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多摩市落合
落合の街
Visited in November 1999
落合
多摩市落合の街は多摩センター駅や多摩中央公園などを抱え、多摩ニュータウンの中心となる街と言ってよいだろう。多摩センター駅周辺の落合一丁目のあたりはデパートやホテルなどもあって賑わっているが、二丁目から六丁目にかけての南側一帯は静かな住宅街が広がっている。この住宅街を、晩秋の小春日和の日を選んで歩いてみた。
多摩中央公園の南端部、「くつろぎの広場」の傍らからさらに南へ延びる舗道がある。サンピア多摩のプールを回り込むように弧を描いた舗道は左に雑木林を見ながら今度は西落合中学校の周囲を廻るように弧を描いて南へ延びる。左手の雑木林は青木葉公園という公園の一部だが、公園自体はあまり管理も行き届いていないようで、広場や砂場にも雑草が繁り、壊れたままに放置されたベンチもあり、ゴミも散乱して惨憺たる有様だった。この様子では日常的に利用している人もいないのだろう。
【追記】
青木葉公園は、1999年11月に訪れた際には前述のような状態だったが、2022年9月に再訪したときは整備が行き届いており、荒れた印象はまったくなかった。「青木葉自治会」によって清掃管理が行われているそうである。
西落合中学校の校庭を右に見ながら進むと、再び左手に雑木林があり、狭いながらも芝生の広場があった。これも公園なのだろうと思うが、何という名の公園なのかわからなかった。雑木林はかつての多摩丘陵の頃の姿をかろうじてとどめているものなのだろう。林の斜面を裏側へ抜ける小径が抜けていた。未舗装の小径はこの近辺では珍しいように思う。

秋の富士見通り
西落合中学校の横を東に進めば宝野公園だが、いったん南に進んだ後に右に折れて宝野橋を渡って宝野公園の傍らに出た。ここは桜の名所として有名な富士見通りの東端にあたる。ここから西へ鶴牧の奈良原公園まで、まっすぐに桜の並木が続く。この季節は桜の木も葉がほとんど落ちて寂しげな風景だ。

富士見通りをすこし西に進んですぐに南に折れた。西落合小学校の横を南に辿って幼稚園の前に出る。舗道の脇に案内標識の石柱があって、「そよかぜのみち」とある。ここは舗道の交差点となっているが、東西に抜ける舗道が「そよかぜのみち」だ。ここからさらに南へ辿ると、やがて荻久保公園に至る。住宅街の奥まったところにひっそりと在る、といった風情の公園で、小さいながらも緑に溢れて落ち着いた公園だ。

そよかぜのみち
荻久保公園から「そよかぜのみち」の道標の立つ交差点まで戻り、「そよかぜのみち」を東に向かう。舗道はすぐに車輌の通行する道路を橋で跨いでいるが、その橋の名は「るんるん橋」とあった。なかなか楽しげな名前ではある。この名の付いた由来を知りたいものだと思う。「るんるん橋」を過ぎると「そよかぜのみち」はケヤキ並木だ。この季節、色づいた葉の隙間からこぼれる陽光が美しい。歩いていると、どこの学校の生徒だろうか、体育の授業であるらしく体操着姿の女の子たちが息を切らして抜き去っていった。

恐竜橋
「恐竜橋」という名の橋でバス通りを跨ぎ、東落合中学校の横をさらに進むと落合第三公園の傍らで舗道は「東落合遊歩道」にぶつかっている。「東落合遊歩道」はその名の通り、落合の東側を南北に抜ける遊歩道だ。この遊歩道を南に向かう。両脇に住宅の並ぶ舗道だが、周囲は樹木も多く、歩くにも気分が良い。やがて落合第四公園の傍らを過ぎ、落合四丁目の南端へと出た。眼下を広い道路が横切っている。「尾根幹線」と呼ばれる道路だ。それを美しい斜張橋が跨いで一本杉公園へと繋いでいる。

「東落合遊歩道」を再び今度は北へと向かう。「そよかぜのみち」と交差する落合第三公園の付近を過ぎると、郵便局や商店などの並ぶ一角がある。ちょっとした商店街だ。商店街の中ほどから西へ折れる舗道があり、そこを進むとすぐに落合南公園へ出る。落合南公園は開放感のある良い公園だ。この季節、園内のイチョウやモミジが美しく染まっていた。

青木葉交差点付近
商店街に戻り、落合東遊歩道を北へ向かう。落合第二公園でクランク気味に折れてさらに北に向かい、落合第一公園を右手下方に眺めつつ過ぎて、しばらく歩くと前方の視界が開けた。遊歩道は階段と自転車用のスロープで下へと降りて行く。下方左手には、おそらく多摩ニュータウン造成前からここにあったのだろう、畑を抱えた民家があった。その傍らを進むと、車輌の通行の多い交差点に出た。交差点の名に「青木葉」とある。左手前方にはベネッセのビルが見えている。パルテノン多摩と多摩そごうの間の道路を東に進むと緩やかに右にカーブしつつ坂を下りて丁字路にぶつかるが、その丁字路の交差点がここ「青木葉」交差点だ。

多摩中央公園を出発してから「青木葉」の交差点へ降りてくるまでの道程では車輌の通行する道路と交差せず、終始歩行者専用の舗道を歩くことができた。これも近代的な都市計画のもとに設計された街路だからなのだろう。そのためか、街はそこに暮らす人の日常の場であるのに、歩いている間は何故か喧騒から遠のいた非日常的な感覚があった。ところどころにかつての多摩丘陵の名残のようなものを見つけられたのも楽しいものだった。
【追記】
多摩そごうは2000年(平成12年)9月に閉店、現在は新都市センター開発株式会社が運営する「ココリア多摩センター」というショッピングセンターになっている。多摩中央公園南側に隣接していた「ウェルサンピア多摩」は2010年(平成22年)3月31日をもって閉館している。「青木葉」交差点は、現在は「多摩青木葉」という名に変更されている。
晩秋という季節のため、歩く先々に美しい紅葉の景色を見ることができたが、花々と瑞々しい新緑に彩られた季節もきっと楽しめるものだろう。特に桜の季節であれば、富士見通りの桜並木は実に見事なもので決して見逃せないものだ。
落合第二公園付近