横浜線沿線散歩街角散歩
多摩市落合〜鶴牧
桜咲く富士見通り
April 1999
春の富士見通り
多摩センター」駅の南、落合五丁目から鶴牧四丁目にかけて「富士見通り」という名の通りがある。その名の通り、空気の澄んだ日には富士山の姿も見えるということだが、最近では桜の名所としてよく知られるようになった。その富士見通りを、桜の満開の季節に歩いてみた。
春の富士見通り
多摩センター」駅から南へと辿り、多摩中央公園を抜け、落合の街の舗道を進むと、ふいに開けた場所に出る。傍らにはグラウンドがあって、グラウンドではサッカーの練習などをやっていたりするかもしれない。グラウンドは宝野公園で、その向こうが富士見通りだ。富士見通りは宝野公園の傍らから鶴牧四丁目の奈良原公園までほぼ東西に伸びており、空気が澄んでいればその名の通り、西に遠く富士山も見えるらしい。しかしこの日、春霞でぼんやりとした空の中に富士の姿を見つけることはできなかった。

富士の姿は見えないが、その代わりに見事な桜並木が富士見通りを彩っている。中央部は芝生の広場になっていて、その両脇に桜並木の舗道が伸びる。それぞれの舗道の両脇に桜が植えられていて、二列の並木が芝生の広場の両脇に伸びる景観は見事というほかはない。桜並木の舗道を歩くと、まさに「桜のトンネル」という形容が相応しく、頭上に覆い被さるように咲き誇る桜の下の散策が楽しめる。

奈良原公園側から見る富士見通り
落合の街と鶴牧の街とは広いバス通りによって隔てられているが、富士見通りは二本の歩道橋によって繋がり、桜並木も続く。そのまま西に辿るとやがて奈良原公園で並木道は終わる。奈良原公園側の終端には展望デッキのような場所があって、そこから東に富士見通りを眺めた時の景観も素晴らしい。そこからさらに歩道橋によって西の鶴牧第二公園へと行くことができるが、この鶴牧第二公園の展望台からの景観もまた、富士見通りを俯瞰するような視点がいい。広々とした視界の中に、一点透視法を用いた絵画のように東の一点に収束する桜並木の景観は実に美しいものだ。

散策する人の姿も多い。ほとんどは地元の人たちがのんびりと桜を楽しんでいるようだが、評判を聞きつけて遠方から訪れたらしい人の姿もある。ところどころに設置されたベンチに腰を下ろしてのんびりと桜を眺める人や、桜のトンネルを見上げながらそぞろ歩きを楽しむ人など、人々の楽しみかたはそれぞれだ。桜並木に挟まれた芝生の広場ではシートを広げてくつろぐ人の姿もあり、お弁当を広げるグループや家族連れの姿もある。

実に見事な桜並木でありながら、いわゆる「花見」としてのお祭り気分の喧騒とは無縁の、穏やかでゆったりとした雰囲気がいい。ゆっくりと散策を楽しむのもいいし、芝生の広場にシートを広げてのんびりと過ごすのもまたいい。あまり有名になりすぎるとこの静かな雰囲気が壊れてしまうのではないかと心配だが、穏やかな春の日を楽しみたい人にはお勧めの場所であるのは間違いないだろう。
多摩センター駅から歩くと15分ほどかかるだろうか。富士見通りの近辺は基本的に住宅街で、お店などはない。お弁当持参が良いだろう。多摩センター駅方面から来るのであれば、駅近辺のお店でランチを調達してくるのもよいかもしれない。
春の富士見通り