戦後は横須賀に米軍が駐留、その米軍人相手の歓楽街として栄えた。バーやハンバーガーショップなど、アメリカンスタイルの店が並び、以前は帰国した米兵に送る手紙を翻訳する店も多かったらしい。米軍人向けの土産物を扱う店も少なくなく、いわゆる「スカジャン」は横須賀に駐留していた米軍の兵士たちが記念として龍や虎などをあしらった和風柄の刺繍を施したジャンパーをオーダーしたのが始まりという。当初は兵士たちが持参したパラシュート生地で作られたそうだ。蛇足ながら「スカジャン」はもちろん「ヨコスカジャンパー」のことだ。
戦後からしばらくは少しばかり猥雑な雰囲気も漂う町だったようだが、現在ではその当時の面影を残しつつ、現代的な商店街に姿を変え、広く人気を集めるようになった。ドブもドブ板も姿を消したが、ドブ板を模したコンクリートブロックが往時を偲ばせる。アメリカの雰囲気が漂う町並みは「観光地」としても認知されるようになり、市内、県内のみならず、遠方からも客が訪れるという。
「どぶ板通り」にはさまざまな店が並ぶ。戦後の間もない頃から続く“老舗”も残っているという。通り沿いに並ぶ店は必ずしも“アメリカ風”の店ばかりではないが、他の地域の古い商店街とは明らかに違った独特の風情を漂わせている。かつて米兵を相手に栄えた街だが、今では日本人観光客が客層の中心なのだろう。米軍の放出品などを扱う店やアメリカンカジュアルファッションを揃えた店などが人気のようだ。