡ると、橋の北東側の袂に元横山公園がある。元横山公園は広場に遊具を配した小公園だが、浅川側の外縁部に桜の大木が並び、春の花期には見事な景観を見せてくれる。

「ひよどり山トンネル」入口付近
浅川大橋の北西側には八王子郵便局がある。郵便局の前の歩道脇に小宮公園の案内板が設置されているから初めて訪れる人は目を通しておくといい。郵便局前の十字路の交差点を横切り、さらに北へ進むとすぐにまた交差点がある。こちらは丁字路の交差点で、「大和田北通り」は東へ折れる。真っ直ぐに北へ向かうと「ひよどり山トンネル」だ。「ひよどり山トンネル」を抜けてゆく道路はかつて有料道路だったが、2007年6月から無料開放されている。小宮公園の地下をトンネルで抜けて左入町に至り、新滝山街道へ繋いでいる。この丁字路の交差点脇に左手(西側)へ登る階段があり、小宮公園の案内図が設置されている。この階段を上ってゆこう。

弁天橋遠景
階段を上がると西側の道路に出る。八王子郵便局北側から大谷町を抜けてゆく道路で、北東側で国道16号バイパスへ出ることができるが、道幅が狭い。道路の北側に目を向けると、道を跨ぐ弁天橋のアーチが見える。その道路を横切ると、道路の西側に丘の上へ登ってゆく小径がある。急坂となった小径を上がってゆくと、上がるにつれて車の音が遠ざかってゆくのがわかる。道の左手には鬱蒼と木々が茂っている。ふりかえると八王子の市街地が眼下に見える。坂を上がりきると住宅地で、その中を抜けて道路を横切ると目の前が小宮公園だ。この道路は右手(東側)に行くと弁天橋の上を通るから、興味のある人はちょっと寄り道してみるといい。
小宮公園
小宮公園は25ヘクタールを越える広大な都立公園で、そのほとんどをコナラやクヌギを中心とした雑木林が占めている。中央部には沢が流れ、北側の高所となった区域には草はらの広場も設けられている。特に新緑の頃には清々しい散策の楽しめるところだ。「ひよどり山トンネル」入口から上がってきたところは小宮公園の南端部にあたり、管理所の置かれているところだ。管理所は「雑木林ホール」と名付けられた建物で、公園の動植物に関する資料、写真などの展示が行われ、奧には野鳥観察のできる窓も設けられている。小宮公園の中を少し歩こう。季節柄、園内の小径にはおびただしい数のドングリが落ちている。
大谷町
小宮公園の中を通り抜け、弁天池の横手から公園を出よう。「ひよどり山トンネル」入口から上がってきたときに横切った道路が弁天橋の下をくぐって延びてきて、小宮公園の南側に沿って東へ辿っている。道は狭い。車両同士の離合もままならないほどだ。道の左手(北側)は小宮公園の延長のように木々が茂り、右手(南側)は谷戸の地形に住宅が並んでいる。住宅地の向こうにも木々が茂っており、谷戸の住宅地の周囲には緑濃い風景が広がっている。大善寺の前を過ぎた辺りで、興味を覚えて住宅地の中の道に入り込んでみた。住宅地の南側の木々は「八王子大谷緑地保全地域」に指定されているもののようだ。コナラやクヌギを中心にした雑木林で、面積は3ヘクタールほどらしい。林の中には散策路が辿っている。きっと地元の人たちの散歩コースになっているのだろう。住宅地と緑地との間には小さな川が流れている。大谷川だ。川とは言ってもコンクリートで固められた溝のような有様なのが少し残念だ。

元の道路へ戻ってさらに東へ進もう。道の北側の山裾に建つ、広い敷地の家は昔から在る農家だろうか。道の南側に住宅が疎らになって畑が多くなると、正面に八王子バイパスが見えてくる。八王子バイパスが眼前に近づくと、左手に龍谷寺という寺がある。1635年(寛永12年)開創という曹洞宗の寺で、弁天池に棲む龍と大谷の地名から、寺号を「龍谷寺」と定めたものらしい。

大谷町の丘
龍谷寺を回りこんで道は東に八王子バイパスを見下ろしながら北へ辿っている。緩やかな坂を登ると、丘の上に出た。丘の上に畑地が広がり、視界が開け、爽快な眺めだ。微妙な曲線を描いて延びる道の様子もよく、道脇に立つ樹木の姿もいい。歩いていると、人の気配に驚いたのか、足元からたくさんのバッタが慌てて飛び去ってゆく。バイパスを走る車の音が少しばかりうるさいのが難点だが、開放感に溢れて気分がいい。西側に向けて、こうした丘の上の畑地が広がっているようで、道が続いており、そちらへ行ってみたい誘惑にも駆られたが、それはまた次の機会にしよう。
畑越しに見る東海大病院
北側には中央高速道路が東西に横切っている。その手前に八王子バイパスを渡る小さな橋があった。この橋を渡って八王子バイパスの東側へ移ろう。橋の上からはバイパスを跨いで横切る中央高速の姿がよく見える。バイパスの東側には住宅展示場があり、周囲は畑が広がり、その向こうに東海大学病院が建っている。東海大病院を右に見ながら中央高速道路の南側に沿って東へ進もう。少し進むと中央高速をくぐるトンネルがあった。中央高速の北側の道へ移り、さらに東へ辿る。この辺りで大谷町から出て、石川町になる。道は緩やかな下り坂で、丘から降りて行っていることがわかる。中央高速に沿った辺りは少々殺風景で歩いていてもあまり楽しくはないが、とにかく東へ進むことにしよう。
谷地川のアオサギ
やがて低地へ出た。川が流れており、その河畔には畑と住宅とが混在している。その中の道を抜けて北へ向かおう。やがて谷地川の河畔に出る。河畔は端正な住宅街になっており、「石川鶴巻公園」や「石川鶴巻東公園」といった小公園が点在している。住宅街の中を少しばかり東へ進むと河岸の舗道に降りることができた。谷地川の河岸には遊歩道が整備され、ときおり地元の人が通りすぎてゆく。河岸の舗道を東へ向かって歩いていると、川の中にアオサギの姿を見つけた。流れの中に餌を探しているのか、アオサギはじっと川の中に立っていたが、やがて下流側へ向けて飛び去っていった。
谷地川河畔の祠
谷地川を田島橋が越えている。この道路は北方では多摩大橋で多摩川を越えて昭島市方面、新奥多摩街道に繋がり、南では国道20号との「石川入口」交差点を経て日野市を抜け、さらに浅川を越えて多摩ニュータウン方面へと繋いでおり、交通量がたいへんに多い。田島橋の下流側の右岸、舗道脇に馬頭観音を安置した小さな祠が建っている。左岸側にもお地蔵様が数体並べられたところがある。おそらく護岸工事の際に、近辺に散在していたこれらのお地蔵様や馬頭観音をこの場所にまとめたのだろう。

石川東公園
田島橋下流側の右岸には半月形状の小公園のようなスペースがある。形状から考えればかつての蛇行の跡で、護岸工事に伴って緑地になったものだろう。その緑地の横には「石川田島公園」という小公園があり、そこからさらに住宅地の奧に入り込んでゆくと、「石川東公園」がある。それほど広い公園ではないが園内には池があり、狭いながらも草はらが設けられている。遊具も少し置かれていたが、子どもたちの遊ぶ姿もなく、ひっそりとしていた。そろそろ秋の色に染まり始めた木々が美しい景観を見せていた。

石川踏切から見る八高線
「石川東公園」前の道を東へ、坂道を登ってゆくとJR八高線の踏切がある。「石川踏切」との名がある。踏切脇から北を見ると、八高線の線路が緩やかな孤を描いて延びる景観がなかなか美しい。八高線は単線の線路だから、地方の鉄道のような興趣があって楽しい。踏切脇に立って線路を眺めていると警報機が鳴り始めた。高崎方面行きの電車が近づいているようだ。電車が通り過ぎるのを待って、その姿を写真に収めてゆくことにしよう。
谷地川のコサギとアオサギ
八高線の電車を見送ったら、また谷地川の河岸に戻ることにしよう。河岸に戻って八高線の橋の下辺りにさしかかったとき、川の中にコサギとアオサギの姿を見つけた。アオサギは、さきほど上流側で見たアオサギだろうか。アオサギとコサギがすぐ近くで、さらに近くには鴨の姿もあり、それらが互いに互いの存在を意識しているのかいないのか、それぞれの動きを見ているとなかなか面白い。

そこから少しばかり下流側に歩くと新日向橋という橋が架かっている。この橋を渡って左岸側へ移ることにしよう。付近には住宅も建ち並んでいるが、その中に畑地も多く残り、長閑な風景が広がっている。その中をのんびりと歩き、そろそろ八高線小宮駅を目指し、帰路を辿ることにしよう。
石川踏切谷地川を渡る八高線
八王子市の中心市街から丘を越えて、やがて長閑な風景が広がってゆくのが楽しい散策だったが、国道16号バイパスと中央高速道路によって地形が分断され、それらの近くでは少々風景が殺伐としているのが残念だった。小宮駅に着いてみると、小宮駅を起点に小宮公園までを歩く散策コースを示した案内板があった。期せずしてほぼ同じルートを逆から辿ったのだが、案内板のルートでは谷地川河岸をもっと長く歩く設定のようだ。小宮駅を起点に小宮公園へと歩く機会があれば、この案内板を参考にするといい。
大谷町から石川町